2012年11月12日月曜日

均整社会のこれから’


宗教家の久保有政氏が英語の論文で「米国の国旗には星がいっぱいあり、日本の国旗にはお日さまが一つ・・。それだけ日本人と米国人の考える国家感は違う」といっていた。なるほど。宇宙からすれば、夜空の星も昼間の太陽も無数にある同じ星。だがソレを国旗に用いる感覚はこんなにも違うのか。これまで日米の違いを話すとき、国家観の違いとして中江兆民とロックの国家契約説の違いがいいと思った。だが米国が押し付けるルールと、日本が勝手に盲信する米国の本質の比較には、この久保氏の解説の方がいい。

複数の星を前提にする米国と、国名のごとく日ノ本で一つになる日本。そんな平和な日本で世間を騒がした二つの事例はこれからの日本の課題を浮き彫りにした。まず東電の女性社員殺人事件。ネパール人が有罪にされた過程でおきたそれぞれの「思い込み」。そして女性デザイナーが刺殺された事件の警察の対応。担当者は逮捕状を読み上げる際「決まり」だったので、女性の新しい性名を読み上げたという。

組織では一人一人が規則を守ることは最も重要。経済に限らず、圧倒的な日本の平和やそこそこ強くなったサッカーは世界に誇れる。しかしこれまで日本の武器だった「均整」は、米国が4THターニングに入ったといわれる今、今度は日本を亡国に導くかもしれないと考えている。日本にとって厄介なのは、震災をきっかけに日本が独自の価値観を探り始めたタイミングと、米国の4THターニングが重なってしまったことだ。しかしコレも運命、ここからは冷静に状況を分析し、最善の判断を期待するしかない。

では4THターニングとは何か、おさらいをしよう。まず入植以来、米国は70年~90年の大きな周期を3回経験したといわれる。そして今は新しい周に入るまえの第4コーナーをまわったイメージ。それが4THターニングである。過去の4THターニングでは次の事がおきた ① 1770年代の建国の動乱 ② 1860年代の南北戦争の勃発 ③ 1940年代の第二次世界大戦・・。そしてリーマンショック後、米国は4回目の4THターニングを迎えている。

90年代、この説を主張したのはW.ストラウス氏とN.ハウ氏である。92年の二人の共著「GENERATIONS」では米国の世代の特徴をを分析。大恐慌と二つの世界大戦を経験した世代をグレートジェネレーションと呼ぶ一方、97年の続編「4TH TURNING」では第二次世界大戦後のベービーブーマーの登場は米国をどうかえていくかの未来予想をしていた。

そして①~③の1周は概ね70~90年。4THターニングはその最後の20年程度の混乱をさす。この混乱を経て新しい体制が定まり、次の周期が始まる。そう考えた二人は97年の著書の「4THTURNING」で次の混乱は2006年頃始まり2025年頃まで続くとした。リーマンショックは2008年である。

では日本はどうか。近代以降日本が体制を変えたのは明治維新と敗戦。その原因の黒船来航が1853年で満州事変は1931年である。偶然か必然か。この間も約80年の開き。どうやら日本にも同じような周期がある。そして今、敗戦から70年という大台が見えてきた。明治維新のきっかけは黒船だったが、日本は自分で体制を変えた。しかし敗戦は自分で変える事が出来ず、圧倒的なアメリカの力に変えてもらった。この違いは大きい。そしてそのアメリカが4THターニングに入ったなら、好む好まざるにかかわらず、日本も巻き込まれるのは必定。

ただマッカーサーの米国によって変えてもらってからの日本は、鎖国だった江戸時代とは違う社会だ。適度に開かれながら、米国の傘下で均整社会は維持できた。ただしそれは米国は4THターニングを迎える前、世界が冷戦構造の中で硬直した時代の話である。ならば今の日本が自分で変るだろうか。今政治が「維新」を語るなら、まず国民に自ら改革するエネルギーの出所を示すのが先だろう。

ストラウス・ハウは周期内の4つのターンを、「高揚」「覚醒」「開放」「危機」に分けた。冷戦が終わり、クリントン・ブッシュ時代はまさしく規制緩和(開放)の時代だったが、。リーマンショック後の「危機」が今として、その中での大統領選が終わり、白人層の希薄化、資本主義の格差の調整で米国の民主党化は鮮明になった。日米はここでTPPの本番を向かえる。

そもそもオバマの再選を世界が喜んだのは、米国が敵味方をはっきりさせる孤立主義を選ばなかったからだ。だがソレは日本のような正直な国には有利とはいえない。なぜなら今の世界は限られた成長というコップの水を争っている。オバマを歓迎したのは中国も同じ。オバマの米国と中国はこれからもしばらくは繋がっていく。そんな中、平和的にコップの水をシェアするには誰かが間抜けな役をやらなければならない。

米国は10年後にアラブやロシアを抜いて世界最大のエネルギー産出国になる。これまでの米国の外交には冷戦と中東のオイルを意識した戦略があった。そこで生まれた資本家は今回ロムニーを支持した。しかし今シェールオイルを掘る人々は民主党の支援も受けている。米国の国際戦略から、冷戦に続きオイルの重しまでが消えたらどうなる。伝統的な共和党の存在価値はますますなくなるだろう。ならばこの構造の間隙で生きてきた日本は抜本的なイメージチェンジが必要だ。なぜなら、ここ30年の日本経済は共和党政権下の方が圧倒的に好調だったからだ。

以前より強国の独ソにはさまれたポーランドを引き合いに出し、自立できなかった国の悲劇を語ってきた。日本が真に独立国家として生き残るには、米国から自立した上で、中国と対峙する以外に道は無い。だがもし新進気鋭の外交家(一説には次のキッシンジャー)イアンブレマー氏が勧めるように、日本は実をとって米国のアジアの出先の州として生きることを選ぶなら何も言う必要は無い。ソレはそれで米国は戦略的に大切にするだろう。ただその判断を衆愚政治に任せるならそれなりの運命が待っている。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

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