2010年5月5日水曜日

小作人国家の騒動

首相が沖縄を訪問し、日本ではこれだけの大ニュースである普天間問題の今を米国のマスコミは殆ど取りあげていない。それは首相個人の資質を攻撃するという外交上異例の手段にでていたワシントンポストも同様だ。要は米国にとって重要なのは、基地がどこかではなく、鳩山首相の退陣である。

だがこの責任はやはり首相にある。なぜなら沖縄にせよ、他の基地にせよ、日本の政権が米軍基地の問題を喚起するという事は、日本国民に憲法9条の問題、即ち日本人が本気で国防を考える前提があるかどうかの見極めが必要だ。だが誰が見ても今の日本にそんな機は熟していない。

そして、もし不可能な事を選挙公約にしてしまったなら、いかに触れないか、政権を安定させるためにはその逃げ道も必要だった。オバマ政権は選挙での最大の公約だった健康保険法案を通したが、最初はこの公約を敢えて触れなかった。なぜなら金融危機の暴風雨で政権を引き継いだ以上、下手な公約の扱いは命取りになるからだ。そして共和党は金融危機救済の結果としての財政悪化と健康保険をうまく結び付け、途中までは政権と民主党を苦しめた。だが最後政権は絶妙のタイミングで一気に押し切った。

まあこれも実力。ここではなんども米国は戦争当事国であり、政権内の足並みの乱れを外に晒すような愚かな事はしないと何度言ってきたが、閣僚が好き勝手を言いい、ソレが民主主義だなどと寝とぼけた事を言っている日本ではそもそも無理な芸当だったのかもしれない。

そして緊張がない日本では国防とは所詮米軍の話。心配と言えば「いざとなったら米軍が助けてくれるのか」などという声が聞こえる。こんな国では本土の人が沖縄の存在意義を本当に理解する事など不可能。そして、鳩山首相は「米軍は海外へでも戦争はいけません・・」などという矛盾を抱える政党と連立を組んでいる覚悟の無い状態で、米軍基地の問題に触れてはいけなかったという事だ。

最後に、普天間問題については、これだけの大騒ぎの脇で、日本人が本質である「自分で国防をする」という基本をいつまでも避けている事が最大の問題である。中国や韓国には十分な説明が必要だろう。だが究極的には国民が自分で自国を守る意志を示さない小作人国家に秀逸な政治など生まれるはずがない・・。



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