2011年10月22日土曜日

新陳代謝の恵み、日本人と鮭

津波で船を失った気仙沼の漁師が「それでも鮭は来る」と、明日への希望を失っていなかったが、どんなに苦しくても、むこうから必ずやってくる自然の恵みは貴重だ。その意味で、太平洋に面した日本人にとって鮭は特別な存在である。ところで、そんな鮭王国の日本にとってもやや心配な話がある。それはシアトルからバンクーバー、あるいはアラスカにかけての太平洋で猛威をふるっているサーモンキラーウイルス。10年以上前に南米で一度現れ、チリのサーモン漁に壊滅的な打撃を与えたウイルスは、その後鎮静化していた。ところが今年、突然北米大陸の太平洋側に現れたのである。

鮭が昔から日本人にかかわっていたせいか、日本人は鮭にの事は詳しいと思っているかもしれない。だが、日本では「サケは4年で川に帰ってくる」と言われているが、実はその習性を持つのは太平洋にいる鮭だけらしい。一方サーモンの語源となっている大西洋のサーモン種は4年で川に帰る習性は確認されていない。最新の調査では、帰るものもあればそうでないもの。あるいは川で産卵して再び海に戻るものもいるという。
(カナダの大西洋側と、太平洋岸アラスカのの樹木の違いは、サケの回帰に起因しているとのデイスカバリーチャンネルの調査から。)

こうなると、日本人にとっての鮭と、こちらで脂ぎった刺身がマヨネーズでマリネされてSUSHIになって出てくるサーモンは、そもそも別物ということになる。

養殖、天然を問わず、こちらの脂ぎったサーモンもそれなりに旨い。だがやはり日本のシロザケ種がベストだ。シロザケでは間違って3年で戻るサケをトキシラズ。あるいは間違って生殖機能に行くべき栄養が脂肪になって肉についてしまったものを鮭児というが(実質極上の養殖サーモンと鮭児は同じ味がする)いずれにしても、太平洋の鮭が4年で帰ってきてくれる事、言い換えれば、彼らが新陳代謝の摂理(市場原理)を守るありがたさを、日本人は忘れてはならない・・。




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