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2012年2月5日日曜日
フェイスブックと言う「ハコ」
フェイスブックが上場する。
90年代のマイクロソフト、2000年代のグーグル。米国の株式市場には10年ごとにその時代を象徴するスターの上場があった。今回のフェイスブックは2010年からのシンボルとしての上場だ。そして上場時の予想時価総額は7兆円だという。これは主幹事の証券会社が同社にはそれだけの価値があるとして決めたものだ。
この金額の妥当性を、グーグルと比べながら考えてみたい。グーグルが上場したのは2004年9月だった。その時の時価総額は2兆円。今のグーグルの時価総額は13兆円。8年で6倍になった。そして今の同社の2011年の総売り上げは2.2兆円。利益は9000千億円である。
一方フェイスブックの今の売上は2500億円。利益は700億円だ。 つまり現時点ので売り上げと利益を比べると、フェイスブックはグーグルの1/10に過ぎない。だがモルガンスタンレーやゴールドマンサックスなどの主幹事証券会社は、ファイスブックの価値はグーグルの半分が妥当だという。フェイスブックの収益は広告。同社はこの分野で本当にグーグルに勝てるのだろうか。
もともとフェイスブックには、ほぼ同じ仕組みだった「マイスペース」という先輩がいた。だが、ハーバードというブランド力もうまく使った改良型のフェイスブックにマイスペースは駆逐された。これはヤフーが一時グーグルに駆逐されたのと似ている。そんな中、こちらでは「WHOSAY」という新手のサービスが始まった。
「WHOSAY」ではオーナーがフェイスブックやツィッター YOUTUBEなどのソーシャルネットワークを一元管理できる。今同サイトはまずセレブだけを対象に会員を集めている(現在700~1000人)。これも注目が十分になったところで開放すれば、フェイスブックと同じ効果が狙えるのではないか。
確かに、オバマ政権との強い結びつきや「アラブの春」などを通してフェイスブックの影響力は証明済み。しかし、どんどん新しいライバルが生まれる世界で、フェイスブックは別格の圧倒的頭脳集団のグーグルに勝てるのだろうか。勝てないならこの設定株価は高すぎる。
一方で日本でまだフェイスブックが知られていない頃、こちらでフェイスブックの第一世代だった娘の世代は、今はフェイスブックから距離を置いている、理由を聞くと、就職などで、フェイスブックで自分の過去が全部チェックされるからだという。
そういえば日本では、ボロ会社に架空の夢物語を語らせて株価を吊り上げる時、その道の専門家はそのボロ会社を「ハコ」という隠語で呼ぶらしい。勿論フェイスブックは凄い会社。しかし主幹事証券会社が株価を強引に吊り上げるなら、資本市場での仕組みは「ハコ」になってしまう。
もともとマークザッカーブルグ本人は上場に積極的だったわけではない。彼自身既にお金は十分ある。一方でこれほど非公開の段階で次から次へと売買された株も初めて。つまりこの上場は、最後の持ち手が利益を確保するために絶対に必要な場なのだ。
フェイスブックの上場(価格設定)が、米国株式市場の次なる発展の起爆剤になるか。リーマンショック後、収益が細る証券会社の断末魔の愚行になるか。見ものだろう・・。