2009年12月8日火曜日

真珠湾と日米関係

どううやら普天間は鳩山首相に一任された模様だが、奇しくもパールハーバー記念日の本日、日米関係は戦後最も重要な局面を迎えた。どんな結論になるにせよなぜ今自分がこのタイミングで首相なのか。鳩山氏はそれだけを考えて結論を出すべき。それがこの政権が誕生した歴史上の意義であり、結果がどうあろうとそれが日本の宿命だ。

ところで米国にとってこのパールハーバーはこれまで一体どんな意味を持ってきたのか。日本人は知っている様であまり知らない。そこでHISTORY CHANNELが2年を掛けて再編集した渾身のドキュメント「WWⅡ」を参考に数回に分けてその本質に迫りたい。

そこでまず第100大隊442歩兵師団(100Battalion442Infantry)の話をする。そもそも真珠湾攻撃が米国に重大なインパクトを与えたのはその戦果があまりにも一方的だった事。これまではその要因として日本では山本長官の戦略が美談として語られ、一方米国では日本のルール違反が強調されてきた。この構図は今も共通するが、いずれにせよマスコミや政治の影響が強い。だがHISTORY CHANNELでは米国の慢心がテーマだ。そういえばハワイ駐留部隊を題材にしたハリウッド映画にはフランクシナトラなどが主演している。だがどれもハワイのエキゾチックな文化を堪能する陽気な米国兵の話だ。これは当時の米国の世論が戦争を繰り返す欧州に関わる事を嫌う一方、同じ兵役でもハワイならばそこは楽園と言った風潮があった事の裏返しでもある。そしてハワイ駐留部隊がその緩んだ風紀の中、本土の情報網は日本が臨戦態勢に入った事を掴んでいた。そして何度も駐留司令官に緊急事態への対応を要求する。だが長官自身がその気にならず、半端な対応でハワイ全土に拡散しておいたはずの戦闘機を態々1か所に集めるという愚かな命令を出す。結果的にこの判断が致命傷となりセロ戦の奇襲でその戦闘機群が壊滅すると停泊中の戦艦は丸裸になった。

これがHISTORY CHANNNELのパールハーバーの考察。ただこれで本来は欧州を対象に米国市民に蔓延していた参戦への嫌悪感がいきなり「日本憎し」の感情に変わった。そしてここからが本題だが、第100大隊はそのハワイ出身の日系人部隊である。この大隊にパールハーバー後に強制収容所の日系人などから新たに徴兵した442歩兵師団が加わりこの伝説の勇猛部隊が編成される。そして日本人への嫌悪感が極端に高まる中、この日系部隊は欧州戦線に投入された。そこではローマ入城直前の激闘やユダヤ人収容所の開放、またドイツ国内に孤立した部隊救出という特命の任務を遂行。結果米軍史上で現在でも最も高い死亡率(4割)の部隊となった一方で最高勲章を21人が受賞する金字塔を打ち立てた。この受章率は朝鮮/ベトナム戦争を経ても未だに米軍史上最高である。

そして此処で注目したいのはパールハーバーがルーズベルトの陰謀かどうかではなく、第100大隊442歩兵師団の作戦における奇異だ。ドキュメンタリーでは米軍がローマ市内と瓦礫の山となったドイツ国内を行進する際に窓から白いシーツを掲げて歓喜するイタリアとドイツの市民の姿を捉えている。この事実と米軍を目前に自決した沖縄県民の悲劇を比べると言葉が無いが、奇異とは本来なら歓喜の的となるべくローマ市内を行進するはずの第100大隊442歩兵師団はなぜかそこから次の激戦地に移された事。また強制収容所の開放の名誉の戦いについても解放したその部隊が日系人部隊だった事を米軍は近年まで公にしなかったのである。ここにも現在に繋がる日米関係の本質がある。そしてそれはサイパンや沖縄市民の自殺を見ながら「ショックドクトリン」に簡単に陥る日本の国民性を理解した上で「バンザイ突撃」と「カミカゼ特攻」また何よりも戦後を通して米軍史上最高の勇猛部隊が日本人部隊である事実がキッシンジャーの言う「日本を起こすな」に繋がっていく・・。(次回へ)



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