2009年10月30日金曜日

ケインジアンが操るフリードマン主義

最近保守派の論客の間で使われる言葉に「ケインジアン'sフリードマン」と言うモノがある。まずオバマ政権の発足と同時にケインジアンの復活が話題となった。そしてその通り財政が出動する一方、FEDの異常なマネタリー政策は拡大したままだった。それが金融危機対応という特例だったとしても、本来は瞬間的な流動性の過剰はソレが破裂し痛みを伴う事でリスクへの警戒が働く。そもそもソレがフリードマンの唱えた市場主義の原理だった。だがケインジアンの現政権がフリードマン主義が中途半端に残る市場に直接介入する事でそれぞれの規律が欠落しているのが今の状態。それを彼等は「ケインジアン'sフリードマン」と表現している。

この保守派の分析は正しい。ただ米国がなぜこんな出鱈目をしているかは言うまでもない。それはこの国が貯金を持たないキリギリス国家だからだ。ここでは「リフレ」を起こして資産価格を上げるしか手段が無い。だが資本主義のどちらのモデルの規律も存在しない今の状態が続くはずがなく、彼等はこのままでは大恐慌の再来は避けられないとしている。

個人的にはケインジアンでもフリードマンでもどちらでもよい。問題はそのモデルを使う人間の質である。その意味では米国の資本主義は共産主義という「敵」が存在した時までが米国人の質も高く一番機能したのではないか。だがその敵がいなくなると使う側の人間のモラルが低下した。簡単に言うと米国人が劣化したのだ。ところが共和党も民主党も米国人は自分たちが劣化したとは言わない。原因を他に探し、本質から目をそらしている。この米国の思考が実は厄介なのだ。

いずれにしても、事が起これば米国が主導した資本主義は一旦終焉すると昔から主張して来たのはご存じの通り。ただ米国も今はその修正を試みている。それが健康保険から金融規制まで、今こちらで話題となっている案件の本質である。だがケインジアンへの完全移行には保守派が反対を唱え、一方で格差の要因となったフリードマン主義は国民感情が許さない。結局は両方が混じり合った今の状態がまだまだ続くシナリオもあり得る。実はそれがオバマ政権と議会を支配し、「ケインジアン’Sフリードマン」の恩恵を最も受ける人々の狙いでもある。

この現状をみる限り、最後米国は大恐慌の再来でしか解決策がないという意見に同意せざるを得ない。だがその時はGREAT DEPRESSION(大恐慌)の再来ではない。恐らくは後世が「GREATER DEPRESSION」(大大恐慌) 或いは「THE GREATEST DEPRESSION」(究極の恐慌)と表現するモノになるだろう・・。











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