2012年1月30日月曜日

オバマの常在戦場(真マネー原理プロから)

真マネー原理プロはこちら
レジまぐ商品の購入はこちら!







一般教書演説では大統領は壇上までの花道歩む。まさに独り舞台だ。
そして昨日の一般教書では、テレビカメラは、オバマと国防長官のパネッタの会話を拾った。

「GOOD JOB」 「TONIGHT GOOD JOB」。

オバマはパネッタに語りかけ、硬い握手をした。そして「TONIGHT」が何だったが分かったのは翌日。ソマリアでの人質救出劇はこの時点で完了していた。オバマは全くそんな素振りを見せず、パネッタを労った・・。


「昨年の10月、デンマークのNPOに努める米国人女性(写真)が、ソマリア人ガイドの悪巧みで、現地のゲリラに誘拐された。今年に入り、彼女の健康状態が悪くなっているとの報告を受け、オバマの命令で、昨日現地時間の2時AMに、米国海軍のSEALSのスペシャルチームが救出に向かった。

このチームは、昨年5月ビンラデインを仕留めたチームの同じメンバーだった。闇夜に紛れ、ヘリコプターからパラシュートで着地、プロ中のプロによる真夜中の急襲に、ゲリラ9人は簡単に仕留められ、他の5人の人質も無事救出された・・。」


さて、一般教書演説は、日頃政争を繰り広げる政治家が、年に一度だけ、アメリカを共有していることを確かめる場でもある。

憲法第1条は議会について、2条が大統領の役割につて書いてある事が示すように、アメリカの中心は議会。そして大統領は、国民に雇用されたスキッパーと考えればよい。

軍隊を動かすのも議会。大統領単独で動かせるのはかつては海兵隊、今は今回も活躍した特殊部隊である。オバマ政権はこの新しいスタイルの国防の実績はすこぶる良い。

このように軍事的実績も積み、オバマの一般教書は攻撃的で迫力に満ちていた。

一方オバマに挑戦する共和党候補の予備選は、全国の支持率でギングリッチがロムニーを追い抜いた。オバマ・ヒラリーのネガティブキャンペーンも酷かったが、共和党の個人攻撃は数段上を行く。

この泥試合、今のところギングリッチがロムニーより上。だがロムニーも黙ってはいない。これからギングリッチがいかに非理想的なキャラクターか、どんどん出すだろう。

ただ、ここまで憎み合っても、一旦政権が発足すると足の引っ張り合いはない。それがアメリカである。

政権入したヒラリーは一度もオバマ批判をしていない。これは歴代の政権も同じ。反目したスタッフは、何も言わずに黙って辞任するのがルールである。(そのあとで本を書くが・・)

そもそも、価値観も人種も違う米国民の民主主義とは、殺さない内戦である。だからこそ激しい予備選を経て発足する政権に「たるんでいる余裕」はない。

オバマとパネッタのシーンは、世界における米国の「常在戦場」を物語るが、日本では政権内が普通に内紛を露呈しているのは、平和の余裕か、あるいは世界を知らないだけなのか。

いずれにしても、日本が大統領選から学ぶべきは「常在戦場」だろう。

2012年1月28日土曜日

金で買える?アメリカの民主主義(真マネー原理プロから)

真マネー原理プロはこちら

レジまぐ商品の購入はこちら!


添付の男はラスベガスのカジノ王、シェルダンアデルセン氏 。彼がいなければ、共和党予備選はサウスキャロライナで終わっていた。なぜなら、アイオア ニューハンプシャーの惨敗直後、ギングリッチには選挙を継続する金はなくなっていたからだ。

ところが、昨年決まった「スーパーパック」というルールで彼はギングリッチに5ミリオンを寄付。その寄付でサウスキャロライナ州ではロムニーのネガティブキャンペーンCM(個人攻撃)が始まった。

そして31日のフロリダを前に、再び彼はギングリッチに7ミリオンの寄付。フロリダで10ポイントリードしていたロムニーの支持率は、現在3ポイント差まで縮まっている・・。

そもそも「スーパーパック」は候補者への個人や企業献金に上限を設けないルール。これは昨年最高裁が下した決断である。共和党は「BUY AMERICAN FUTURE」を旗印にこのルールを推進した。

万が一これでロムニーが氏名選挙に敗れれば、まさに共和党は金で大統領候補者を決めたことになる。

2008年、NY市長のブルーンバーグが第三の候補として真剣に大統領選への参加を検討した際、全国組織を持たない彼が本気で挑むには、1700億円の金が必要なることを覚悟したという。裏を返せば、アメリカの未来は、この国の民主主義を構成する個人のレベル次第で十分金で買えることになる。

ブルーンバーグはその挑戦をしなかった。いずれにしても、資金力と得票がこれほど比例するのはこの国そこまで単純だという証拠。ただもしロムニーが敗れギングリッチが勝てば、むしろそれはオバマへの援護射撃になるだろう。

なぜなら一騎打ちを想定した場合、オバマVSロムニーは接戦。しかしオバマVSギングリッチではだれが見ても圧倒的にオバマ優勢である。(ただしその時にロンポールが第三政党として出ないことが条件)





2012年1月25日水曜日

日産センチュリー証券コラム1/7の抜粋

アメリカ新素描          1月7 日作成
 
 <2012年はどんな年か>
 
あけましておめでとうございます。いよいよ2012年が始まりました。今年もよろしくお願い申し上げます。
 
さて、日本滞在中に本屋に立ち寄ると、そこには2012年がまるで大恐慌の年になるかのような本が沢山並んでいました。

筆者自身リーマンショック後の2009年には、2012年頃には大変なことになるだろうと予想していました。なぜなら、当時のオバマ政権のなりふり構わぬ救済策をみて、恐らく次の大統領選挙の頃に、その弊害が出るだろうと思ったからでした。
 
 しかし、年末に山岡大臣まで「2012年はユーロが崩壊し、金融大津波がやってくる」などと発言したのを聞くと、どこかに違和感を覚えました。

 災いは予想すると来ず、あるいは予想とは違ったところに現れるモノです。ならば本屋で目にした似たような悲観論は、どこか的外れの可能性を感じます。

 一方米国は大統領選挙が面白くなってきました。共和党の予備選は、大方の予想通りロムニーが強いようです。これは党内の現実派と、オバマ政権の救済からも漏れた中間層が、オバマを倒す可能性が一番高いとされる彼に傾いたからでしょう。

 しかし、原理原則派とオバマに失望した若者は、ロムニーでも、オバマでもない候補者を探しています。
 そんな中、TEA PARTYなどの共和党の原理原則派は、サントラムとギングリッチ、さらには一部はロンポール支持に分裂しています。

 予備選の後半、これらの支持が一人に一本化されてくると、その時点でロムニーに対抗しうる可能性は十分残されているでしょう。
 
 そして、場合によってはロンポールが共和党を離脱し、第三の候補に転換する可能性があります。彼はもともと若者に支持者が多いリバータリアン(自由主義者)です。

 もし彼が現状に不満を持つ若者の支持を引き寄せることができるなら、これまで逆を向いていた反ウォール街の若者と、TEA PARTYの一部が合体するかもしれません。

 その時は、92年の大統領選と同じ波乱の本選が予想されます。そこで、92年の大統領選を振り返ってみます。


<92年の大統領選とは>

 92年は大統領選は、東西の軍事的対立が終わり(冷戦勝利)、また第一次湾岸戦争で米国の指導力が発揮された後の選挙でした。つまり、現職のブッシュ政権は、対外的に米国の一国支配を固めた立役者でした。

 ところが米国内ではS&L危機が起こっていました。それまで好調だった住宅市場を牽引した住宅ローン信用組合(SAVING&LOAN社)が多くが破綻、(3247社中747社)、結果、住宅市場が落ち込み、景気が悪くなってたのです。

 ここまで説明すればお気づきでしょう。92年、米国は対外的軍事作戦で勝利する一方、国内では住宅市場が景気の足を引っ張る今と同じ構造不況にありました。それでもこの時点では70%を超えていたブッシュの支持率は、再戦に十分と思われました。
 
 そしてこの時の民主党の予備選も今回の共和党の予備選と似ています。現職大統領の支持率の前に有力者が立候補を見送り、予備選は混戦でスタートしました。

 最後勝利するクリントンも全国的にはまだ無名に近い状態。彼が有名になったのは、彼の立候補を聞いて昔の愛人が彼との過去の関係をメデイアに漏らしたことが切欠でした。
 
 大統領になった後もクリントンは、女性問題で妻のヒラリーに助けてもらった実績があります。実はこの時もクリントンはヒラリーに窮地を救ってもらいました。ヒラリーが噂を否定する事で、候補者として無名だった彼は危機を脱し、名前も全国的に売れたのです。

 このようにして始まった民主党の予備選は、アイオアからニューハンプシャー、更にメイン,サウスダコタとそれぞれ別の候補者が勝利する状態となりました。そしてクリントンがやっと勝利したのは5番目のジョージアでした。
 
 しかし上位が互いを攻撃する中、失言などで失脚。すると、後方に位置しながらもスピーチで「中道」を強調したクリントンが次第に注目されるようになりました。

 そして3月のスーパーチューズデイで一気にトップに躍り出て、民主党の候補者としての勝利を確定しました。ただこの時点で主役は現職のブッシュでもクリントンでもありませんでした。主役は2月になって大統領戦に参入した第三の候補者「ロスペロー」だったと言えるでしょう。

 ロスペローは伝説のビジネスマンでした。若い時、IBMのセールスマンとして1年間の売上目標を2週間で達成するという偉業を成し遂げ、独立してからも数々の投資で成功、世間は彼のカリスマ性に注目しました。

 その彼が選挙の骨子に掲げたのは、NAFTA(北米自由貿易協定)への反対と、レーガン・ブッシュと続いた財政拡大路線に歯止めを掛ける現実問題でした。
 
 NAFTA反対は保護主義の民主党路線、一方で財政規律は本来の共和党路線です。ロスペローは2大政党の看板を一人で抑えることで一躍支持率でトップに躍り出ました。

 そして本選が始まり、6月の段階での支持率を見ると、ロスペローが39%でトップ、続いてブッシュの31%、この時点でクリントンは25%の支持率でした。
 
 この事態に動揺したのは現職のブッシュ陣営でした。ブッシュ陣営はロスペローへの攻撃を開始。ロスペローは家族の身の危険を理由に選挙戦を降りるという異例の事態になりました。

 ところが、その後にロスペローへのネガティブキャンペーンはブッシュ陣営によるデッチ上げだということが判明しました。するとロスペローは10月に再び度本選に参入。結果本選では20%弱の票を得ました。

 そもそも米国の大統領選挙は実質12前後の州で勝敗が決まりるといわれています。なぜならNY州は誰が候補者でも民主党。逆にテキサスが共和党以外になることはないからです。結果、オハイオなどの五大湖の周りとフロリダなどが激戦になります。
 
 そして92年、現職のブッシュはクリントンに負けました。結果を分析すると、第3の候補のロスペローが20%もの票を得る中、ブッシュは重要な州でクリントンに競り負けました。ただクリントンに負けたというより、ロスペローの参加により、動揺した彼らが自滅したという方が正しいでしょう。

< 第三の候補への期待>
92年と比べ、リーマンショック後の今の方がはるかに深刻です。もし第三の候補者が出るなら、国民がの不満が第三の候補を押し上げる潜在的エネルギーは今年の方が大きいでしょう。

 突然第二のロスペローが現れるか。あるいはロンポールが大化けするか。興味深く見守っていきたいと思います。                       

                                      以上





2012年1月12日木曜日

4億円の経済大国 真マネー原理プロから

真マネー原理プロはこちら

レジまぐ商品の購入はこちら!


日本では小沢一郎の裁判が始まった。攻防は4億円の政治資金だという。一方大統領選の序盤の米国は、誰がどれだけ金を集めたか。あるいは、これから誰がどれだけ集められるかが話題だ。

なぜなら、米国には「政治と金」という表現はなく、この国は「政治は金」である。そして誰もそれが間違っていると思わない。

選挙からみると、2008年オバマが集め、そしてオバマが使った選挙資金は700億円である。ヒラリーも100億円は使った。そしてマケインは、予備選ではロムニーの100億円に及ばないが(ロムニーは50億円を自費で出した)共和党の代表になってからは300億円を使った。

これだけでも凄い金が集まり、そして使われたことになるが、更に4年に一回の大統領選では470人超のすべての下院議員と、1/3(33人)の上院議員、そして州知事の改選が同時に行われる。

これらすべての候補者が集めて使った集計すると、一体どれだけの金が動き、そしてそれが経済効果になるのか想像すべきだろう。(だから選挙の年は株は上がる?)

そして政治(選挙)に金がかかるのは、昨年オバマと民主党が出した法案が最高裁で否決されたことで益々拍車がかかっている。

オバマは選挙で個人が献金できる金額に上限を儲けようとした。しかし共和党系の判事が一人多い最高裁判所は、オバマ(民主党提出)の法案を否決した。

そこで、この制度で巻き返し図るのはギングリッチだ。ギングリッチは個人資産の200億円と言われるのロムニーに資金力では劣る。米国の選挙は勝ち進むにつれて更に金が集まる構図だが、序盤で苦戦したギングリッチには友人で大金持ちのユダヤ人カジノオーナー シェルダンアデルソンが大口の献金を贈った。

次の選挙となるサウスキャロライナでは、その資金でロムニーを攻撃するネガチィブキャンペーンが始まっている。そのCMはロムニーがハゲタカファンドで大儲けしたとき、買収した会社の社員を首したのは快感だったと言っているシーンだ。

大企業の経営者から支持を受け、自分は反労働組合を掲げるギングリッチがこんなキャンペーンをしてもあまり自分の票にはならない。だがロムニーの独走を阻止することには役立つかもしれない。

いずれにしても、米国は、建国当時、国家予算の2%を給料として初代大統領のジョージワシントンに支払った時代から、ムッソリーニの言う、英雄資本主義(カーネギーやロックフェラー フォード)を経て、今は企業が資金力で大統領を選ぶ国家資本主義の構図だ。

その色は共和党で強いが、4年前、小さな若者の希望の資金が集まり、それで大統領になったオバマも結局は民主党の伝統的な資本家層(金融)の既得権益の渦に埋まった。

まあこれが今の米国の国益のあり方なら、日本人として異論はない。一方で小沢一郎が好きか嫌いかは別に、彼が日本を代表する政治家であることは事実。

小沢一郎の有罪無罪に興味はないが、世界第2~3位の経済大国の日本を代表する大物政治家が僅か4億円の政治資金で問題になっているのをみると、国家のリスク管理、国家運営の大局観からは、日本は何かが間違っていると言わざるを得ない。





2012年1月9日月曜日

天才 優秀な人 大バカ者

年初の雑誌の中で、瀬戸内寂聴が、「大バカと天才は同じ魅力がある。一番つまらないのは優秀と言われる人・・」と言っていた。

彼女の感覚は作家独特のものであり、現実の社会では優秀な人が貴重であることに間違いはない。ただ社会にもバランスがある。

天才、優秀な人、大バカ者、そしてそのどれにも入らない普通の人。恐らくこのような個性がバランスよく存在することが、健全な社会には不可欠なのだろう。

通常優秀な人は努力家である。努力家は勉強であれ、スポーツであれ、結果を出せる人が多い。つまり競争社会の勝者である。

ただ受験勉強の延長にある優秀さと、社会における重要度は比例しないことも確かだ。その意味で破天荒な天才か、世間から大バカ者と言われる人たちがう少し今の日本には必要だと感じる。

その一例が年末年始のテレビ番組。どの局も「これからの日本」なる番組を組んでいた。全体の感想は、NHKはBSでは米国と豪州から一流の論客を招いて秀逸な番組を組みながら、総合では「つまらない人たち」がありきたりの話をしていた。

民放のレベルはもはやどうでもよい。ただ目立ったのは池上彰氏だった。彼はBSで、「歴史がわかればニュースがわかる」と題し、信州大学での特別講義を番組として流していた。

なるほどさすがにNHK出身、講義はわかりやすく、ためになるものだった。ただ敢えていえば、聞き手を引き込む迫力がなかった。恐らく優秀な解説と、人の心を動かすスピーチは違うことなのだろう。

池上氏の米国の近代史の解説は、記録として間違いではないが、歴史の本質として間違いだと感じた点がいくつかあった。無理もない。池上氏は世界史全体を講義をしていた。

ジャーナリストしても尊敬に値する池上氏は事前によ準備をしたあとがうかがえた。ただアメリカを専門にするものとして、間違いは正しておきたい。

まずはジョンソン大統領が2期目(実質3期目)を目指さなかったとした点。これは重要ではないが間違い。ジョンソンは最初は再再選を前提に予備選に入った。だが、やはり人気がないことが明らかになると、諦めたのである。

それよりもっと重要な点はベトナム戦争の説明。米国はベトナム戦争を負けたと認めていない。だが目的は達していなかった。池上氏はイラク戦争も同じ。歴史は繰り返すと述べた。

表面的にはその通り。異論はない。だがこれは重要な間違いである。ベトナム戦争とイラク戦争はそもそも全く異質だ。その点で歴史は繰り返していない。なぜか。

米国が国家を挙げて共産主義と対峙し、その信義に西側先進国が従った時代のベトナム戦争と、共産主義との戦いに勝ち、結果米国の一国支配が完成、そして消費経済が一定の成果を遂げた後の衰退期、その匂いを打ち消すために一部の私利私欲で強引に突き進んだイラクは同じではない。

つまり米国は、ベトナムの頃とは全く異質の米国となってイラクへ突き進んだのだ。ここを同じ輪廻で考えるべきではない。この変化を無視して日本が米国と付き合うのは、国家の過ちにつながると私は考える。

具体的には、もしイラクがベトナムと同じ輪廻なら、例えソレが間違いであっても後には同じ繁栄が待っているかもしれない。だがもし米国が過去の軌道を逸して変化してしまったなら、米国にどんな未来が待っているか判らないからだ。

池上氏の努力は尊敬に値する。ただ近代史で重要なのは生の声や経験である。それを伝えるのは知識とは異次元の経験や情熱。恐らくそれができる人は、優秀というより、愚直さや破天荒なエネルギーを持った人なのではないか。

日本人は優秀だ。だが個々が持つエネルギーを引き出すためにはどうしたらよいか。そのための感動や刺激となる天才や大バカものがもっと出てきてほしいところである・・。





2012年1月2日月曜日

絆と法律

正月の風物詩の箱根駅伝は、出場している大学は関東勢ばかり。ある意味東京偏重の象徴で、言ってみればローカル番組。このローカル番組を国民的行事のようにしてしまう読売テレビの威力・・。
 
ただ走っているだけならつまらない。そこで学生のバックグラウンドを紹介し、物語にしてしまう。そこに倒れこむ選手の姿。この情緒が日本人には必須なのだ。ただこちらのテレビJAPANで観戦した米国育ちの息子達は、熱くなるポイントが判らない様子だった。
 
それにしても、東洋大学の柏原選手は「神がかり」な存在である。昨年は「なでしこ」に神の意思を感じた。彼の強さはこれまでのアマチュアスポーツの中で異次元。そしてインタビューで柏原選手が繰り返したのは「絆」。仲間との絆、出身地の福島との絆だった。
 
米国では「絆」は戦争映画では大げさに表現される。一方実社会では「絆」は邪魔になる。なぜか。最初に浮かぶのが弁護士の数。米国の弁護士は有に100万人を超える。300人に一人の割合は日本の50倍だ。つまりそれだけ弁護士の需要があるのが米国社会である。
 
そんな中いつも見ている情報サイトに衝撃を受けた。そこで、家族ぐるみで付き合ったある母子家庭が材料になっていた。3年前の悲報が思い出された。

父親を病気で無くし、気丈なお母さんに育てられた青年は、同じ地区に住む日本人学校の子供のリーダーとして活躍していた。妹は娘の同級生、母親思いの青年はシカゴ一の名門高校の卒業。大学進学が決まっていた。ところがその青年が列車に轢かれてしまったのだ。

その悲劇から3年、残された母娘に判決が降った。サイトは興味深げにその顛末を紹介していた。
 
衝突の衝撃で青年の体は破壊され、その「部分」が駅のホームで列車待ちをしていた女性を直撃した。女性は二箇所を骨折。その後の生活に支障が出ているという。判決は、医療費から慰謝料のその全てを、息子をなくした母親に支払えというものだった。
 
その時青年はヘッドホーンをしていたという。踏切を渡ればホーム。彼は自分が乗る列車は確認したはずだ。ところが別の特急列車が猛烈な勢いで各駅列車を追い抜こうとしていた。彼は気づかなかった。 
 
原告を弁護した弁護士は、裁判で青年を「愚か者」と呼んだ。実際に青年を知る立場としては受け入れられない。ただ死者に鞭を打ってでもこの国ではお金は大事。弁護士の評価は裁判で最後はどちらが金を手にしたかで決まる。
 
小泉改革後日本の司法制度は大きく変わった。弁護士も増えた一方で、今仕事がない若い弁護士が大勢いると聞く。ソレはいい事なのか、悪いことなのか。日本人は自分でその答えを見つけるかしない。

個人的には、 司法制度の前に、変えるべきは米国が敷いた憲法だったとずっと考えている。日本はこの「絆」をどう守っていくのだろうか。