2008年10月18日土曜日

日本人の幸せ



米国では犬はドックフードで育つ。しかしそれはアメリカの犬にとって不幸である。なぜなら。NHKの番組によると、人間を含めた動物の味覚は、直接味を感じる舌と、匂いを感じる神経が脳内で融合して「美味さ」を感じるというからだ。

犬は人間の数千倍の嗅覚をもっている。せっかくその力を持ちながら、ドックフードしか知らないで一生を終えるとしたらそれは不幸だ。

その点で我が家の犬は幸せである。なぜなら飼い主が躾に失敗したため、彼はテーブル上の様々な食べ物の味を既に知っている・・。

そもそもラーメンや蕎麦を、音を立てながら啜る事を無作法とするナイフ/フォークの国で、舌の感覚と匂いとの微妙な調和を楽しむ日本食のテイストが本当に理解されているか疑問。

今世界中で日本食ブームが起きているとはいえ、実際に欧米人で日本食の本質を理解している人は少ないのではないか。

以前も紹介したが、著名な和食の本によれば、日本食が他国の料理と決定的に違うのは日本食の味覚は「足し算・掛け算」以外にも「引き算・割り算」で構成される事がある点だという。

確かに中華もフレンチもソースが基本。従ってナイフフォークで優雅に食べる為にふさわしい。その点日本食は素材の味を活かすために様々な「引き算・割り算」の手法がある。

旨い蕎麦の決め手は匂いだという。そしてその美味さを感じる為には豪快に啜る事が肝要であるらしい・・。(NHK)

そう言えば、世界一の金持ちのバフェットはビックマックが好物だという。NYやシカゴの金持ちには日本食も含めた美食家が多い。しかしオマハの田舎では日本食は無理。彼が自宅にビルゲイツを招待してカードを楽しむ時は、必ず共通の大好物のビックマックを用意する逸話は有名である。

世界の富の支配者の大好物が結果的に5ドルのビックマックだとの話を聞いた時、自分は幸福感を感じた。なぜなら庶民の自分でも、ビルゲイツやバフェットに優越感を感じる事が出来ると知ったからだ。

彼らへの優越感?それは自分は、彼らよりも美味しいものをより多く知っているとの確信である。

人間の一生を80年とすると、普通の人が一生に食事をする回数は6万回程度だ。この6万回の機会をどう楽しむか、実は重要である。

バフェットの様に有り余るお金はなくても、自然の中から美味しいものを日々発見しながら一生を過ごす事がどんなに幸福か。これは「知らない人」にはわからない話だ。

ところで、評論家は未だに90年代を失われた10年という表現をする。ただ失われたモノとは何だったのか。今になって考えると、それは欧米が期待した成長力ではなく、日本人の自分たちの幸福のスタンダードだったのではないか。

いずれにしても、瓦解していく金融資産の時価を見ながらこれ以上暗くなるのは健康に悪い。6万回しかない食事の機会。美味しいもを見つけきちっと楽しんで食べよう。それが自信回復への第一歩と考える・・。

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