2012年4月20日金曜日

消えた憎しみ (真マネー原理プロから)

その昔、三重野元日銀総裁を殺したいほど憎んだ証券マンは多い。自分もその一人。ところが、今は三重野さんと正反対のバーナンケを批判している。では一体自分は何をしたいのか。

この苦悶なく純粋に市場を観ていた頃が懐かしい。ただその頃に帰りたいとは思わない。なぜならそれでは市場原理に反するからだ。同じ仕事をしていても、昔の自分は死ぬべきである。

何度も言うが、元来金融と市場とは分けて考えるべきモノである。それが建国の父の精神だった。だがバーナンケの世代は、その救済のために原理を変えた。

パンデイット会長がCITIに来たのはその真っ最中。その時彼は年俸を1ドルに設定。世間の注目を浴びた。だが昨年は15ミリオン。更に40ミリオンのリテンションボーナスを認める滑稽さだ

一方3年前は4000億円の大勝ち、昨年はその半分を負けたジョンポールソン。ヘッジファンドの彼は、2008年のどさくさではFEDを利用したが、本質は市場で生きている。

今後FEDは彼を助けないだろう。(TALFプログラムはヘッジファンドまで対象)。しかしCITIは違う。CITIは何があってもTOO BIG TO FAILの金融である。昨日、パンデイッット会長の報酬は、株主よって否決された。

ただ個人的にはTOO BIG TO FAILが悪だとは思わない。日本はその中でバランスを見いだした。なによりも、三重野さんの時代を挟んで、日本の金融機関の経営者は交代した。

それに比べ、米国は危機を挟んで経営者の交代は完了してない。誰も責任を取らなかったので当然か。中には自分で火をつけて(サーベイオックスレイ廃止のロビー)その後消防士になったポールソン(財務長官)という不思議なヒーローもいる。

結果金融による「利益の私的化、損失の公的化」の矛盾はそのままである。言い換えれば、民主主義の仕組みの中で、それだけ金融ロビイストの活動が成功したという事。彼等は民主党からは救済、共和党からは放任を引き出した

その結果生まれたメルトアップを、最近は「ルネッサンス」と呼ぶ。NHKには今の米国に対する意見を三重野さんから聞き出してほしかった。

いずれにしても、20年を振り返り、彼は日本を最も変えた人でははないか。政治では大臣の首の挿げ替えが盛んだが、そんな事をしても何も変わらないだろう。三重野さんが永眠され、時代に区切りがつくかどうかに注目している

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