2009年10月8日木曜日

心の強さ

昨晩こちらの日本語放送ではあるドキュメンタリー(NHKBS)が放送された。それはベトナム戦争で米軍が蒔いた枯葉剤(ダイオキシン)が親子三代に渡りベトナム人を苦しめている現状をリポートした番組だった。まず、枯葉剤が原因と思われる先天的異常の子供はこれまでに300万人になるという。そして300万という数字は太平洋戦争での日本人の総死者に匹敵する。だが原爆に関してはソレが戦争終結を早めたとの米国の見解に日本人でさえ一部は同意する中、ベトナムに関しては枯葉剤と同国の300万人の身体異常者の因果関係を米国は今だに公式見解として認めていない。

結局あのマイケルムーアでさえこの問題を取り上げるにはベトナムは遠くなりすぎたのかもしれない。ただ所詮「米国の正義」などはこんなものだ。障害を抱え今を生きる300万人のベトナム人に対し、米国は自らが世界にが掲げる人権のスタンダードすら提供できない。実はこの限界がアフガニスタンにも通じるこの国の限界である。だがそんな中でベトナム人はたくましい。朝鮮戦争の結果、敗戦直後から米国の加護の下に入り発展を遂げた日本と違い、戦争を仕掛けたわけでもないベトナムは一方的に攻撃された後は米国から特別な加護を受けないまま永らく貧しさに耐える時代が続いた。それでもベトナム人はイスラムのテロ行為の様な直情的反米行為に組織だって出る事は無かった。ここがベトナム(人)の凄さである。

このドキュメンタリーが伝えたものは、消えない米国への恨みをじっとこらえ、貧しさと戦いながらそれでも前向きに生きようとするベトナム人の「心の強さ」だ。先進国の金融機関はこれから発展するであろう国を統計学でしか計らない。だが第一次インドシナ戦争でフランスを撃退し、またベトナム戦争で米国に負けなかったべトナム人の強さは恨みはあっても安直なテロに走らないこの「心の強さ」からも窺える。自分なら国家として資源には乏しくとも、このベトナム人の「心の強さ」に投資したい。

そしてベトナムから40年、再びアフガニスタンで悲しい目をした男達の「心の力」を読み間違えた米国。今日でアフガン戦争は8年目の節目を迎える。2年前の視点でこの地区を魔峡とし、ビンラデインを大石内蔵助に見立てて米国という徳川幕府は赤穂浪士に勝てないだろうと予想した。どうやらその時が近づいている・・。






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