先程CNBCにニューハンプシャーの共和党上院のジェドグレッグ議員が出ていた。言うまでもなくCNBCはマネーを中心とした番組であり、そこに登場する国会議員の多くは金融や予算の小委員会のメンバーが多い。そして予算に精通している彼はCNBCの常連の一人である。だが彼は同じ共和党でも原理原則を守る以上は時には市場の敵と見なされる事も厭わないアラバマのシェルビー議員とは違い、常に市場の味方を心がけている様子。だが彼が風見鶏であるのはオバマ政権の発足時に証明された。オバマ政権は共和党の彼に商務長官のポストで誘いを掛けた。そして彼は一旦は受諾。だが年明け早々から再び株が下がり出すと突然辞退したのである。
元々個人的には饒舌な彼を信用していなかったが、先程の発言でその思いが強くなった。彼が何を言ったかと言うと、市場の予想に反して昨日300人の賛成で下院を通過したFEDの監査を目的にした「ロンポール法案」に対し、「賛成した300人の下院議員は保身の為に米国の国益を考えないポピュリスト集団である・・」と発言したのだ。
確かに賛成した下院議員はポピュリスト集団かもしれない。ただそれは2年ごとに改選される米国の下院の宿命である。私が彼を信用しない理由は彼が「FEDを監査すると中央銀行の独立という米国の国益の根幹を揺るがす」と述べた事。これで彼の正体がばれた。なぜなら彼程のベテランなら、今のFEDが実質NYFEDに乗っ取られている現状と、そのNYFEDにはウォール街の金融機関という株主がいて、ガイトナーや現在のダットレー等の長官の人選はNYFEDの役員に名を連ねるその金融機関の意向で決まる事を知らないはずがないからだ。それにもかかわらず「FEDの独立」のお題目を持ちだし現状を維持しようとする彼の発言は、彼自身がウォール街の意向を強く受けている事が示唆される。
ただ以前からこの法案が下院が通過しても上院を通る可能性はなく、真意はともかくオバマもサインしないと言ってきた。だがこれで益々「反金融機関」が次の選挙のテーマである事が明らかになった。そしてこの法案は潰れても、長期的にはFRBは英仏中銀と同じ運命にあると見る。彼らも初期は有力な銀行が中心となって成立した為に元来純粋な公的機関ではなかった。だが第二次世界大戦後に共に国家機関として定款変更がなされた。よってFRBもいずれ純粋な国家機関にならざるを得ないだろう。
ところでFEDが本当に独立しているかどうかは既に一般のマスコミが取り上げている話。そしてロンポール自身は「監査は必要だが、金融政策はFEDがその裁量で決めるべきモノ」と最初から言っている。従って「FEDの独立」を材料に法案に反対を唱える政治家やマスコミは全くの無知か金融機関の手先のどちらかである。
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