2008年11月15日土曜日

日本人とポーカー

今週のこちらのニュースでいちばん印象に残ったのは、ラスベガスで開催されたポーカーの国際大会でデンマークからの19歳の大学生が優勝し、翌日の新聞に掲載された9憶円の札束に埋もれながらガッツポーズをしているその青年の顔である。まだあどけなさを残した彼は今後の予定を質問されると、大学に戻るだろうが、自分は「もっと賢い人間」になれるだろうし、そのための努力をしたいと答えていた。

そのポーカーゲームは日本人にとって馴染みのあるの娯楽とはいえない。私自身もこのゲームに精通していない。恐らくポーカーは嘘や虚を前提にしない性善説の国ではその本質が理解されにくいのだろう。一方性悪説が常識である欧米社会ではポーカーゲームは重要だ。なぜなら手持ちのカードの善し悪しと別に、心理戦を制する事で交渉やゲームを有利に進める事ができる。そのためにまず体得する習慣は手の内を晒さない事。そして今の混乱期の世界ではこのポーカーゲームでの才能がより必要とされているのである。

さて、米国からすれば地球儀上で大西洋を挟んで大陸を見据える役割の英国。英国のゴードンブラウン首相はブレア時代には財務大臣として米国と歩調を合わせた。しかし今回の金融サミットでは、同類ではないが、仏などの大陸諸国と歩調を合わせている。ブラウン首相の決断の結果の善し悪しは別として、彼の変身は世界情勢の変化の状況をかんがみ、首相として英国の国益考えた結果だろう。

一方、米国から太平洋を挟んで大陸を見据える日本の麻生首相はどうか。彼は相変わらず日本の国益は米国の言いなりになる事だと考えている様子である。金融サミットに臨むあたり、NHK特集で米国に唆された「日本の役割を示す時が来た」という馬鹿げた妄想で今回は主導権をもたない米国の援護にやっきである。

英国と日本。昔も今もそしてこれからも米国にとって最重要国家である。ただ英国は時に駆け引きを用いながら米国との関係を堅持するだろう。一方の日本。いくら米債を買い込み過ぎたとはいえ、日本は相変わらず人質国家のままだ。同じに米債を買い過ぎた中国がどんな対応に出るか、日本は中国から学ぶ姿勢を示せ。それだけで米国はびびるだろう。

なぜなら日本がより米国を必要とした時代が終り、今は米国がより日本を必要とする時代が始まった。そして米国はこの本質を必死で日本(人)に隠している。先のNHK特集もその為である。そもそも日本が米国との友好関係を維持する方法は米国の言いなりになることだけではないはずだ。英国とは米国に対する歴史が違うのは承知の上で、敢えて今は勇気をもって駆け引きの世界に飛び込む時が来た。

そう、ポーカーゲームの世界だ。この欧米流のポーカーゲームに対応できなければ日本において国益は結果論だけのモラトリアムが続く。

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