2015年9月18日金曜日

利上げよりも大切なこと(特別号)

今日のFOMCを世界中が注目しています。そこで近くで眺める者として、参考までに、いくつかポイントを挙げておきます。まず、株(インデックス)が上がるのかという単純な点。


先週までに「上げた方がよい」が、逆を上回る状況になっていました。しかし今週はソレを先食いしているので、今朝の時点では、上げないと失望売りを誘う可能性を感じます。

そして個人的には、60%の可能性でFFレートは変わると思います。ただ理由は巷の議論の中心の景況感や、マンデート云々ではありません。(それだけなら上げない可能性のほうが大)。

政策金利として、FFレートに介入するボルカー時代からの現行手段には限界がきました。FEDのオペレーションを担当する最近のNY連銀のメッセージは、そろそろFEDは新しい手段を試さないといけないという切迫感があります。(ここは株ではなく金利の専門家でないと意識していません)

その前に、そもそも日本の報道では、ワシントンのFRBがアメリカの中央銀行という報道がされますが、法的にも実体も全くの間違いです。

政策決定会議(FOMC)はFRBの配下ではなく独立した組織。そしてFEDのバランスシートととは、民間企業のNY連銀のバランスシートです。

そしてここに来てNY連銀が直面する課題は、必要な時にどうやったらFFレートが上げられるかというテクニカルな問題です。

下げるのは簡単でした。無限大にマネーを供給できるFEDの代行で、NY連銀の若いトレーダーが、FF市場に「買い」で介入すればよかったのです。

しかし、この8年間にあまりにも大量のマネーが生み出され、今はFFファンド市場で米銀大手は資金調達をしません。

そこでNY連銀は、将来の利上げを見越し、今年からリバース・レポという手段で、市場から資金を吸い取る仕組みを試しています。(手持ちの債券を市場に出す)このあたりはFRBの仕事ではない実務なので、イエレンの話云々だけを聞いていてもわかりません。

それでも米銀の資金は有り余っています。今、日銀の当座預金にあたるリザーブ(準備金)には260兆円の資金が預けられています。

大手行のバンクオブアメリカは、2008年に400億円弱しか預けていなかったのに、今は13兆円も預けています。なぜなら、2008年のリーマンショックで、そこにFEDは金利をつけてしまったからです。

リザーブは金融システムを守るために強制的に預けなければならない部分と、強制ではないが、大手銀行が自発的に預ける部分があります。他の中央銀行はずっと前からここに金利をつけたのですが、伝統的にFEDは金利をつけませんでした。

でも一旦つけてしまうと、ここからマネーは離れません。そして、今もしFEDが金利を上げようとするなら、市場では前述のリバースレポで資金を吸収し(FEDが借り手になる)。一方でリザーブで預かっている預金の金利も若干高めに維持しなければなりません。(そうしないとリザーブから資金が出尽くすまで、リバースレポで資金を吸収する効果がない・・)

ただそんなことをすると、FEDのコストは上がり、財務省への還付金は減り、強いては長期債券マーケットが下落すると、米国の国家の資金調達コストが上がってしまいます。

では何でこんなことをしてまで利上げをするのか、、

バブル論もありますが、簡単に言うと、寿命が来たシステムをいつまでもやっていることのリスクをアメリカは知っているからでしょう。たとえ今回でなくとも・・

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