2009年12月18日金曜日

赤いダイヤとグリンピース

昔「赤いダイヤ」といえば小豆の事を言った。それは山種証券の創設者、山崎種二をモチーフにした同名の小説があったから。だが自分の中での山崎種二氏は、城山三郎の「百戦百勝」。理由は社会人一年目、三重県桑名市で、株屋として飛び込み営業をしていた時に何度も彼に纏わる話しを聞き、同小説を読んだからだ。そして米相場でも株でも「売りの山崎」と謳われた彼のカッコよさに憧れ、90年代の泥沼、大阪の先物オプションに手を出した。そもそもそれが20年後の今ここでこのコメントを書いている遠因である。

桑名の話を続けると、桑名は元々米相場の街だ。そのDNAは林業の諸戸や、戦後、伊藤忠に立ち向い、納税額日本一なった板先喜内人を生んだ。そして桑名とのもう一つの因縁は桑名の米相場の特徴が夜間取引だった事。夜の桑名は先行指標だった。これは夜間に日本株を売り崩したシカゴ。またNYの現物に対するシカゴと同じ役割である。

ところで、現代の「赤いダイヤ」は何か。赤くて希少価値があるものか。ならば個人的に思い浮かぶのは黒鮪の中トロかナガス鯨の尾肉。共に自然保護団体グリーンピースの標的である。以前ここで日本の捕鯨はその殺し方に問題アリとした。株屋時代に客先で松坂牛の屠殺を見たが、畳一畳のゲートに誘導されると、直に鉄銃で眉間を撃たれ、倒れるまま間髪いれず解体されていった。同じ「赤いダイヤ」でも、松坂牛は痛みを感じる事なく処理された。それに比べ鯨の殺し方は惨い。薬で殺すならまだしも、銛で殺す限り捕鯨はやはり続かないと予想する。

いずれにしても、グリーンピースの標的になった事で、今や鯨の最高級品はグラム10000円。黒マグロの味は言うまでもないが、小魚ではなくオキアミを食べる髭鯨の肉も絶品。中でもナガス鯨は年に数頭しか取れない。そしてその尾肉はまさに宝。

それでもその味を知る日本人はその「赤いダイヤ」を買う。美味いものへの日本人の欲望は日本をデフレ国家と馬鹿にする欧米人は理解できないだろう。だから、このビジネスでは、まだ欧米からの脅威は低い。寧ろ敵はアジアのマネーだ。中国人が本気でトロを食べ始めたら、日本に海外の天然物は入ってくるのか。まあその前にビジネスとして数年前に鮪の完全養殖に成功した近畿大学が中国に買収されてしまうのではないかと心配になる。

私学が乱立する中、日本は近畿大学の価値を早急に保護した方がよいではないか・・。



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