2008年10月9日木曜日

<今日の視点>マグロの集団自殺

日本円で100万の札束の幅を仮に1CMとする。そしてそれを延々と積み上げていく。月まで到達するの必要な札束はいくらになるか。月までの距離が38万キロMらしいので、計算上は3.8京円という正に天文学規模の札束がいる。そんな中、本日のNYTIMESには興味深い記事があった。そこでは世界のデリバテイブの総額が$531Tとの解説がある。(日本円にして5.31京)内訳は$464Tが金利通貨スワップで圧倒しており、それに比べ株式関連のスワップの$11T、話題のCDSは$54Tとまだ大したことはない。そしてこのデリバテイブの総額は2002年の$100Tから2008年までのわずか6年間に5倍まで膨らんだ。恐らくこの事実は10万年の人類史上で最大のバブルではないか。

そして一旦この市場が機能しなくなると裏付けのために各国の中央銀行は一気に資金を供給しなければならない。すべての通貨で一体どれだけの札がプリントされるのか。日本円で月まで届く程の札束を印刷するのは現実的ではない。従って金融市場はルールを大幅に変えるしかない。まずは金融機関を国有化する事で市場に心理的安定を与える。ただそれでは資本ルール上金融機関はこれまでの様なリスクを取る事は出来ない。即ち民間による成長への自転エネルギーは大幅に縮小される。

金融法案を巡って揺れ動いた先週、ポールソンは金融機関への資本注入案を頑なに否定し続けた。しかし昨日その可能性を発表せざるをえない程に彼は追い込まれた。個人的にはその背景には大手の銀行があると読んでいるが、何んにせよ、米国は常に成長を前提に走り続ける事で成り立ってきた株の国。言わばマグロの大群の国である。(天然マグロは常に高速で泳いでいなければ死んでしまう)。

それで株が買えるのか。米株市場にはいずれ短期金融市場が落着く事とは全く違う次元の難問が待ち構えている。

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