2009年11月30日月曜日

覚醒はまだか。

円高が進み株が下がって困るなら日本のやるべき事は一つ。日銀はFEDを真似バランスシートを3倍にすればよい。そして円を増刷する。FEDがそのバランスシートを一年で3倍弱にしたので、現在120兆の日銀のバランスシートも3倍の360兆円程度したらどうか。ただここからは真っ先に大手金融機関を救った米国とは一線を画し、政府の指示で日銀は国民一人当たりに均等に紙幣をばらまく。日銀がそんな事は出来ないというなら大株主の政府が株を買い増して強引に命令するか、或いは昨年捕まった高橋洋一氏などが提唱した政府紙幣を発行すればよい。

金融危機以後の欧米ではケインジアンがフリードマン主義を唱える無節操が常識。そんな中で仮に日本が国民全員に一律給付金を出してもそれは他国からとやかく言われる事ではない。また今はインフレを怖がる必要はなく、何よりも「ばら撒き」が悪いと言う発想は世界が金融の規律を守っていた時の話であり、そんな概念に日本だけが固執するのは「敵」の思う壺である。そして実現すれば国民一人あたり約250万の給付金、5人家族なら1250万となる。この金額ならば家族を大きくするという民族の義務を日本人が思い出す事にも一役かうだろう。

結果円は大暴落。長期金利も急騰する。だがここで金利の急騰を怖がっては話にならない。そして給付金の全額は消費には回らないかもしれないが、生み出されたこの流動性はやがては株にも流れる可能性が出る。そもそも今は世界の流動性はヘッジファンドの理論で動いている。だが嘗ての日本市場は日本のルールで動いていた。しかし冷戦後のグローバル化と重なった日本の低迷期、日本はキャリーを通して資金の出し手に徹した。そしていつのまにか自国の市場をヘッジファンドのルールに仕切られてしまった。またそれが正しいとする時代が最近まで続いた。だがここに至り、自国のルール、文化を守りながらも米国から妥協を引き出すまでなった中国を見て日本政府が何も感じないのは国民に対して無責任である。

米国は今苦しい。だからいきなり見放すの得策ではなく義理にも欠く。また米国の意に沿わない政策はトヨタなどへの仕打ちが示す通り、別のやり方で米国から反撃があるだろう。だが最低限日本が長い眠りから覚醒した事を米国に判らせるのは必要だ。或いはまだ日本は覚醒するつもりはないのだろうか・・。

ところで覚醒は一方でモラトリアムの心地よさからの脱却を意味する。その上で民主党政権になり国家戦略なるものが言われ始めたが、日本は独自に戦略を考える事から離れて長い時間が立ち過ぎた。よって戦略の中身を考える前にそもそも戦略とは何かを思い出す事から始めなければならない。そんな中で先の仕分け作業では役人案を吟味する議員の専門知識の低さが露呈された。その点米国は2年毎の改選で専門知識は乏しくとも流動的な民意を反映するポピュリズムを是とする下院と、6年の任期中に専門性を高めた100人の上院(元老)が地元の利益だけでなく国益の観点で法案に臨みバランスを取る。だが仕分け作業を見る限り圧倒的与党の民主党議員の知識が官僚政治に代わるだけの実力があるかどうか疑問を投げかける。

そして国家戦略室を立ち上げるからにはどんな戦略にもリスクがある事を国民に納得させる事が最大のポイントである。戦略には必ず失敗のリスクがある。また時には民意に反する事も承知しなければならない。その上で情報をどう開示するか、或いは民意と相反する戦略をどう国民にメッセージとして伝えるか。その最大の難儀を回避しては戦略室は有名無実化する。

いずれにしても米国の衰退が始まった以上、何もしないリスクが戦略の結果としてのリスクよりも大きい可能性がある事をまず国民に知らしめることが鳩山政権の最大の使命だ。そこで提言だが、戦略室とやらには戦後の護送船団方式を支えたエリート層とは別の血も入れるべき。米国流の先駆者でもないバランス感覚。そんな人はリスク&リターンを実戦してきた今元気な中小企業の経営者の中に必ずいるはずである・・。


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