2009年12月23日水曜日

女性誌の時代

米国の3大ネットワークの6時からのニュースで終に二人の女性がアンカーを務める時代が来た。その事を当前として考える米国ではそれ自身がニュースになる事はない。だが日本は別だ。昨日NHKはそれ自身を態々ニュースとして報道した。そしてその一方で日本のテレビは米国大使がヒラリーに呼び出された事であたかも鳩山政権が米国の逆鱗に触れてしまったのごとく大騒ぎだ。だが鳩山政権誕後「日米関係に変化の可能性あり」との分析がでたのは事実だが、他の事で手いっぱいの米国が普天間で大騒ぎするなどありえない。ましてやこちらの一般のニュースで普天間が取り上げらる事はない。もしどうしても米軍に絡んだ話を探すなら、一部で懸念されているのはパキスタン軍と米軍の不和である。言うまでもなくこの両軍はアフガニスタンで同盟軍として戦闘中。よってその両軍がぎくしゃくしているとなれば本来は重大事だ。だが国内に健康保険法案と金融改革法案。そして温暖化に取り組む新しい米国の姿勢を世界に示すオバマの命題が佳境を迎える中その緊急事態も本来は表ざたにはしたくないのが実情だろう。

ところでなぜパキスタン軍と米軍はぎくしゃくしたのか。それはオバマのアフガン戦略の声明に起因する。そこでオバマは3万人の増派を発表した。NYTIMESによれば実はその前に米軍はパキスタン軍との間でタリバーンに対して新しい作戦を準備していたという。そして増派軍の到着前にパキスタン軍によるその作戦の開始を要請。本来はその作戦が先週予定されていた。ところがパキスタン軍は動かなかった。この事態に米国国防省は怒り心頭になったというが、パキスタン軍上層部は国内向けTVでその理由を説明している。それによると、オバマは声明で3万人の増派を発表すると同時に2011年には米軍を撤退させると言ってしまった。実はその非現実的な理想にパキスタンは米国のアフガンへのコミットを疑問視し、結果的に軍事行動を見合わせたという。実はあの声明は平和的理想主義者のオバマの弱点が出た瞬間でもあったのだ。

これがどういう事を意味するか、平和ボケの日本人にもわかるだろう。パキスタンが関が原での小早川軍になる事はないと思うが一方で頼りだったムシャラフはもういない。そして仇敵インドにも媚びる米国をみて心情的には反米感情が渦巻くあの地帯にこれから向かう米兵はイラクの時以上に気の毒だ。そんな中で普天間をを通して日本が「離米」する印象を世界に与える事を米国は最も恐れている。仮にそんな事が起これば米国の孤立化が露呈し、アジア戦略は深刻になる。その意図を理解した上で冷静に日本政府は対応すべきであり、観たところその印象はある。だがヒラリーが怒っているなどとの報道を耳にすると先が思いやられる。それではまるでオバマの弱点をヒラリーが女性週刊誌を使って制御しているような日米関係ではないか。

最後に外資企業をかじった程度の女性が注目される中、NHKクローズアップ現代の国谷キャスターは秀逸だ。個人的には米国でも通用する一流の日本人女性の金融マンは知らない。だが日本の価値観と欧米の価値観の対比の中で視聴者に判断を仰ぐ国谷キャスターのジャーナリストとしてのレベルは高い。彼女の存在が既にありながら、一方で女性キャスターの時代を今更注目するのもおかしいが、昨今民放のニュースは女性セブン型、ドラマは漫画のパクリは自分で考える機会は益々遠のくであろう・・。



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