人生が山あり谷ありなら、その人生に最も近いスポーツはゴルフと思われてきた。そしてその覇者であるタイガーはプライベートでも完璧と思われた。たが違った。彼は信じられないミスを犯した。ただここで言う完璧とは潔癖の意味ではない。彼も人間だ、道徳まで完全さを求めるつもりはない。
私が言う「信じられないミス」とは、不倫の動揺からか、エリン夫人に関係を悟られない為に相手の女性に証拠隠滅を依頼する電話をした事。ただまだこの時点なら得意の「リカバリーショット」の可能性が残されていた。しかしタイガーはここから信じられないミスを犯す。なんと架電の女性に直接話さず、彼女の携帯電話のボイスメールにメッセージを残した。そのメッセージはスーパーショット後のあのガッツポーズや自信あふれる勝利インタビューからはとても想像できないおどおどした懇願の声。それが全米に流れたのである。
本来ならここに至るれまでのタイガーの価値があまりにも高かったためこのミスは致命傷になりかねない代物。だがこれ以上彼を追い詰めると天才ゴルファーの運命にとどまらず、米国の国益にもならないという配慮があちこちで働いている様子が窺える。早々にNIKEはタイガーとの契約に変更はないと表明。またGATARADE(スポーツドリンク)は「我々はタイガーと共にある」と非常に寛容な反応を見せている。実はこの意図した救済が昨今の米国の特徴だ。そう、今のタイガーはAIG倒壊後のゴールドマンサックスに似ている。
そういえばマイケルジョーダンも90年代のキャリアー最盛期に同様のスキャンダルに見舞われた。だが彼は何とか乗り切った。その時は今ほど携帯が普及していなった事が幸いだったかもしれないが、いずれにしてもジョーダンの時代と比べてもタイガーの時代は全てがより華やかになっている。金融市場が然り、だが一方で一瞬でその全てをぶち壊す罠もあちこちに隠れている。そしてこの脆弱さと華やかさの管理は至難の業だ。最後に、ソレに失敗しても助けてもらえるのはタイガーやGSなど一握りである事を覚悟しなければならない・・。
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