2014年6月16日月曜日

サムライジャパン、日本史ではなく、世界史のスケール(気概)で戦うべし


             ペルシャ戦争の英雄テミストクレス
 サムライが日本史の産物にとどまるなら、ギリシャに勝つのは難しいだろう(本文より)       

  

朝ドラで大好きだったお爺やんが死んで悲しむハナ.。彼女は「人生は足し算だと思っていたら、引き算だった」と言った。明治の貧しさとあいまった牧歌的なセリフ・・。

豊かな今の米国に住み、金融を通して世界の現実を眺めると、人生には足し算や引き算より、その瞬間まで予想できないケミストリーの激変が突然襲ってもおかしくないと思う。

そもそも人は個々の経験をベースに、周りの環境に合せて生きるしかない。つまり自分史の継続。ただ周りの環境は、自分の想像よりも大きな力で支配されている。それが国家の歴史だ。

極東の島国日本は、聖徳太子から武士の時代を経て明治に激変した。そして近大国家として米国に大敗した。ただこの日本史も、更に大きな世界史の流れの一部でしかない。

ところが、今も日本の学校教育は世界史と日本史を別けて教える。なぜか米国は占領後の改革でここを変えなかった。もしここで世界史重視、その中で日本史を考える方向に変えていれば、今の日本人の感覚はもっと違っていたと思う。

もともと米国は未来志向の国。反戦教育や忠臣蔵の上映禁止は断行したものの、軍人のマッカーサー本人は、歴史教育そのものが重要だとは考えていなかったのかもしれない。

まあ多元的世界史を、一つだけの正解を好む日本にどう刷り込むかは難題だ。だが意図して日本に世界史の重要性を組み込まなかったのなら、米国はやはり恐ろしい。



司馬遼太郎は「アメリカ素描」の中で、訪ねたハーバード大学で、自然科学系の優秀な学生が日米戦争を知らず、どっちが勝ったのですかと逆に質問され、驚いた経験を語っている。

確かに米国には一芸に突出した天才が大勢いる。彼らはこの国の重要なパーツを担っている。一方で国家戦略を担うエリートは世界の歴史にも詳しい。金融をやっているとそこは明快だ。

表向き米国が歴史を重視しないのは、民主主義の弱点を知っているからだと思う。今のように全員に選挙権があると、エリートは国民との間に知識の格差を維持するのは重要だからだ。

この点英国は米国より徹底していると思う。チャーチルは、歴史を深くさかのぼることが、遠くまで未来を考える前提だといったが、(ビスマルクは有名だが、チャーチルも同じこと言っている)エリート向けのFTやエコノミストと、大衆向けのゴシップ誌の格差は米国以上だと思う。

日本は英国と同じ島国。そして国民の偏差値は米英より高い。なら日本のエリートは米英のエリートより優れているか。決め手は世界史に対する感覚だと思う。純潔の日本人に対し、英国人の血には世界史に対する免疫がドロドロと流れている。ここは彼らのアドバンテージだ。

今の英国は、ローマ人にブリトンと馬鹿にされた野蛮な頃から、ローマ人が去ったあとに大陸からゲルマンの傍流が流れ込み、そこにノルウエーのバイキングが混ざった産物。英語は方言だというラテンのプライドは解らんでもないが、辺境から新しい強者が生まれるのは歴史の宿命だ。

今月、視聴率総計でケーブルTVの頂点だったソプラノスを追い抜いたゲームオブスローンズは、この頃から英仏戦争を経て、英国が覇権国家になる基礎を築いたチューダー王朝が生まれるまでがモチーフ。(薔薇戦争)

クリントン政権の終わり、本来処罰されるべきマフィアを庶民的に描いた 「ソプラノス」が流行り、そして今「ゲームオブスローンズ」がソレを抜くいたなら、1998年の「4thターニング」が予言した、 3rdターニングのUnraveling期の終焉から、2006年ごろからのCrisis の到来を、米国自身が無意識の中で感じているのかもしれない。


そしてフランスの血も混じったチューダーがエリザベスで途切れると、血のつながった王をドイツあたりからよんで今のエリザベス女王まで維持してきた。その途中で王の首をはねた英国と、同じ島国でも、国民から崇められながら万世一系?を維持している日本の皇室とは純潔さで異なる。


一方で大陸に住んでいる人は、もともと自国と隣国の歴史と別けて考えることは難しい。典型的な地域のイラクでは、今ISISと戦うためにシーア派の若者が続々と集まっている。

DIE ON MY FOOT RATHER THAN LIVE ON MY KNEE・・・妥協して生きるより、戦って死ぬ。

メキシコの革命家の言葉だが、世界が豊かになった今もこの地域ではこういう人が多い。そういえば、ペルシャ戦争を劇画的に描いた「300」の続編では、サラミス海戦でギリシャを勝利に導いた英雄テミストクレスが、ペルシャ艦隊を前に同じセリフで鼓舞していた。

ワールドカップでは既に強靭なアフリカの前に敗れたサムライジャパン。NHKの解説は諦めきれないものだったが、ESPNはサムライのレベルを最初から見切っていた。仮にサムライが日本史の産物にとどまるなら、ギリシャに勝つのは難しいだろう・・。


そして、バブル崩壊後、経済も開国した日本では、グローバルスタンダードの言葉が、水戸黄門の印籠のような効果を持った。だが個人的にはいまだにソレがなんのかよくわらない。本当に、グローバルにスタンダードはあるのだろうか・・。

貿易協定でウルグアイがそれなりに効果があったのは、冷戦終結の効果が大きかったと思う。だがドーハになって頓挫したのは、貿易に協定を持ち込むの限界を露呈している。また金融危機を経験しても、被害が一番浅かった邦銀がさっさとバーセルに対応したのに、元凶の米銀はいまだにノラリクラリとしている。

こんな中で自分は世界をしらない田舎者だと思ってしまうと、グローバルスタンダードと脅されれば従うしかない。その真贋を自分で判断するためには、世界史のDNAで、これから世界はどうなるかの肌感覚が必要になる。

だが、幸か不幸か、純潔島国(ガラパゴス)の日本では、その感覚は自分で意識しないと身につかない。そして、戦争で勝った英米もここを変えなかった。もしも彼らが日本を技能が卓越した素直で無垢の世界の田舎者に閉じ込めておくためにそうしたなら、英米は恐ろしい。
(ここに自信がないと、日本はずっと米国の傘下にとどまることになる・・)

ところで、第二次世界後も戦勝国はずっと戦争をしてきた。敗戦国の仲間のドイツでさえも、米国に協力してアフガニスタンで60人のドイツ兵が死んでいる。

その米国では、厭戦大統領のオバマは、共和党から、大勢の米兵を犠牲にし、やっと手にしたイラク戦争の勝利を無駄にしたと批難されている。こうなると、任期の少ないオバマも空爆は覚悟しているはずだ。

ローマは自壊したが、その400年前、セレブ系ローマ人たちが、食物を料理として楽しむようになったのをみて、帝国の衰退を予見したとされるLIVY。建国の父を始め、今の米国のエリートはグレコ・ローマン時代をよく勉強している。LIVYの逸話も、数年前のエコノミスト誌の特集である。

(参考:ローマ帝国の虫歯 http://marukano-gb.blogspot.com/2011/03/blog-post_11.html) 

2008年、奴隷として米国にやって来たマイノリティーが、終に大統領になった。オバマの卓越した能力が認めらた背景には、豊かさと同時にリベラルの浸透があった。ただオバマの厭戦が米国の支配力の低下を招いたなら、次がヒラリーでもジェブでも、米国は一旦修正に出るだろう。

ソレが日本にどんな影響を与えるか。その前に世界史はどんなシナリオを用意しているのか。日本史を前提にした牧歌的な足し算引き算ではなく、壮大な世界史のケミストリーのイメージが必要になるだろう。











0 件のコメント: