子供と一緒にケーブルTVでスペインとイタリア、そして英国のサッカーを見始めて10年。また毎年トマトの出来を競争する旧ユーゴ出身でセルビア人の隣人とオシム論で盛り上がってから3年(彼はオシム前監督の現役時代を知っている)再びワールドカップがやってきた。
そしてオシムの後を受けた岡田監督に対する賛否両論は知っている。まあ何はともあれ、どうやら日本の目指すサッカーのテンポはイタリアに近いようだ。ただ近年殆どのセリエAのチームはプレミアリーグのスピードについていけない。ただ今年の欧州チャンピオンズリーグはそのイタリアリーグを制したインテルが、英国のチェルシーとスペインのバルセロナというライバルリーグの王者を倒しての堂々の優勝だった。 だから万が一日本が理想的テンポの試合が出来れば、予選リーグを突破する可能性はゼロではないだろう。だが韓国選手との一対一の競り合いで勝てないこの現実は、結局米国の理論に押し切られた普天間と同質の屈辱感を感じる。
そして岡田批判同様に、普天間の顛末は鳩山首相の個人の資質が原因とする論調が多い。だがソレは見方を変えれば今の日本人の弱体化に起因する話だ。またその一因には、本州に住む現代の日本人は沖縄の歴史をしらなすぎるのではないかと感じる。
そんな中で米国では好評だったスピルバーグとトムハンクスの共作の太平洋戦争のドラマ「PACIFIC」が先週で終わった。ガダルカナルから沖縄戦線まで、実在した3人の主人公が織りなすドラマはナチスドイツを相手にした欧州戦線の無情な戦争シーンよりも、どこかエキゾチックな太平洋で、初めて対峙した異文化日本人にたじろぐ米国の若者の心理を良く現わしていた。そして印象残ったのは初戦のガダルカナルの大活躍で最高の勲章であるmedal of honor を受けた主人公の一人だ。
まず彼はガダルカナルの制圧後、自分だけ本国に返される事に抵抗、だがそれが彼を国民的ヒーローにする事で、国威高揚と戦費調達、更には景気まで回復させる米国の重要な国策である事を知り承諾する。そして帰国した彼を待っていたのは芸能人とのツアーやラジオ出演などの任務だった。そんな生活に耐えられなくなった彼は再び前線への出動を願い出た。やがて現役の英雄として徴兵されたばかりの若者を中心に編成された師団の訓練を任された彼が、既に米国の有利が明らかになった太平洋戦線に出て行く浮かれた新兵を一喝するシーンがある。「俺の知っている日本兵はお前達がオムツをしている頃から日本兵だ。なめていたら死ぬのはお前たちだ・・」
同番組は日本でも放送が決まった。よってここから先はネタばれになるが、この後彼は3人の主人公の中で唯一人戦死する。硫黄島だった。日本人は殆どが知らないだろうが、米兵が最も多く一番死んだのは、この太平洋戦争の終盤、硫黄島から沖縄の本土決戦にかけてである。それだけ沖縄が抵抗したという事。またそれだけ米国も沖縄にはコストを払ったのだ。そんな事も知らない沖縄県民意外の日本人が、本質とは無関係の鳩山首相の資質の議論の影でこの顛末を傍観するのはどこか腹が立つ。日本人のプライドはどこに行ったのか。
まあそれはさておき平和な時代サッカーの試合には「国家のプライド」がかかる。チャンピンズリーグ優勝のインテルでも選手は各々の国旗をはおって閉会式を迎えた。いずれにしても普天間からワールドカップまで、恐らく今の日本に一番必要なのは一人一人が持つべき国家のプライドであろう・・。
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