オバマ・エコノミック・ チームと冠した会議に集まった顔ぶれに意外な人物が二人いた。ルービン・サマーズ・ライシュ・タイソンのクリントンチームに加え、カーターに任命されたボルカー、またグーグルのCEOやWバフェットまで電話で参加するという華やかさの中、その二人は異質だった。二人とはブッシュ政権初代の財務長官のオニール氏と前SEC長官のドナルドソン氏である。
二人は現共和党政権下の重要スタッフであった。そして共通するのが当時市場からの評価が決して高くなかった点だ。特にオニール長官のへの市場からの批判は酷いものだった。しかし今、ブッシュ政権の歴代財務長官を振り返ると、個人的に一番まともだったと感じるのはこのオニール氏である。
2代目のスノー長官は、同じく実業出身でありながら、オニールの轍を踏むまいと必死にイエスマンに徹していた。そしてポールソン。彼は住宅を救済する法案のサインを拒むブッシュに状況を説明して法案を設立させた。しかし、彼にも堅固たる一貫性は全く感じない。
オニール氏は2003年の株の下落局面で何もしなかった。何もしなかった事を批判され罷免された。しかし、あの時に米国はむしろもう少し苦しんだ方が良かったかもしれない。なぜなら「イエスマン」のスノー時代にまき散らされた誘惑やステロイドが災いとなり、今それがポールソンに襲いかかっている。
いずれブッシュのエコノミックチームには後日正しい評価が下されるだろう。では外交チームはどうか。外交も常に対立の構図があった。パウエルとチェイニーの確執は有名だったが、後を受けたライスも結局は最後にチェイニーと対立した。
チェイニーを取り巻くネオコンの中で最も影響力があったのはリチャードパール。そのパール氏の周辺に火が付き始めた。本日、WSJは彼とイラク周辺のOIL採掘を牛耳る関連企業との間にイラク戦争前からビジネスの利権に関して約束があったとの衝撃のリポートをしたのだ。この事が証明されると彼は大変な事になる。
恐らく、ドナルドソンとオニールがオバマの経済会議に選ばれた理由は前時代への反省である。ただオバマの時代も同じ事が必ず起こるだろう。なぜならその昔プラトンが「国家」で触れているように、正義とはいつの時代も強者の利権だからだ。
但し、最後まで周りの人に担がれたブッシュと、最初から自分で判断するオバマの違いは共和党と民主党の特徴でもある。アメリカ人ほど単純ではない欧州でオバマが期待されているのはその違いが見たいからだ。
ただ政策を自分で決める大統領、あるいはその力がある大統領は時に国内で利害の対立する勢力からは邪魔な存在になる。その意味ではオバマも妥協が必要だろう。いずれにしても、時代の織りなす人事の背景は実は意外に面白いのである・・。
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