2009年11月21日土曜日

名作の新顔 (独り負けの感性)

キネマ旬報の創刊90周年を記念する映画ベスト10が発表されたらしく、朝日新聞によれば以下の通り。

<日本映画> 1位「東京物語」

以下 (2)七人の侍(3)浮雲(4)幕末太陽伝(5)仁義なき戦い(6)二十四の瞳(7)羅生門(7)丹下左膳余話 百万両の壺(7)太陽を盗んだ男(10)家族ゲーム(10)野良犬(10)台風クラブ

<外国映画> 1位「ゴッドファーザー」

以下 (2)タクシー・ドライバー(2)ウエスト・サイド物語(4)第三の男(5)勝手にしやがれ(5)ワイルドバンチ(7)2001年宇宙の旅(8)ローマの休日(8)ブレードランナー(10)駅馬車(10)天井桟敷の人々(10)道(10)めまい(10)アラビアのロレンス(10)暗殺の森(10)地獄の黙示録(10)エル・スール(10)グラン・トリノ

キネマ旬報によると、選んだのは100人を超える文化人と評論家となっているが、ここに挙げられた30の映画は殆どが25年以上前の古い作品ばかりだ。だがそんな中にぽつんと昨年公開の「グラン・トリノ」が入った。映画好きならこの異質性に気付くかもしれないが、実はこの映画は「今日の視点」で取り上げた。理由は自動車産業が衰退して荒廃したデトロイトの街並みを、制作/監督/主演のクリントイーストウッドが見事に捉えていたからである。だがそんな理由で日本の識者達が選ぶはずは無い、彼らが選んだ背景は別にあるはずだ。まあ評価はそれぞれなのでこのブログの読者にまで押し付けはしない。ただクリントイーストウッドが先日男性誌GQの今年のMAN OF YEARなった際に語った発言は興味深かった。そこでそれを紹介する。

彼は対談で、今の米国社会には戦争を戦った強いアメリカ人はいなくなり、今は「不良上がり」が不平不満を言っているだけの子供じみた社会になったと嘆いていた。まあ戦争が終わりこれだけ時間たつと米国に限らず世界中どこに行っても彼が納得できる社会はないだろう。映画「グラントリノ」のはまさにそんな憤りを引きずっている孤独な老人と、米国に移民したものの社会の底辺(だからデトロイトが舞台)でもがくMONGの青年が反目しながらも次第に惹かれあい、最後は青年が正しい道に進めるように老人が命を賭ける話である。

そして注目はこの映画は一部イーストウッドファンの間では支持されたものの普通の米国人からは特別な評価は得られなかった事。それはそうだろう。これだけ特殊技術を駆使した娯楽大作が溢れていれば、米国人の興味はそちら。私自身も最近映画館まで足を運んで観たのはトランスフォーマーのみである。また同作品が文芸作としてアカデミー賞に絡まなかったのは、格差社会の勝ち組でもあるアカデミーの会員にはこの映画の本質はやや彼等の意図を外れていた。

いずれにしてもこの映画を歴代の名作群と並び評したのはいかにも日本人らしい。だが言い換えるとその感性が日本株の一人負けの要因の一つでもあろう。でも最後に言いたい。怯むな日本人よ。株価が全てではない時代は意外に近いはずだ・・。




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