2015年7月16日木曜日

P5 +ONE ビジネスと国際政治 ヒントは薩長同盟だった 

              
                NYタイムスから

            We Just stopped a war. And the Bomb ・・・


そもそも日本ではどの程度の人が、イランの核開発協議の行くへと戦争の可能性を、それなりの感度で考えていたのだろう。日本のメディアでそこまでの緊張感をきちんと伝えたところはあったのだろうか。

もしあれば、国会で意味不明のプラカードを持ったおかしな集団は、現実の世界情勢に対する己の無知を気づいたのではないか。一方でだからといってホルムズ海峡の掃海を言う自民党を応援するつもりはない。

なぜなら、世界情勢はすでに複雑怪奇であり、アメリカのポチでいることでも日本の国益は保てないと考えるからだ。

ところで、イランの核開発協議に参加した国々を「(イラン)+P5+ONE」と呼ぶ。言うまでもなく、P5は国連常任理事国。そしてONEはドイツだ。

ドイツは敗戦国で技術はあるが核兵器を持っていないのは日本と同じ。日本もイランの友好国、だがイランにとっては最大の貿易国はドイツ。特に、核施設の産業機械の輸入先はドイツ企業が中心だった。

政治はビジネス・・

アメリカの共和党の大原則に聞こえるが、こちらでは本質では民主党も同じ。群がる産業が違うだけ。そんななか、ずっと注目してきたこの協議の同意で、ふと薩長同盟を思い出した。

今の日本人には最大の人気の竜馬は、ドラマでは情熱や生きっぷりが中心。でも冷静に観て、薩長同盟が成立した最大の理由は、幕府の大軍を前に、困窮する長州に薩摩が武器を売ったからだろう。

つまり竜馬の功績を具体化するなら、亀山社中を起こし、英国とビジネスをはじめていたセンス。この感覚の延長で、イギリスは薩摩に武器を売り、その武器が長州に流れた。

実利を結ぶ流れを最初に築き、そして政治での藩の面子や遺恨の感情論を後回しにする環境。この手順が憎みあう薩長の政治を変えた。

伝統的な日本とイランの関係、日本の絶対的国力からは、核ビジネスにおけるドイツほどではなくとも、日本がP5+ONEに追加されてもおかしくはなかったと思う。

しかし日本は呼ばれず、協議がどう進んだかはわからない。ただ客観的に眺めて、同意までの手順において、ドイツの役割は個人的には薩長同盟での竜馬のビジネス感覚を彷彿させた。

いずれにしても、We Just stopped a war・・・

これで一旦は戦争は回避された。(あくまでも一旦)このまま沈静化すれば、ドイツの功績は大きい。さらに、もしギリシャもドイツが最終的に助けることになれば、ドイツは国連の常任理事国に格上げになってもおかしくないと思う。(日本やドイツへの国連敵国条項の廃止が先だが )

メルケルは中ロとも連携している。オバマとメルケルの個人的関係は悪くない。アメリカは盗聴で彼女に借りがある。もしメルケルがオバマに迫れば、反対できないだろう。

ならばドイツの格上げを本心で望んでいないと思われるのは英仏だけか。でもフランスはユーロやEU枠組み維持で最早ドイツとの協調は崩せない。またアメリカが賛同すれば、イギリスは反対しないのではないか。

これまで日本はどこかでドイツに負けたもの同士の仲間意識があったと思う。でもTPPが完成したら、日本が国連の常任理事国になる可能性は、ドイツよりはるかに遠くなるだろう。

なぜなら、日本が期待するアメリカにその必要がなくなるから。今のグローバル情勢において、TPPの本質とはそういう意味を持つ。

日本のニュースが牛肉や米の話題で盛り上がる一方で、TPPの本質は知的財産とISDS。それはここで初めてTPPを取り上げた2011年から変わらない主張だ。

国際法と国内法、大企業の利益がぶつかりあうISDSなど持ち出されたら、独立国としての日本の利権(日本企業の利権)を守れる弁護士が日本にいるのだろうか。国際裁判所に持ち込んでも、アメリカの利権にに逆らう判決など到底期待できない。 

今のところアメリカがTPPで日本を痛めつける意図は感じない。でもアメリカにとって肝心なのは、これからのアジアの時代、冷戦の舞台だったNATOに変わる太平洋の軸を完成させる事。それがTPP。

このドクトリン的発想は、ルーズベルト、トルーマン、冷戦時代のブレジンスキーの系図。自由貿易を掲げてTPPをやりだした共和党とは全く異質。そしてTPPが完成すれば、中国やロシアの反対を押し切ってまで日本を常任理事国に押し上げる理由はアメリカにはなくなる・・。

こちらから見ている限り、今のところ日本には、常任理事国になるより、世界遺産に選ばれるほうが大切といった雰囲気が漂っている。だからグローバルな国力比較ではぜんぜん格下の韓国と同じ土俵で競っている。(韓国がアメリカの議会政治を動かす力は侮ってはいけない)

これも究極では米国から独立する気概がないからだろうが、ドイツ人はそこまで平和ボケはしていないと思う・・。

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