この国は広い。だが実はその真の意味を多くの日本人はまだ理解していない。その話の前に今日は渦中のSEC(証券取引監視委員会)でニュースがあった。マードフ事件を見逃した事に激怒したあのアイオアのグラッシー上院議員 (WSへのハラキリで有名) の指示で行われたSECの内部調査の結果、2008年からの2年間に31人に及ぶSECのスタッフが、勤務時間中に国家から支給されたパソコンでポルノサイトを覘いていた事が判明したのだ。それもちょっとだけならまだしも、中には一日に8時間以上費やした者、また態々フラッシュドライブを使い、閲覧禁止の防御を潜り抜けた者が数人いた。
あの金融危機の最中にSECの連中はいったい何をしていたのか。米国では本来SECの様な捜査権を持つ監視機関を畏敬の念を込めてWATCH DOG(番犬)と呼ぶ。だがこの番犬はWATCHしていた対象が金融の犯罪者ではなく「別のモノ」だった。笑い話の様な顛末。年収2500万円クラスの当事者は既に辞任したというが、ただ、だからといってこの話が詐欺疑惑を巡って現在SECと対峙するGS(ゴールドマンサックス)を助ける事にはならない。恐らくグラッシー議員からすればGSもSECも同じだろう。彼らはNYを舞台にした金融村の人々。その中で今はSECとGSのどちらかを味方する話がでると相場はそれに一喜一憂する。だがこの現象は広い米国を舞台にした地殻変動とは無関係だ。
では話題の金融改革法案を巡る攻防は何を背景にしているか。それは冒頭の「この国は広い」というテーマに直結する。たとえばリンカーン上院議員が提唱したデリバテイブ規制だ。彼女はアーカンソーの代表。そして農業政策委員会のトップだ。申し訳ないが彼女やアイオアのグラッシー議員にデリバテイブが解るとは思えない。だがそのデリバテイブを全部取引所で行うという当事者には非現実的なこの話が上院議員から出てくる。それが広い米国の本質だ。そしてこの広い米国について、その専門家を気取る輩がワシントンとニューヨークの人脈だけで商売が出来た時代は終わった。なぜなら何度も言うが、上院は各州二人である。この上院の構図はこの国の民主主義の未開の部分をこれから世界にさらけ出すだろう。
そして金融村の弁護者であるNY州のシューマー上院議員がおとなしいのは、今彼が「多勢に無勢」である事を現わしている。その中でワシントンのFED(中央銀行)の政治も動いている。そのFEDは予定より早く買い支えた住宅証券の市場への再売却を計画しているという。ソレに反してきたダッドレー ニューヨーク FED総裁と、強硬に証券売却と1%までの短期金利の利上げを主張するカンザスシテイーFED総裁のホー二ング。ついにホーにングがダッドレーを土俵際に押しこんだ証拠だ。だが最後カギを握るのはバーナンケ議長。彼は中西部のカーボーイではない。彼にはキリスト教と米国の魂の原理原則の下で死ぬ覚悟は絶対ないだろう・・。
0 件のコメント:
コメントを投稿