2009年11月20日金曜日

ガイトナー糾弾

「様々な要因はあるにせよ、君はNYFED長官、そして今は財務長官として危機を防ぐ事も出来なければその後始末も銀行を助けただけだ。君の仕事は国家全体の利益には全くなっていない。今すぐ辞任する用意はあるか・・」とガイトナーに詰め寄るテキサスの共和党下院議員。またその後を受けた同僚の共和党議員は「辞任する必要はないが、そもそも君が財務長官に選ばれた事が間違っている。その責任は現政権にがある・・」と言い放った。ここまで言われてはガイトナー財務長官も黙ってはいられない。顔を真っ赤にして反論していた・・。

これは本日午前中の議会での一幕である。これまで似たような議会中継は飽きるほど見てきたが、今日のTARP(政府緊急救済資金)の使途に関しての中継はこれまでで一番面白かった。そしてその理由は明らか。今日の審議は上下両院ジョイント経済委員会だったからである。

これまでこの様な議会証言は殆どがバーニーフランクを議長とする下院の金融小委員会が質問のメンバーだった。そこにはロンポールなどの共和党を代表する論客もいるが、彼が核心的な質問をぶつけても途中でバーニーが議長権限で持ち時間を理由に質問を終わらせていた。そしてポールカンジョーウスキーやメリビンワットなどの大手の金融機関を選挙区に抱える民主党の有力議員が代わってガイトナーやバーナンケを弁護し、この種の委員会は常に骨抜きになっていた。だが民主党が負けた州知事選挙から雰囲気は一転。金融機関やガイトナーを援護すると落選するかもしれないリスクを感じ始めた議員の変貌した。共和党は息を吹き返し、民主党は政権と距離置き始めた。その代表はNY州上院のシューマー議員。彼は中国を持ちだし、中国の通貨政策に何も意見できない現政権への怒りをガイトナーにぶつけていた。

さすがに二人の共和党議員とガイトナーのやりとりはその後もあちこちのメディアで話題だが、日本からでは2年ごとに必ず1/3の上院と下院全員が総選挙にさらされるこの国の民主主義のダイナミズムが政策に与える影響を理解する事は難しい。またその予想はこんな時期からはブルーンバーグには載らない。だがこの「政災」がオバマ政権の協調主義に裏付けされた今の株価の流動性ゲームをぶち壊すタイミングは必ず来る。その時は株だけでなく初動では必ず長期債も売られるだろう。そしてそのタイミングは年明け前後だろうか。

さてそんな中でCNBCでは日本株が一人負けしている事やたら材料にしていた。株が下がると日本の金融機関が苦しくなるのを承知で、アジア買いVS日本売りを囃したてる輩が多い。だがここは国家としては慌てず、何をすべきが見極めるべきだろう。そもそも「アリ」の日本がむやみに「キリギリス」が得意な「張ったりのゲーム」に参加しても勝てない。ここは日本の強みを認識し、正しい事をすれば結果として後から株価は必ず付いてくるという信念を貫くべき。



0 件のコメント: