2013年9月16日月曜日

インフレの前のバブル


今回のFED議長の騒動、普段米国マーケットをみていないセミプロ、素人筋まで、サマーズは嫌いだといっていた。それだけ皆を巻き込んだ騒動だった。これはどういうこと?。実はこれが今のバブルの本質である。

プロとして米国市場を観てきた自分自身、ずっとサマーズは嫌いだった。その印象が一方的かもしれないと思った瞬間があった。それは映画「ソーシャルネットワーク」を見た時だ。

映画でハーバードのブランド力から始まったアイデアを、ザッカーブルグに盗まれたと考えたウィンクルボス兄弟は、当時ハーバード学長のサマーズを巻き込もうとする。

サマーズは財務長官として、米国をマネー中心の経済に換えた立役者の一人、この時兄弟は、サマーズは自分たちのアイデア(ハーバードのブランド力を活かしたビジネス)をサポートすると考えた。

しかし、学長室を訪ねた兄弟を、サマーズは「学問の場と金儲けの場を混同するな」と一喝した。

このシーンがずっと引っかかっていた。そして添付した2011年のCNNとのインタビューで、サマーズは「木曜日の午後、ネクタイと背広を着て構内をうろうろしている学生は、就職の面接を受けた学生か、学業意外のろくでもないことに一生懸命な愚か者たち。この時は後者だった」と答えている。映画は事実だった。

http://money.cnn.com/video/technology/2011/07/20/t-bst-summers-winklevoss.fortune/

このインタビューでも彼の態度は横柄だ。そしてマーケットが「次はイエレン」で安穏としていた時、突如オバマ政権はサマーズをノミネートと報じられた。政権は次に来るリスクの本質が何か判っていると感じた。

それでもサマーズから出る臭い。あるいは過去の金融筋との関係で彼を毛嫌いする民主党。彼が学長だった時代のフォワードスワップの大損まで持ち出し、FED議長として相場感が悪いとの批判が出た。

そもそもハーバード基金は1990年に8000億円程度だったが、それが大損を出す直前に3兆円になっていた。これは新規資金と運用益。日本の大学が束になっても吹き飛ばされる桁違いの成功。

損はこの成長を達成したスタッフが最後に間違えたモノ。FFが1%以下になるとは想定しなかったポジションだ。サマーズは最終責任者だが、ここまで成功したスタッフを尊重したのは違和感はない。

いずれにしても、巷のエモーションに負けて優秀なオバマ政権がサマーズ任命を断念したのは、米国にとってどんな結果を齎すのか。言い換えれば同じ民主主義の勝利だが、これはシリアとは違う問題。


冷戦終結後、旧ソ連の外交官が、これでアメリカはいずれ大変な不幸に見舞われるといったのは有名な話。

アメリカの一国支配が完成すると、政治より経済が上になった。そして実体経済より、金融が中心になった。すると冷戦までは、資本主義と共産主義の戦い、自分より国家を憂いだ人は自分だけが中心になった。

そして起こった金融危機。それを救ったFEDは、過去のベールを剥がし、透明性が増した。ならば皆が次のFED議長の人事に関心を持つのは自然だ。

そこに一つ勘違いが見える。今の市場は、インフレの前のバブルに無関心だ。インフレがなくともバブルは起こる。その時にFEDは無視してQEを続けるのか?そう思うのも自然。なぜなら、その自分がバブルであることに市場は気づかない。

だがバーナンキは気づいている。サマーズはその時がくればやるべきことをやる人だとオバマ政権は判断していた。ではイエレンはQEを続けるのか? サマーズが無理ならオバマはガイトナーを考えるだろう。だめならコーンかもしれない。

たとえ、イエレンにしても、ここからのFEDは市場が願うよりハト派ではないだろう・・。


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