その昔、イソップ童話のアリとキリギリスの結末が、日本だけが世界標準と違う事を紹介した。今日のFOMCの結果を受けて、ある市場コメントが「Sorry Japan, But this yen spike probably mean you getting crushed tomorrow(可哀そうな日本。この円高で明日から君たちの悲劇が始まる・・)」 との皮肉を言っていた。まあ市場の動きは誰にも予想はつかないとしても、この皮肉はイソップ童話が語る日米関係の本質をついているのは間違いない。
まず今日のFOMCで米国はMONETIZATIONを宣言した。MONETIZATIONとは、米国は自国の借金を中央銀行が増刷したドル紙幣で賄うと言う事。これによって他の要因に変化が無ければドルは益々下落する(ゴールドは買われる)。そしてドルに対して円高が進めば、戦後日本経済が築き上げた米国の最終消費力を企業利益の源泉とするシステムが完全に行き詰まる。
だが、その間に蓄積された国民の預金はこれから更に米国債に還流する。この数カ月、この動きが顕著だったわけだが、この還流は米国にとってまずます必須だ。なぜなら8月に入って日本勢の買いで米国債の金利が低下したにもかかわらず、実は米国債が破綻した場合の保険であるCDSという商品のスプレッドは拡大していた。つまり、日本が米国は日本の様なデフレ国家になるとの一方的思い込みで米国債を買っている一方、世界の別のところで別の人は米国債は逆にいつかデフォルト(債務不履行)する危険性を感じているという事である。
無論その危険性を日本の金融機関が全く感じていないわけではない。だが円高によって被る実態経済と日経平均の下落の被害を軽減するため、金融機関が更に債券ポートフォリオに傾斜するのは必定だ。恐らくは其処に金融機関同士の競争が加わる。他よりも一歩でも利益で先んじるためにはポジションを大きくする・・。実はこれは5年前に米国の金融機関がサブプライム合戦に突入した背景と全く同じである。まあ一般の人にはここまでの話が難しくても、金融危機を招いたサブプライム合戦と同じ心理に追い込まれたゲームの顛末がどうなるかは判るだろう。貧すればいつか鈍するのである。
そして、もう一度イソップ童話のアリとキリギリス終わり方を触れると、日本以外ではアリはキリギリスを助けない。アリにドアを閉められたキリギリスは死ぬ。日本がせっせと米国債を買う一方で、その米国債がデフォルトするかもしれない保険を買っている人にはこの感覚がある。米国人本人は米債の金利上がるのは否定しないが、自国の債券の破綻を前提にするはずはない。だからCDSの買いの主体は恐らく欧州だろう。
いずれにしても、誰もそんなつもりはないが、日本というアリは、米国というバッタを助けるためにこれから自分達の蓄えを差し出すのである。偶然にも、米国の国債残高と日本人の民間の金融資産はほぼ同じ金額である。(1200兆円)ソレを加速するであろう円高を前に、この〝Sorry Japan”(可哀そうな日本) のコメントは、救いようのない無力感を私に残した・・。
このブログは終了しました。 日々のつぶやきはデイオブレコンに、 http://otakizawa.blogspot.com/ 解説はゴゴジャンTakizawa レター 今日の視点 明日の視点に移りました
2010年8月11日水曜日
2010年8月7日土曜日
第三の原爆
http://blogs.reuters.com/james-pethokoukis/2010/08/05/an-august-surprise-from-obama/
1945年8月6日ヒロシマ、8月9日ナガサキ。そして2010年8月17日、米国資本市場に原爆が落ちる・・
添付したロイターの記事は、オバマ政権は、住宅の時価がそのローン残高を下回ってしまった人々の住宅ローンの減免(棒引き?)を計画している可能性を触れたモノだ。そして、記事によると、その可能性があるのは来る8月17日らしい。(財務省特別会議)
まず日本では、マイホームを買った時から多くの人はローン地獄を覚悟する。80年代の土地神話バブルのころを除き、日本人の多くは住宅を転売して利益が出るとは考えていないだろう。ところが、この国は80年代後半から、家を買った時から別の財布を手に入れると言う日本人からは夢のような世界が続いた。そしてその夢の中で米国人は豊かさを謳歌した。
しかしその夢が覚めると、住宅ローンの残高が住宅価格を上回るというデフレの日本では普通の事が米国では耐えられない地獄となった。だから借金の棒引き?このままでは中間選挙で惨敗が免れない政権与党の選挙対策とはいえ、未だにオバマ政権に幻想をいだく日本人にもこの話が実現すれば世の中がどうなるか想像がつくだろう。これは「徳政令」という資本主義に対する原子爆弾である。
そして、この爆弾が本当に落ちれば、被曝するのは今度も日本人だ。なぜなら、そんな事をすれば当然世界から米国債は見放される。その米国債を日本の庶民が預けた預金でせっせと買っているのは日本の金融機関である。
そんな中で仮にドル安が進み、実体経済と日経平均に悪影響が出れば、銀行はヘッジのために更に米国債を買うという市場の見方もある。だがそれは破滅への階段。これまでは長く持っていれば為替も債券の値段も必ず戻ってきたが、ついにその経験がアダとなる時が来た。
考えても見よ。仮にNナシームが言うように米国債市場に黒鳥が表れ、ソレが米株安を呼ぶというソブリンリスクの場合(ギリシャ型)、株/債券/為替/実体経済の複合パンチを一番食らうのは日本だ。
仮に金融機関が米国債投資で大損をすれば、影響は日本の実体経済に及び、最悪の場合税金で金融機関を救済するシナリオさえありえる。その時は日本が戦後の発展で蓄えたお金を米国の為に使い切る事になる。そんな事があっていいのか。まあ日本経済は米国のおかげでここまで来た。だから私が米国人ならソレを当然と考えるだろう。
見方を変えれば爆弾は落ちた方がよい。そして米国に貯えを吸いつくされボロボロになってからそれでやっと本当の意味で戦後が終わる。そして国防、外交、経済を、日本はやっと自分の頭で考えるようになる。そこが日本の本当のスタートラインだろう
1945年8月6日ヒロシマ、8月9日ナガサキ。そして2010年8月17日、米国資本市場に原爆が落ちる・・
添付したロイターの記事は、オバマ政権は、住宅の時価がそのローン残高を下回ってしまった人々の住宅ローンの減免(棒引き?)を計画している可能性を触れたモノだ。そして、記事によると、その可能性があるのは来る8月17日らしい。(財務省特別会議)
まず日本では、マイホームを買った時から多くの人はローン地獄を覚悟する。80年代の土地神話バブルのころを除き、日本人の多くは住宅を転売して利益が出るとは考えていないだろう。ところが、この国は80年代後半から、家を買った時から別の財布を手に入れると言う日本人からは夢のような世界が続いた。そしてその夢の中で米国人は豊かさを謳歌した。
しかしその夢が覚めると、住宅ローンの残高が住宅価格を上回るというデフレの日本では普通の事が米国では耐えられない地獄となった。だから借金の棒引き?このままでは中間選挙で惨敗が免れない政権与党の選挙対策とはいえ、未だにオバマ政権に幻想をいだく日本人にもこの話が実現すれば世の中がどうなるか想像がつくだろう。これは「徳政令」という資本主義に対する原子爆弾である。
そして、この爆弾が本当に落ちれば、被曝するのは今度も日本人だ。なぜなら、そんな事をすれば当然世界から米国債は見放される。その米国債を日本の庶民が預けた預金でせっせと買っているのは日本の金融機関である。
そんな中で仮にドル安が進み、実体経済と日経平均に悪影響が出れば、銀行はヘッジのために更に米国債を買うという市場の見方もある。だがそれは破滅への階段。これまでは長く持っていれば為替も債券の値段も必ず戻ってきたが、ついにその経験がアダとなる時が来た。
考えても見よ。仮にNナシームが言うように米国債市場に黒鳥が表れ、ソレが米株安を呼ぶというソブリンリスクの場合(ギリシャ型)、株/債券/為替/実体経済の複合パンチを一番食らうのは日本だ。
仮に金融機関が米国債投資で大損をすれば、影響は日本の実体経済に及び、最悪の場合税金で金融機関を救済するシナリオさえありえる。その時は日本が戦後の発展で蓄えたお金を米国の為に使い切る事になる。そんな事があっていいのか。まあ日本経済は米国のおかげでここまで来た。だから私が米国人ならソレを当然と考えるだろう。
見方を変えれば爆弾は落ちた方がよい。そして米国に貯えを吸いつくされボロボロになってからそれでやっと本当の意味で戦後が終わる。そして国防、外交、経済を、日本はやっと自分の頭で考えるようになる。そこが日本の本当のスタートラインだろう
2010年8月6日金曜日
ハゲタカの恩返し
「日のいずる国」の中国でまた園児殺しがあった。あの大地震で子供を亡くした親の悲痛な叫びもしかり、一人しかいない子供を殺された親はたまらない。昨日のNBCレポートでは、公式にはまだ政府が施行している一人っ子政策を無視し、子供を複数もうけようとする中国人家庭が出始めたという。
これで予定ではインドに抜かれてしまう人口が再び増加基調になるなら、中国の消費経済はどこまで伸びるか判らない。まさに地球にとっての未知の世界だ。だが一方で国民が政府の政策を無視するという事実。これはこの国の根幹を揺るがす事態の到来が、そう遠くない事を示唆する。
一方「日の沈む国」では国民は真っ二つ。米国では2009年に比べ、株が戻った事で2010年はミリオネイラーの数が19%増加した裏で、中間層から滑り落ちた大多数の国民は、先に救済された小金持ちに怒りながら自身が救済を求めている。
人間のマインドがこうなっては国家のシステムをどういじくっても国の衰退は止まらない。80年代以降の消費ブームの中で、流動性を媒介にして金持ちになった(ミリオネラーまで)の小金持ちは、減税の継続を要求し、全く税金を負担する愛国心を示そうとはしない。
そこで、彼等とは別世界の本物の大金持ち(タイクーン)は、ビルゲイツとバフェットが中心になって大金持ちの仲間に寄付を呼び掛けた。
結果40人が参加、総額は50兆円になるという。2人から直接呼びかけを受けた大金持ちの中で、最初の40人に加わらなかったのはジョージスソロスとオファラウィンフィーの2人だけだったとの情報もある。ただこの二人とて独自のフィランソロフィーには熱心である。
一方で40人の中には意外な面々も。まずあのブーンピケンズ。そしてブラックストーンのピーターソン会長とカーライルのルーベンシュタイン会長の二人のプライベートエクイティーの創業者たちだ。なぜなら彼らの業務は日本で言うあの「ハゲタカ」だったからだ。
NHKのドラマにもなった「ハゲタカ」の強欲の印象とは逆に、ルーベンシュタイン氏は殊勝だ。彼は「私と私の家族はこの国(米国)に対して借りがある。なぜならこの国は私たちにずっと素晴らしい機会を与え続けてくれた・・」と答えている。
さすが大金持ちは小金持ちとは違う。だが問題はこの国は今カネを必要としている事。彼らが死んでからでは遅いのではないか・・。
これで予定ではインドに抜かれてしまう人口が再び増加基調になるなら、中国の消費経済はどこまで伸びるか判らない。まさに地球にとっての未知の世界だ。だが一方で国民が政府の政策を無視するという事実。これはこの国の根幹を揺るがす事態の到来が、そう遠くない事を示唆する。
一方「日の沈む国」では国民は真っ二つ。米国では2009年に比べ、株が戻った事で2010年はミリオネイラーの数が19%増加した裏で、中間層から滑り落ちた大多数の国民は、先に救済された小金持ちに怒りながら自身が救済を求めている。
人間のマインドがこうなっては国家のシステムをどういじくっても国の衰退は止まらない。80年代以降の消費ブームの中で、流動性を媒介にして金持ちになった(ミリオネラーまで)の小金持ちは、減税の継続を要求し、全く税金を負担する愛国心を示そうとはしない。
そこで、彼等とは別世界の本物の大金持ち(タイクーン)は、ビルゲイツとバフェットが中心になって大金持ちの仲間に寄付を呼び掛けた。
結果40人が参加、総額は50兆円になるという。2人から直接呼びかけを受けた大金持ちの中で、最初の40人に加わらなかったのはジョージスソロスとオファラウィンフィーの2人だけだったとの情報もある。ただこの二人とて独自のフィランソロフィーには熱心である。
一方で40人の中には意外な面々も。まずあのブーンピケンズ。そしてブラックストーンのピーターソン会長とカーライルのルーベンシュタイン会長の二人のプライベートエクイティーの創業者たちだ。なぜなら彼らの業務は日本で言うあの「ハゲタカ」だったからだ。
NHKのドラマにもなった「ハゲタカ」の強欲の印象とは逆に、ルーベンシュタイン氏は殊勝だ。彼は「私と私の家族はこの国(米国)に対して借りがある。なぜならこの国は私たちにずっと素晴らしい機会を与え続けてくれた・・」と答えている。
さすが大金持ちは小金持ちとは違う。だが問題はこの国は今カネを必要としている事。彼らが死んでからでは遅いのではないか・・。
2010年8月5日木曜日
救世主 (スーパーマン) 現る
「その家」は1950年代から、親子二代に渡り、ある標準的な米国の家庭を見守ってきた。ところが、親が死に、ベービーブーマーの子供が主役になったころから世間の荒波を受けるようになった。そして、無理をして組んだセカンドモーゲージ(住宅の二重抵当)の資金を元手にした事業が失敗。結果、ご多聞にもれず、一家はフォークロジャー(住宅の競売)に追い込まれた。
立ち退きの日が迫り、家族は荷物をまとめ始めた。そして地下倉庫の中で数冊の古い漫画がほこりをかぶっているのが見つかった。どれも古い。年代は1930年代が中心だ。だがこれから家を失う鎮痛には何の役にも立たないと思われた。だがその瞬間、その中の一つに見覚えのあるキャラクターが表紙となっている事に気づいた。スーパーマンだった。
その漫画はアクションコミックNO1という代物で、1937年発行のその号は何とスーパーマンが世にデビューしたまさに初版だったのである。踊り立った家族は早速ネットで漫画のオークションの実勢を探った。そして驚いた事に、デフレだ、不景気だと言われる現代において、米国でも古い漫画はとんでもない高値を呼んでいた。今年に入り2冊のプレミアム漫画がネットオークションで1億円以上で落札されていたのだ。
早速携帯電話で表紙の写真を取り、専門業者にそのままメールをした。すると慌てた様子でその業者から返信があり、やはりとんでもない代物だった事が判明した。実物を観た業者によると、1937年の初版にしては状態が良く、8月27日から9月7日までの間に最低価格2500万円からオークションはスタートするという。そしてネット業者は家族に代わり、銀行にこの家族には近々大金が入る事を保証。一家はフォークロジャーを免れたのである。スーパーマンはまさに救世主だった。(尚、一家は匿名を希望・・)
この話は今日のABCニュースで報道されたモノである。そういえば、最近はミシガンのガラクタ市であのチャップリンの未発表映画のテープがみつかり、またどこかのヤードセールで総額40ドル買った古物の中に、時価200億ともいわれる有名な写真家のネガがあったりした。どうやら宝くじを買うのはもう辞めて、ガラクタ市巡りをした方がよさそうである・・
立ち退きの日が迫り、家族は荷物をまとめ始めた。そして地下倉庫の中で数冊の古い漫画がほこりをかぶっているのが見つかった。どれも古い。年代は1930年代が中心だ。だがこれから家を失う鎮痛には何の役にも立たないと思われた。だがその瞬間、その中の一つに見覚えのあるキャラクターが表紙となっている事に気づいた。スーパーマンだった。
その漫画はアクションコミックNO1という代物で、1937年発行のその号は何とスーパーマンが世にデビューしたまさに初版だったのである。踊り立った家族は早速ネットで漫画のオークションの実勢を探った。そして驚いた事に、デフレだ、不景気だと言われる現代において、米国でも古い漫画はとんでもない高値を呼んでいた。今年に入り2冊のプレミアム漫画がネットオークションで1億円以上で落札されていたのだ。
早速携帯電話で表紙の写真を取り、専門業者にそのままメールをした。すると慌てた様子でその業者から返信があり、やはりとんでもない代物だった事が判明した。実物を観た業者によると、1937年の初版にしては状態が良く、8月27日から9月7日までの間に最低価格2500万円からオークションはスタートするという。そしてネット業者は家族に代わり、銀行にこの家族には近々大金が入る事を保証。一家はフォークロジャーを免れたのである。スーパーマンはまさに救世主だった。(尚、一家は匿名を希望・・)
この話は今日のABCニュースで報道されたモノである。そういえば、最近はミシガンのガラクタ市であのチャップリンの未発表映画のテープがみつかり、またどこかのヤードセールで総額40ドル買った古物の中に、時価200億ともいわれる有名な写真家のネガがあったりした。どうやら宝くじを買うのはもう辞めて、ガラクタ市巡りをした方がよさそうである・・
2010年8月4日水曜日
逆境の男
米国人は困難に直面すると、この国は逆境を克服してここまで発展してきた・・と自画自賛する。確かにその歴史は否定しない。そもそもこの国は移民によって始まった国。移民は、ふつう本国では逆境にあったからこそ移民したはず。だが移民国家というだけならお隣のカナダも同じ。カナダに欧州から移民が入植したのは1600年代初めで米国とほとんど同じだ。だが超大国となったのは米国。理由は、やはりこの国の建国の父が偉大だったということに尽きる。
だが、今金融に関わる米国人は、実は逆境に一番弱い生き物になってしまったのではないか。昨今の金融政策を巡る意見の対立などは、FEDは直ぐに悲鳴を上げる市場をどう導くか。子育てで悩む親と同じジレンマを抱えている。
そんな中で「バフェットの後任は彼しかいない」とバフェットの右腕であるチャーリーマンガー副会長が惚れ込む中国人のLI LU氏は確かに逆境には強そうだ。1976年、貧困地帯の26万人が死んだとされるあの唐山地震を生き残り、南京大学で物理学を専攻中に起こった天安門事件ではリーダー格として抵抗。そして弾圧を逃れるために一旦フランスに渡り、そこから米国コロンビア大学に入学した。そのコロンビアでは4年制(経済学)とMBA。更にロースクールを同時に卒業にするというコロンビア大学の歴史で初めての快挙を成し遂げた。(その後金融へ)
まあ、賢者は歴史に学び、愚者は己の経験に学ぶ・・というビスマルクの言葉ではないが、仮に経験から学んだとしても、この人の経験なら、逆境への抵抗力という意味では折り紙つきだろう・・。
だが、今金融に関わる米国人は、実は逆境に一番弱い生き物になってしまったのではないか。昨今の金融政策を巡る意見の対立などは、FEDは直ぐに悲鳴を上げる市場をどう導くか。子育てで悩む親と同じジレンマを抱えている。
そんな中で「バフェットの後任は彼しかいない」とバフェットの右腕であるチャーリーマンガー副会長が惚れ込む中国人のLI LU氏は確かに逆境には強そうだ。1976年、貧困地帯の26万人が死んだとされるあの唐山地震を生き残り、南京大学で物理学を専攻中に起こった天安門事件ではリーダー格として抵抗。そして弾圧を逃れるために一旦フランスに渡り、そこから米国コロンビア大学に入学した。そのコロンビアでは4年制(経済学)とMBA。更にロースクールを同時に卒業にするというコロンビア大学の歴史で初めての快挙を成し遂げた。(その後金融へ)
まあ、賢者は歴史に学び、愚者は己の経験に学ぶ・・というビスマルクの言葉ではないが、仮に経験から学んだとしても、この人の経験なら、逆境への抵抗力という意味では折り紙つきだろう・・。
2010年8月3日火曜日
怖いオマケ (顧客レターより)
株は本日の上昇で年初来の伸び率が再びプラス圏に入ってきた。これで株の強気派はまた騒ぐだろう。だが今日のダウ200ポイントの上昇にはある記録がオマケとしてついている。それは、株価指数が2%以上上昇した当日としては、現物株の出来高が史上最低を記録したというオマケである。
この乖離の意味するものは何か。それはずばり8月中に米国の株は戻り高値を更新する事もあり得れば、そこから1週間で今度は5000ドル割れも起こりえるという事である。つまり実体経済と株価指数の遊離はかつてない水準まで到達したと言う事。そしてその背景は、この国に残された景気回復の手段が株だけになったということでもある。
それを象徴したのが週末の討論番組に出演したグリーンスパンだ。そもそも彼は96年の議長時代、まだ6000ドル台にすぎなかったダウ平均の上昇を「根拠なき熱狂」と表現した。ところが、昨日の番組では、今の米国は株を上げる事が一番大切と言いきった。彼の変節は、住宅市場が危機的な状況である今、株価には実体経済の証拠は要らないと断言したに等しい。
そんな中、本日は先週のセントルイス連銀総裁の提言後としては初めてバーナンケ議長が景況感に関してスピーチをした。そして意外にも議長の発言には仲間の警告にこれといって動じた様子は見られなかった。基本はこれまでと同じ主張。ただこの状況でも動かないのは今は寧ろタカ派である。
まあ昨日まで恐怖はデフレだと思ったら、今日の値幅からは1週間で原油先物が100ドルを超え、失業者が溢れる巷ではガソリンの急騰、連鎖するインフレが突然襲うという逆のシナリオの可能性はゼロではない。そうなると株は上がっても実態経済は益々悪化するだろう。
実はここに来て一番タカ派になっているのはバーナンケ本人ではないか。終に彼も自分が金融危機の際にヘリコプターからまき散らした紙幣(流動性)という餌に、最後は「黒鳥」まで飛来するかもしれない事が怖くなったか・・。
ところで、個人的に最後に「黒鳥」に慄いたのはいつだったかを振り返った。なかなかイメージ浮かばない。そして思い出したのは9・11のテロだ。ただ米国が攻撃された事が「黒鳥」だったわけではない。また2機目の飛行機が突っ込んだ瞬間も驚いただけだ。「想定しなかった」のは、ビルの上層で起こった衝撃で、あのビル全部が崩壊した事である。あの瞬間は想定外だった。「黒鳥」とはそう意味だ。
旧約聖書のバベルの塔然り。ここから目先株や債券がどうなろうが恐らくはこの国の本質にとって大した話ではない。今の市場は実体経済から遊離した金融市場参加者の自己都合が反映されているにすぎない。そして世の中がこんなゲームを続けている限り、金融市場という塔にはワールドトレードセンターと同じ運命が待ち受けているだろう。
この乖離の意味するものは何か。それはずばり8月中に米国の株は戻り高値を更新する事もあり得れば、そこから1週間で今度は5000ドル割れも起こりえるという事である。つまり実体経済と株価指数の遊離はかつてない水準まで到達したと言う事。そしてその背景は、この国に残された景気回復の手段が株だけになったということでもある。
それを象徴したのが週末の討論番組に出演したグリーンスパンだ。そもそも彼は96年の議長時代、まだ6000ドル台にすぎなかったダウ平均の上昇を「根拠なき熱狂」と表現した。ところが、昨日の番組では、今の米国は株を上げる事が一番大切と言いきった。彼の変節は、住宅市場が危機的な状況である今、株価には実体経済の証拠は要らないと断言したに等しい。
そんな中、本日は先週のセントルイス連銀総裁の提言後としては初めてバーナンケ議長が景況感に関してスピーチをした。そして意外にも議長の発言には仲間の警告にこれといって動じた様子は見られなかった。基本はこれまでと同じ主張。ただこの状況でも動かないのは今は寧ろタカ派である。
まあ昨日まで恐怖はデフレだと思ったら、今日の値幅からは1週間で原油先物が100ドルを超え、失業者が溢れる巷ではガソリンの急騰、連鎖するインフレが突然襲うという逆のシナリオの可能性はゼロではない。そうなると株は上がっても実態経済は益々悪化するだろう。
実はここに来て一番タカ派になっているのはバーナンケ本人ではないか。終に彼も自分が金融危機の際にヘリコプターからまき散らした紙幣(流動性)という餌に、最後は「黒鳥」まで飛来するかもしれない事が怖くなったか・・。
ところで、個人的に最後に「黒鳥」に慄いたのはいつだったかを振り返った。なかなかイメージ浮かばない。そして思い出したのは9・11のテロだ。ただ米国が攻撃された事が「黒鳥」だったわけではない。また2機目の飛行機が突っ込んだ瞬間も驚いただけだ。「想定しなかった」のは、ビルの上層で起こった衝撃で、あのビル全部が崩壊した事である。あの瞬間は想定外だった。「黒鳥」とはそう意味だ。
旧約聖書のバベルの塔然り。ここから目先株や債券がどうなろうが恐らくはこの国の本質にとって大した話ではない。今の市場は実体経済から遊離した金融市場参加者の自己都合が反映されているにすぎない。そして世の中がこんなゲームを続けている限り、金融市場という塔にはワールドトレードセンターと同じ運命が待ち受けているだろう。
2010年8月1日日曜日
イエローペリル (黄禍論) 顧客レターから
米国人が生きられない地獄。それはデフレの世界だ(物価がじりじり下がり続ける世界)。そしてそのデフレの象徴が日本。今の米国は、この「日本化の恐怖」があちこちで言われ始めている。そんな中、昨日はついに地区連銀総裁までもレポートで「日本化」を名指しで警告した。レポートにはPERIL(禍)というタイトルがついおり、戦前の「黄禍論」を彷彿させる。
ただ個人的にこの表現にはショック療法に近い意図を感じる。そもそもショック療法とは、内部が分裂し、為政者にとって普段のやり方では統率が難しくなった時に使われる事が多い。ブッシュ政権が始まった2000年.ハイテクバルブが崩壊して不景気が始まった。久しぶりの不景気に米国は混乱した。そしてオバマ政権は金融危機で混乱が頂点になったところで始まった。そして「100年に一度」などという言葉が流行り、政府と中央銀行による救済策はなし崩し的に施行された。
結果的にブッシュ政権が国内の統率を取り戻したのはあの9・11のテロ。そしてそのテロ後の政策で潤った人々や、実は金融危機で焼け太りした金融機関の実態から、その二つの危機はショック療法だったという意見もある。ところが混乱が過ぎ去った今、オバマ政権ではFEDの金融政策にも微妙な意見の食い違いが出てきた。そんな折に地区連銀総裁までも、「PERIL(禍)の到来)と表現したのは、政策を巡り意見が分かれ、次の一手を躊躇するワシントンへの〝ミニ〝ショック療法を意図していると感じたのだ。
まああのパールハーバーも、欧州戦線への参加に嫌戦モードだった米国内を愛国心からの参戦に変えてしまったわけが、ここでも「日本」が再び登場するところは何かの因果か。ただ今回は戦争ではない。米国の敵は、米国が失敗策と決めつける日本政府と日銀がとったバブル崩壊後の経済政策。しかし一日中経済番組で「日本化の恐怖」を連呼されれば、日本人としては奇妙な気分である。本当に日本はそこまで悪だろうか。
ところで、その発言をしたのはセントルイスのバラード総裁だった。彼の言いたい事は、中途半端にダラダラと低金利を続けるのは逆効果、だからやる時は量的緩和を徹底的にやった方がデフレ脱却は早いという趣旨である。「生ぬるさ」を否定するのは中西部気質。だが、彼が正反対の主張の同僚のホー二ング総裁と同じ州に暮らしているのは興味深い。ついでに言うと、ホー二ングが総裁を務めるカンザスシティーとバラードが総裁のセントルイスは共にミズーリ州にある。
ミズーリは米国のど真ん中にある小さな州だが、そもそもそんな小さな州に二つも地区連銀があるのは不思議かもしれない。特にセントルイス連銀が単独で管轄する州はアーカンソーだけである。ただこの州には大統領選挙で重要なジンクスがある。それは大統領選の予備選が接戦の時は、このミズーリを制した候補者が代表になる傾向。つまり時節に敏感な浮動票が多いオハイオが本選挙で重要な様に、地域ごとの価値感が交差するミズーリは連邦国家としての米国の重要な指標なのである。
そしてその地域を代表するバラード総裁がこれまでのタカ派的イメージから立場を変えた意義は大きい。これで、12の地区連銀総裁で、タカ派なのは前述のホー二ングとダラスのフィッシャー、そしてフィラデルフィアのプロッサー総裁だけになった。一方金融街を代表するニューヨークのダッドレー総裁とボストンのローゼングレン総裁が民間の金融機関ベッタリのハト派なのは当然として、残りのFOMCのメンバーは概ねバーナンケに逆らう事はない人達だ。そのバーナンケ本人にこのバラードの直言は決断を迫るモノになるだろうか・・。
ただ個人的にこの表現にはショック療法に近い意図を感じる。そもそもショック療法とは、内部が分裂し、為政者にとって普段のやり方では統率が難しくなった時に使われる事が多い。ブッシュ政権が始まった2000年.ハイテクバルブが崩壊して不景気が始まった。久しぶりの不景気に米国は混乱した。そしてオバマ政権は金融危機で混乱が頂点になったところで始まった。そして「100年に一度」などという言葉が流行り、政府と中央銀行による救済策はなし崩し的に施行された。
結果的にブッシュ政権が国内の統率を取り戻したのはあの9・11のテロ。そしてそのテロ後の政策で潤った人々や、実は金融危機で焼け太りした金融機関の実態から、その二つの危機はショック療法だったという意見もある。ところが混乱が過ぎ去った今、オバマ政権ではFEDの金融政策にも微妙な意見の食い違いが出てきた。そんな折に地区連銀総裁までも、「PERIL(禍)の到来)と表現したのは、政策を巡り意見が分かれ、次の一手を躊躇するワシントンへの〝ミニ〝ショック療法を意図していると感じたのだ。
まああのパールハーバーも、欧州戦線への参加に嫌戦モードだった米国内を愛国心からの参戦に変えてしまったわけが、ここでも「日本」が再び登場するところは何かの因果か。ただ今回は戦争ではない。米国の敵は、米国が失敗策と決めつける日本政府と日銀がとったバブル崩壊後の経済政策。しかし一日中経済番組で「日本化の恐怖」を連呼されれば、日本人としては奇妙な気分である。本当に日本はそこまで悪だろうか。
ところで、その発言をしたのはセントルイスのバラード総裁だった。彼の言いたい事は、中途半端にダラダラと低金利を続けるのは逆効果、だからやる時は量的緩和を徹底的にやった方がデフレ脱却は早いという趣旨である。「生ぬるさ」を否定するのは中西部気質。だが、彼が正反対の主張の同僚のホー二ング総裁と同じ州に暮らしているのは興味深い。ついでに言うと、ホー二ングが総裁を務めるカンザスシティーとバラードが総裁のセントルイスは共にミズーリ州にある。
ミズーリは米国のど真ん中にある小さな州だが、そもそもそんな小さな州に二つも地区連銀があるのは不思議かもしれない。特にセントルイス連銀が単独で管轄する州はアーカンソーだけである。ただこの州には大統領選挙で重要なジンクスがある。それは大統領選の予備選が接戦の時は、このミズーリを制した候補者が代表になる傾向。つまり時節に敏感な浮動票が多いオハイオが本選挙で重要な様に、地域ごとの価値感が交差するミズーリは連邦国家としての米国の重要な指標なのである。
そしてその地域を代表するバラード総裁がこれまでのタカ派的イメージから立場を変えた意義は大きい。これで、12の地区連銀総裁で、タカ派なのは前述のホー二ングとダラスのフィッシャー、そしてフィラデルフィアのプロッサー総裁だけになった。一方金融街を代表するニューヨークのダッドレー総裁とボストンのローゼングレン総裁が民間の金融機関ベッタリのハト派なのは当然として、残りのFOMCのメンバーは概ねバーナンケに逆らう事はない人達だ。そのバーナンケ本人にこのバラードの直言は決断を迫るモノになるだろうか・・。
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