2012年11月1日木曜日

商売のコツは統治のコツ

           アイデアや創造性に苦労したデイズニー

日本のニュースでスターウォーズの続編が出来ることが、アメリカ在住の映画評論家のインタビューも交え、あたかも全米でもビッグニュースであるかのような報道がされていた。ざっくりいって今の米国でこの話がそこまでのビッグニュースでアあるはずがないのだが、そのNHKニュースで、ジョージルーカスが30代の頃にあの宮崎緑(もう誰も知らない?)にこんなことを言っていた。

「You have to get audience either to laugh or cry, or very excite or very frightening. Those are element of successful・(映画が成功するのは、観客を笑わすか泣かせるか、さもなくば、凄く興奮させるか、とても怖がらせるかのどれかである・・。」

初めてスターウォーズが出た頃は映画好きの中学生だった。その頃のジョージルーカスは正直で、彼はスターウォーズが黒澤明の「隠し砦の三悪人」をベースした作品であることを隠さなかった。

当時黒澤明全集を見る機会がなかったが、後に同作品を観て、主人公のルークスカイウォーカーが三船敏郎、ヒロインのレイア姫が上原美佐、そしてあのロボット二人は千秋実と藤原釜足であることは明らかだった。

ところが3作目が出た頃からルーカスはこの作品が本来9部作であると言い出した。彼が途中で話を変えたたかどうかはどうでもよい。だがB級映画扱いで大物俳優もいない(ハリソンフォード無名ではなかったが、当時の彼こそB級の証明)スターウォーズは 一作目がヒットしなければ続編は無かったはずだ。

黒澤明は自分でシナリオに参加し、彼の名作からは個人的にも多大な影響を受けた。だが黒澤明が優秀なビジネスマンだったいう話は聞かない。一方でルーカスは3500億でビジネスを売った・・。

この話で思い出すのは、ソニーがIpodに2年も先駆けてデジタルミュージッデバイスを売り出したが、ソニーミュージックのビジネスを侵食する恐れから、ダウンロードを媒介にする同商品の積極展開に躊躇した経緯。

同時期、時代がハード商品を作り出す競争からソフトコンテンツを媒介にしたビジネスモデルへ移行すると予想したスティーブジョブスは、Ipodの前にITUNEで市場を押さえてしまうことを優先した。ここさえ押さえてしまえば、人はipodを買うしかないという戦略だった。

NHK特集では、当時ソニーの出井会長は、このリスクを判っていたが、国内では膨大な雇用を抱えるメーカーとしての責任。また子会社のビジネスが順調に儲かっていただけに、そのビジネスを侵食する決断は難しかったと回顧していた。

基本的に、ルーカスも、スティーブジョブスも、どうしたらビジネスで成功するのかというビジョンが明確だったのだと思う。ただそれはクリエーターや技術者としていろいろ経験したあとのこと。それはルーカスからビジネスを3500億で購入するデイズニーとて同じ。

これは有名な話だが、ウオルトデイズニーは勤めていた新聞社を「lacked imagination and had no good ideas (想像力がない)」を理由でクビになった。そして1921年にの独立してアニメ会社を設立したものの、商売は上手くいかず、ドッグフードを食べる暮らしが続いた。

1927年やっと思いでミッキーマウスをMGMに持ち込んだところ、「映画のスクリーンで巨大なネズミを見たら女性が怖がる・・」と否定されたしまったという・・ (参考添付WEB)。

http://www.hollywoodstories.com/pages/disney/d3.html

そういえば、ローマ人がギリシャをみて反面教師的に学んだことは「国民にはパンと見世物を」だったことを思い出した。

アテナイやスパルタなどのポリス国家は、国民に芽生えた民主主義の平等意識で参政と参戦をした。だが貨幣制度が生まれ、国民に貧富の差が出来ると、衆愚政治が起こって没落した。

アレキサンダー大王の後、そのギリシャに盛衰を観たローマは、国民には「パンと見せ物」を徹底。この国の建国の父もこのローマのコンセプトを取りいれたのが、今の大統領選の不平等な民主主義や、プロスポーツや芸能などの劇場型ビジネスモデルの根底にある・・。

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