2015年9月28日月曜日

アメリカへの説教







紀元後、10回程度しか起きていないないとされる、重要なユダヤの7年周期(Shemitah)とスーパー・ブラッド・ムーンの同時発生。ユダヤ教はともかく、あの大震災が、スーパー・ムーン直後だったことを、日本人は忘れられない。(スーパー・ブラッド・ムーンだけなら30年周期)

更に中東のイスラエルで、スーパー・ブラッド・ムーンのエクリプス(月食)が肉眼で観測できるのは史上初と言う説。説の真贋はともかく、イランが思い通りにならなかったタカ派イスラエル人の動向が注目される。

そんななかアメリカは過去例のない忙しさだ。史上初めてローマ法王がアメリカ議会で演説。TVで法王の後ろに写った下院議長ベイナーの様子がおかしかったが、翌日彼は電撃辞任した。

議長として法王を呼んだのはベイナー。一見強硬派だが彼は生粋のカソリック。カソリックがアメリカ政治でどんな立場だったかは、史上初めて「カソリック」として大統領選に挑んだケネデイーが、選挙戦ではバチカンの命令には従わない宣言を強いられたことからも想像できる。

そしてバチカンも、二代前のヨハネパウロ二世は、マサチューセッツの下院議員と神父を兼任したドライナン氏に議員か神父のどちらかを辞める選択を迫った。(ドライナン氏は議員を辞職)

このように、40年前は想像できなかったローマ法王によるアメリカへの説教。次世代の主役のミレニアルの多くは宗教へのコミットが薄れるなか、この国はどこへ行くのか全く予断ができない。

このあたりの詳細は直近のマネー原理プロ(神父さんと牧師さん)で解説した、可能性としてのジェブの苦境の現実化からも混沌としている。
      

          


その混沌の中のベイナーの辞任は、彼をしても共和党は纏まらないということ。共和党の名前は残っても、リンカーン前後からのGOPの伝統は終わりを示唆する。となると、そういうアメリカから独り立ちできない日本は迷子になる危険性はないのだろうか。

この重要なアメリカを見守る日本のマスコミは、同時に訪米した習金平氏の露出が減った、、(読売)。NHKは、安倍さんの時よりも豪華だった習金平歓迎のレセプションで、アメリカは日本よりも中国が大事なのか、、という切り口。

日本にいる世界のスパイたちは、安心して日本食を楽しんでいると思う。





2015年9月20日日曜日

This is your moment 転換への期待

              



               This is your moment

           「 いまこの時は、君達のためにある 」

                   ・・・ハーブ・ブルックス       
    
     参考 http://marukano-gb.blogspot.com/2014/02/blog-post_16.html





同点ではなく、ジャパンが逆転を狙い、スクラムを選択した時、アメリカの近代史を変えたかもしれないあの瞬間を思い出した。

米ソ直接対決。100回に1回もないといわれたアメリカの勝利は(ミラクルオンアイス)、スポーツを超え、政治経済のどん底から冷戦勝利。そしてアメリカ一極支配が完成する原点だったことは、このブログの基本だ。


そして奇跡的なラグビージャパンの勝利と時を同じく、日本では大きな法案が成立した。

これまで反対と賛成の多くは、ディズニーワールドと、結局はアメリカの支配下で自分の身を守る現実主義のカブキダンス。どちらにも独立国としての勇気を感じなった

ただ何はともあれ、物事が動いたことは良かった。ただし2016年を睨み、日々変わるアメリカの内情からは、このコストは安倍さんや自民党が考えているよりも大きいはず。だから安倍政権には準備をして欲しい。(急がば回れ)

同じ趣旨のことを相場でいうと、ネガティブ主義、あるいは、日本売りのヘッジファンドの手先と勘違いする人がいる。

もちろん主観だが、いろんな可能性へのプレパレーションと、過去の経験から、あるいは自己ポジションからの願望という我感で、安倍政権を妄信するのは同じではない。

いずれにしても、個人的に安倍政権に期待するのは、アメリカ追随一辺倒ではなく、独自の戦略で、戦後眠ったままの日本人の闘争本能を復活させてほしい。

今のラグビージャパンはいろんな国の出身者がいる。歓迎する。自称サムライのサッカーにも、同じことがおきて欲しい。

同点のためキックではなく勝つためのトライの気概。このスポーツの奇蹟は日本の転換点になるだろうか・・(せっかく南アに勝ったのだからアメリカに負けないでほしい・・)

2015年9月18日金曜日

利上げよりも大切なこと(特別号)

今日のFOMCを世界中が注目しています。そこで近くで眺める者として、参考までに、いくつかポイントを挙げておきます。まず、株(インデックス)が上がるのかという単純な点。


先週までに「上げた方がよい」が、逆を上回る状況になっていました。しかし今週はソレを先食いしているので、今朝の時点では、上げないと失望売りを誘う可能性を感じます。

そして個人的には、60%の可能性でFFレートは変わると思います。ただ理由は巷の議論の中心の景況感や、マンデート云々ではありません。(それだけなら上げない可能性のほうが大)。

政策金利として、FFレートに介入するボルカー時代からの現行手段には限界がきました。FEDのオペレーションを担当する最近のNY連銀のメッセージは、そろそろFEDは新しい手段を試さないといけないという切迫感があります。(ここは株ではなく金利の専門家でないと意識していません)

その前に、そもそも日本の報道では、ワシントンのFRBがアメリカの中央銀行という報道がされますが、法的にも実体も全くの間違いです。

政策決定会議(FOMC)はFRBの配下ではなく独立した組織。そしてFEDのバランスシートととは、民間企業のNY連銀のバランスシートです。

そしてここに来てNY連銀が直面する課題は、必要な時にどうやったらFFレートが上げられるかというテクニカルな問題です。

下げるのは簡単でした。無限大にマネーを供給できるFEDの代行で、NY連銀の若いトレーダーが、FF市場に「買い」で介入すればよかったのです。

しかし、この8年間にあまりにも大量のマネーが生み出され、今はFFファンド市場で米銀大手は資金調達をしません。

そこでNY連銀は、将来の利上げを見越し、今年からリバース・レポという手段で、市場から資金を吸い取る仕組みを試しています。(手持ちの債券を市場に出す)このあたりはFRBの仕事ではない実務なので、イエレンの話云々だけを聞いていてもわかりません。

それでも米銀の資金は有り余っています。今、日銀の当座預金にあたるリザーブ(準備金)には260兆円の資金が預けられています。

大手行のバンクオブアメリカは、2008年に400億円弱しか預けていなかったのに、今は13兆円も預けています。なぜなら、2008年のリーマンショックで、そこにFEDは金利をつけてしまったからです。

リザーブは金融システムを守るために強制的に預けなければならない部分と、強制ではないが、大手銀行が自発的に預ける部分があります。他の中央銀行はずっと前からここに金利をつけたのですが、伝統的にFEDは金利をつけませんでした。

でも一旦つけてしまうと、ここからマネーは離れません。そして、今もしFEDが金利を上げようとするなら、市場では前述のリバースレポで資金を吸収し(FEDが借り手になる)。一方でリザーブで預かっている預金の金利も若干高めに維持しなければなりません。(そうしないとリザーブから資金が出尽くすまで、リバースレポで資金を吸収する効果がない・・)

ただそんなことをすると、FEDのコストは上がり、財務省への還付金は減り、強いては長期債券マーケットが下落すると、米国の国家の資金調達コストが上がってしまいます。

では何でこんなことをしてまで利上げをするのか、、

バブル論もありますが、簡単に言うと、寿命が来たシステムをいつまでもやっていることのリスクをアメリカは知っているからでしょう。たとえ今回でなくとも・・

2015年9月15日火曜日

上善如水 

        

 http://www.cnbc.com/2015/08/14/space-is-dying-but-heres-why-you-shouldnt-worry.html


ここ数年ずっと「水」をテーマにしてきた。

最近は物理学には無縁の自分も、未知なる宇宙への準備を心がけている。理由は、(恐らく)平和な時代の最後のフェイズ(コーナー)、中央銀行の繰り出すマネーが全ての問題を解決するような安易な風潮への抵抗。「水」や宇宙は、まだまだ人間は小さいことを、考え直す上で重要だからだ。(QE:小手先のごまかしは、そろそろ時間切れ。)

夏王朝の始まり。最初のリーダーは、川の氾濫に立ち向かった人という言い伝えがある。エジプトで天文学が発展したのは、次のナイルの氾濫を予想する必要があったとする学説。メソポタミアやインダスでも、富や武力、さらには原始宗教で王朝が確立するまえ、どんな能力を持った人がリーダーになったかは想像できる。

日本では鬼怒川の氾濫後、阿蘇が噴火した。同時に東京で大震。一体どうっているのか。不謹慎だが、海外から見て、せめて東京五輪までは、富士山は怒らないでほしい。

戦後、大きな意味では皆が幸せになった。でも自然への畏敬を忘れてはいけない。東北大震災はそんなメッセージだったと思うが、日本の社会が「和の集合体」になったのは、この自然環境に対応するためでもあったと思う。

ただ大陸から離れた地形と、この自然環境は、ガラパゴス的性善説の脆弱性も併せ持つ。特に、大陸で起こる災いで、戦争や金融市場のボラなど人災への対応は難しい。戦後70年、冷戦後の安定期が終わる今、ここへの日本の対応力が試されていると思う。

この事態に日本のリーダーはどんな対応を取るのか。当然世界は注目してきた。リーマンショックの影響が残る間、欧米は強調した。しかしオバマ政権の終了を睨み、明らかに欧米で方向性にズレが見える。そんななか、日本国民の本質と、現在のリーダーの安倍さんの政策のズレを、海外の投資家もどうやら感じ始めている。(安倍さんの支持率を気にしている)

そもそも英米と同じシステムを導入するなら、貧富の差を容認し国益のためには戦争さえ辞さない覚悟が試される。実現すれば需要が拡大するので、インフレが復活する可能性が高い。

だったら金融機関は債券だけを金庫に持っているわけにはいかない。米英の中央銀行はそういう事態に備え、いつまでも金利をゼロし、マネーを供給する中央銀行が、自分で市場を支えるなどいう緊急処置をいつまでも続けることはできない。

一方地続きの大陸は、平和と強調がより重視される。これ以上英米のような格差を単純に受け入れるのは無理。中央銀行が今後もマネーを刷ってもいいが、最終的にはその目的が格差是正、社会主義へ向かっていることが求められる。中国やロシアなどとの関係も、当然米英とは違う。では日本はどうするのか。

安倍政権は英米を向き、国民の半数以上は大陸を向いている。これが個人的分析。ただ国民の大半は中国は嫌いで、米国は正しいと信じている。だからここまでは良かった。

実は同じ問いをISISに日本人が捕まった際にもした。安倍政権は日銀にQEをさせながら身代金を払わないのは矛盾していると。これは安保法案を反対をいいながら、新たな黒田バズーカを期待している現象と同質。いずれにせよ、国民は本当にインフレの復活を望んでいるのだろうか・・。

最後どちら側の覚悟を決めるのか。決めないまま行こうとしても、政治より先に市場が答えを出す可能性を感じる。


2015年9月10日木曜日

アベノミクスはダメッジコントロールを。そろそろ本気で国債を守り、次の時節を待つべき




安倍さんには天運を感じる。その運を日本の未来のために使って欲しいとずっと考えている。しかし、アメリカから見て、今の官邸は完全に時流とズレ始めている。
無投票で再選を決めアベノミクスの完成を訴える安倍さん。でも個人的にはアベノミクスは空売りの対象になりつつある。国策に空売りはなしと考えるなら、PUTのイメージは必要か。(アメリカを空売りした奴は必ず負ける・・は、元NYSE会長のグラッソーの名言。彼はこの名言で200ミリオンの退職金を得たといっても過言ではない。でもこの名言もいつか寿命が来る)
ズレの背景は米国上院でオバマのイラン核開発法案が信任されたこと。共和党は反発しているが、暫くは戦争はない。なら安倍自民党は、もう少し時間を駆けて、日本国民を説得したほうがよい。(というより、世界情勢がその時になれば、平和ボケの国民は安倍さんに靡くしかないのだから、その時を待つべきでは・・)
それを5月に米国議会で発言したとおり、ここで強引に法案を可決すると、結局安倍さんはアメリカのポチだった印象だけが残る。恐らく起こるその強い反動。オバマ政権は安倍さんを見放す可能性がある。
アメリカでは今週から元々本命とされたジェブとヒラリーがシリアスに反撃を開始した。彼らには本命の余裕はもうない。もし次がジェブでもヒラリーでもない場合、日米共闘の安倍さんは浮いてしまう。
更に、イランに反発した共和党が強引にシャットダウンに持ち込めば株は下がる。そうこうしている間にも、安倍さんが総理だから日本株を買ったヘッジファンドの変節の可能性。そういう悪循環の可能性は避けたほうがいい。そしてこの先の相場のリスクを予想した場合、最早追加増税も不可避だろう。
そもそも最初の増税をすべきではなかった。20年来のデフレを克服するなら、バブル復活は大いに結構。その勢いで川を渡り切り、その後、(目標達成後)時流見て、引き返すなら引き返すべきだった。
ところがやったのはアクセルとブレーキの両建て。そのツケと、今回のグローバルな株下落に合流した印象。これではアベノミクスは勝ちきる前に、ダメージコントロールを迫られる可能性がある。(この場合は株価よりも貧富の差解消へ)
グローバルな視点でのリスクは、次にバブルが崩壊する場合、(今の株の下げが繋がるとは限らない)、いよいよそれは中央銀行バブルの崩壊となる可能性が高い。それは過去例がない最悪のケース。(一番近いのが南海泡沫)
その最悪を想定した場合、他の中央銀行に比べ、日銀は株を上場し、巨大なバランスシートにはEquityがたっぷり。あれだけ派手にQEをやりながら、デフォルト以外では満期で元本が戻る債券しか買わないFEDとは対照的だ。
そしてFEDは、何度FED憲章を読んでも良く判らない柔軟性を持つ。バランスシートのリスクはNY連銀単体。ワシントンのFRBは権威を付帯されている一方、最後の責任は誰にあるのか。まさに合衆国という集合体の中でのワシントンの位置づけ・・
スイス銀行も日銀同様に大量に株を買い、上場もしている。体力からしてスイスが悲惨になったら日銀は赤信号。その時は、人口動態が逆ピラミッドの日本で国家が守るべきは株式ではなく、国債市場。だからここは増税不可避に変節する。(株が下がっても国は死なないが、国債が本当に暴落すれば、自力での復活は困難)
このシナリオがいやなら、早々にアメリカすら及ばない新兵器を開発し、自分が地球のパワーバランスのリセットで勝ち組に回るか。移民でも何でもいいので、人口を増やし、未来の国家債務負担者の確保をアピールするしかない。(ミクロで悠長な議論は無用。森が焼ければ木は残らない)
そのどちらも嫌。一方で平和を叫びながら、日銀のサポートで自分の株が上がることを期待する人は、早々に米英追従から、中国や大陸欧州との協調に軸を移すべきだと思う(それが悪いわけではない)。
まあ中国の国策は売りでも日本の国策は買いだと期待しているなら、 GOOD ON YOU

2015年9月4日金曜日

チカゴの断髪








NHKの番組で、維新後、日本が西洋列強に馬鹿にされないためにどうやってちょんまげ文化をやめさせるか、木戸孝允が苦労した逸話を紹介していた。

木戸は、明治天皇がちょんまげをやめれば国民も止めると考えた。しかし天皇の周りは、伝統を重んじる貴族が固めている。中でも倒幕で力を借りた岩倉具視は急先鋒。彼はアメリカへちょんまげと袴で全権代表として渡った。

以前ここで岩倉使節団が、シカゴの先物取引所を訪れた最初の日本人であることを紹介した。(訪れたのはCBOT、岩倉使節団のころはCMEは存在していない)

当初岩倉は、自分の姿をみたアメリカ人が喜んでいるのをみて、日本の文化が評価されていると勘違いをした。しかしシカゴに留学していた息子から、アメリカ人は本当はバカにしていると聞かされた

戦後、日本にアメリカが浸透し、CHICAGOは「シカゴ」になった。しかしここでの発音では、シカゴではなく、「チカゴ」のほうがまだよい

その意味で、思い込みが浸透するまえ、明治になったばかりの日本人にはフレッシュな聴力があったようだ。以下は岩倉使節団に随行した佐々木高行氏の日誌

「 チカゴと云える所に著きたる頃、大使も何時となく断髪となり、衣服も是れ迄と違い、洋服となれり何分外国風に無くては外人に軽蔑さらるるとの事にて、公達方より其の旨申上ぐる事などより、断髪改服の運と聞けり」     土佐藩、佐々木高行日記より・明治5年1月14





ところで、本日のECBのドラギの「欧州統合は経済効果だけでなく、平和を前提にした政治の安定が目標」は、大陸欧州エリートの本音だろう。ならシステム危機がないこの時点で米英と感覚が違って当然

そしてWSJの記者から質問、「この時代2%のインフレ目標はそもそも目標として高すぎるのではないか。その(高すぎる)目標に向かって、何でもありの政策は、それ自身に無理はないか」を一蹴したドラギ

ここは、これまでどおり資本主義(かなり曖昧)を守るために戦争を厭わない英米と、もう戦争をしないために(今のところ)資本主義の終焉を厭わない大陸欧州の違いを感じる

17世紀以降世界をリードした西洋白人文明。しかしカソリックの本流と、プロテスタントへの違いは、経済政策では鮮明になってきたと思う

一方そもそもギリシャ(東ローマ)がローマに助けをもとめて十字軍を編成されながら、イスラム教VSキリスト教の対立の歴史で、ギリシャ正教はしぶとくロシアまで拡大した

そのまま現在に至り、伝統的な中東と大陸欧州の関係に絡むプーチン。それを眺める英国。覇権国家アメリカは、どの材料にどう対応するのか。とりあえずオバマ政権のイラン核協議妥結は本日信認が担保された

いずれにしても、これからの鍵はやはりセム・ハム・ヤペテを認めない中国。そんな中、NYタイムス東京のMartin Fuckler氏のツイートが興味深い。底流には岩倉具視のちょんまげと同じ、西洋人の日本人への皮肉を感じる

Japanese are least likely to discuss current events among adults polled in eight countries:

確かにFACEBOOKは食い物の話題が中心のようだ。まあこれは日本が平和な証拠。逆に言えば、そういう場で激論をしないのは日本の品格かもしれない。ただこれだけ世界情勢の変化している中、識字率と偏差値の高い日本人が、時事問題を論じないのは、、

いずれにしても、安倍ジャパンは、どちらかというと大陸欧州に近い国民を抱えながら、英米のシステムを追従中。5000円以上もするピケティの本が13万部も売れる国で、安保関連法案や、憲法改正は至難の業だ

もし可能なら、それは神の国の奇跡なのか。それともちょんまげマインドの結果なのか。個人的にはどちらでもいい。ただルビコンを引き返すなら、一度完全に川を渡ってからの方がよい
でもソレをやろうとした高橋是清は殺された

彼は、日露戦争ではGDP10倍の国債を売り、日中と太平洋戦争では、ブレーキをかけるほうに回り、軍の怒りをかって殺された

日本は単一民族で、民主主義のブレーキが効き難い。だからこそ時の指導者の相場観が重要。そこでは変節はかまわないはずだ。でも川を渡っている途中で止まると、その戦は負ける

高橋是清は、アメリカを肌で知り、スクールスマートではなくとも、西洋の白人が主導権を握る当事の国際情勢のなか、日本がその時々でどう変節すべきかの相場観を持っていたと思う。ただしあのときにはもう遅かった。死ぬことで変節の重要性のメッセージは残した


いろんな価値観があるアメリカは、二大政党制が順番に変節の役割を演じている。バフェットの言う「この国は、これまで、右OB 左にOBを繰り返しながら結果的にフェアウェイの延長のピン(国益)の目標に向かって来た・・」はその通りだと思う

では次は? なんとなくそのパターンも終わる予感。ヒラリーは、共和党の攻撃で、バイデンが出馬すれば危ない状況まで追い込まれた

二人の間で様子を見ていたオバマは、なにやらバイデンに傾きそうな雰囲気。バイデンはオバマが敷いた米国のリベラル化を引き継ぐはず。 

一方共和党では、本日トランプはたとえ大統領候補になれなくとも独立候補としては立候補しないことを宣言(文書に署名)。バイデンが民主党の代表になれば、共和党はフィオリーナにも可能性が出るが、まだ予想がつかない・・。





2015年9月2日水曜日

金融の遊びと人間の怨嗟





               (写真はともにCNN)


http://www.cnn.com/2015/08/31/us/texas-deputy-killed-gas-station/index.html


米国で黒人が白人警官を殺すのは珍しくない。

しかし、死刑執行のスタイルで、15発の弾丸を後頭部に発射するのは新しいステージ。

貧富の差からくる人種差別への怨嗟は、この国をリンカーンの前に戻すのだろうか。

そんななか、日本では山口組は、関西勢が離反し、分裂するという。

そもそも山口組の本部が、神戸から名古屋になるのはどこか無理がある。

どこかの政党も似たようなはなし。

強調体制ができても、やはり世の中には周期がある。



アメリカが冷戦に勝った後の一局支配。

冷戦真っ只中に生まれた世代にはここが転換点だった。

そこから20年、そろそろこのサイクルの最終章を考えるタイミング。

新しい時代の前には、やはり、いろんなことが起こる。


株も動き出した。

株は本来は上がったり下がったりするもの。

でも金融がシステム危機になったリーマン後は、中央銀行の政策は常軌を逸した。

株は上がったが、実態経済は株から置いてきぼりになった。


この時代、新しい商品の登場も大きい。

ETFやボラ商品の空売りは、インデックスジリ高の主役だった。

しかし一旦動き出すと、ボラのショートはカバーしなければならない。

結果的に現物のVIXが飛び跳ねる。

そもそも現物VIXは、16で1% 32で2% 48で3%、、、、

SP500の一日の変動幅があることを前提にしている。

SP500が2000になり、VIXが16~32のゾーンにいるということは、

SP500が1500より下だった頃とは値幅が違う。

それは無機質な現実であり、本来いちいち解説はいらない。

でも下げ幅が大きいとメディアが取り上げる。

すると、しゃべらない方がいい人(知識が中途半端)がしゃべる。

マーケットはもっと動く。

リグの全体像を知る一部のヘッジファンド、

あるいは個人でも天才的トレーダーにはチャンス、、


いずれにしても、今米国のM2には12兆ドルが待ち構えている。

何度も言うが、リーマン時のようなシステムリスクはない。

しかし、システムリスクがないのに、

中央銀行による市場のサポートを期待する市場参加者が多すぎると、

それが全く別の新しいシステムリスクを呼んでしまうかもしれない。

流石にイエレンもそろそろそういうシナリオが怖いだろう。


だから米英では利上げが予定されている。

たとえソレが1937年型になったとしても(最悪戦争を伴う)

資本主義のスプレッド社会が終わるよりはいいと考える人。

そう考えるより、資本主義が終わるほうがいいと考える人。

これが、全ての事象を取り巻く今の真の戦いの本質。

良くも悪くも、日本は敗戦で侍の時代は終わった。

結果、国民の大半は後者に近いと思う。

その国民を抱えながら、システムは前者の米英に追随する安倍政権。

ここまでは順調に着たが、どうやら歯車がずれ始めて来た様子。

だからといって、賽を投げながら、ルビコンを引き返すこと、

そういう戦は負けるか、大事な人が死ぬ。 高橋是清がいい例だろう。 

(アメリカはQE3前の2012年まで戻してもダウは15000。日本は?)


いずれにしても、一人でも多くの日本の次の世代に、自分の失敗と、

プロとして観てきたアメリカの事実をどう伝えるか。

残された課題。


< 参考 8.27日、マネー原理プロ   >

ここで今一度整理しておくと、

1) 中国の通貨切り下げ前から、米株はFEDの利上げ睨み、200日線ゲーム終焉が秒読みに入っていた段階だった。(上海が下がる中で米株は高値圏を維持。中国の統計が嘘で実態経済が良くないことは2年程度前から承知していた。要はFEDの利上げへの準備)

2)そして中国に背中を押され、200日線が割れると、アルゴやHFTのシステム系が走り、VIXなどのボラプレーヤーもショートのカバー。‘ここが下げ幅の直接の原因。まだ主要なVIXプレーヤーは人間だが、彼らにとっても200日線割れ後の対応は無機質な決断。コストはかかるがパニックではない。

3)翌月曜はETFなどにフラッシュクラッシュ現象。でもシステムリスクはなく、米国債のボラは上がらなかった。(中国の米債売りの噂は関係ない)

4)世界がこれを「チャイナショック」と呼ぶなら、米国での中心はアップル。ジムクレーマーがアップル救済のためのルール違反。(クックCEOのEMAIL公開は相場操縦に当たるはず) 

5)そして予定通りのダッドレーの発言。トータルでハトではなかったが、メディアハトの部分だけを強調。背景には、FEDのQEを批判し続けてきたタカ派も商品で逃げ遅れたので、QE4を煽り、一旦逃げる場面を作りたい(ピーターシフ ジムリカード。一見ニュートラルのエルアリアンやWSJを代表してヒルセンラスなどを見れば明白)


そしてここからは、当局はどこまでやるかの判断が難しい。

そもそも中国元の切り下げは、経済の苦しさからはせいぜい30%、70%はIMFで11月のSDR承認を目指した政治的な意思。株価対策で9月3日の抗日戦勝記念日に隠し玉を用意している説など、何でもありの株価対策と、SDR加盟のため、通貨には市場原理導入のダブルスタンダードをどう読むか・・

(その前に、そもそもIMFは中国通貨のSDR加盟を延期したという解説は間違い。延期を提案したの米IMFのスタッフレポートであり、決めるのは188カ国の代表からなる理事会。この理事会は10月から11月へ延期された・・)

一方のアメリカでは、2012年以降のQE3の実態経済への貢献も限定的だったので、インデックスの調整も実体経済へ影響も限定的。ただSTAYすれば、徐々に影響が出る。

そんななかで9月中旬までのデータ次第といっているFEDの利上げはどうなるか。

いずれにしても、中国元の切り下げの本質は、アメリカドルへの挑戦。輸出促進という観点のみの相場観は当たらない。この米国一国支配への中国の挑戦をアメリカがどう受けて立つか。それは政権次第、アメリカは誰を次の大統領にするのか・・

金融ではもしQE4をやってしまったら、アメリカは市場をサポートするなら何でもありの中国と変わらない。結果、デフレの輸出になるとインダストリアル系の1%は困る。

そして、本当にFEDが利上げをすれば、本当のショックはその後。そのときは実体経済は崩落し、まず米国債CALLのボラは上がる。米国はアーセナルデモクラシーを繰り出すしかないなら、そのときはインダストリアル系の復活同時にインフレも復活。

そんななか、FLY TO QUALITY でこれまで通り債券へ逃避すると、金利上昇の波に直面する可能性が高い。長期債PUTのボラは30年ぶりに上昇へ転換する。(株は最初売られ、その後買われる・・)