2008年11月22日土曜日

市場原理は国家への反逆

今日の株の市場はCITI(日興シテイーの米国本社)の会議の結果を待ちながら上下のリズムを繰り替えしてた。そして突然オバマが新財務長官を発表すると株価は急上昇した。そのため株を空売りしていたヘッジファンドはあわてて買い戻す羽目になった。

細かな話をすればオバマがノミネートしただけでガイトナー氏本人が財務長官職を受託したかどうかはまだ分からない(普通なら受諾)。ただ市場関係者はガイトナー氏を最後の希望として待ち望んでいた。だがガイトナー氏に何かできるら、クリントン時代から今に至るまで彼はずっとその立場にいた。その点ではグリーンスパンと同じである。その現実をどう説明するのか。新大統領としてのオバマへの期待が大きすぎる事と合わせてガイトナー氏への期待感も私には後の悲劇の材料にしかおもえない。

さてCITIの会議の結果がどうなろうと市場関係者が意識しなければならない事が一つある。それは前回の金融救済法案の結果すでにCITIには25B(2兆5千億円)の税金が投下されている事だ。それにもかかわらず今日の終値でCITI株の時価総額は20B(2兆円)である。政府の救済資金は優先株として投下されたとはいえ、本日市場はその25Bを下回るところまでCITI株を売り崩した。(CITI株の終値は3ドル台)

今は新政権への移行の最中でいわば権力の隙間である。その中で国家は既に税金を金融機関にを投下した。必要があればこれからも大金を投下するだろう。そしてこの隙間を狙ったようにヘッジファンドは銀行株を売った。彼らはルール違反はしていない。だが国民の血税さえも食い物にしている事実だ。これは米国の国是だった市場原理を今後も野放しにする事は、国家経営そのものに重大な危機をもたらす転換点を迎えたということだ。

そもそもヘッジファンドは余裕のある富裕層の資金を元手にしている。ただ今回の金融危機ではその富裕層の資金も傷ついた。今ファンドマネージャーはその損を取り戻すために必至だ。したがって市場のルールの中では何でもする。今回のCITI株の急落の本質を解りやすく分解すると、CITIに投下された国民の血税がそのままヘッジファンドの収益につながっている。


今金融機関はどこも脆弱である。その中でもCITIは負け組だった。原因はCITIの経営にある。しかし仮にこのままCITIが倒産に追い込まれると衝撃は甚大だ。リーマンショックの3倍は覚悟しなければならないだろう。国益上CITIは絶対につぶせない。 米国はついに腹をくくる時が来た。


ルールとは国家利益のもとで変化する。それが国家経営だ。しかしヘッジファンドは損失の取り返しに必死になるあまり、現状のルールの中で暴れまわりすぎた感がある。江戸時代、栄華を誇った淀屋は幕府によって追放された。当時のルールでは淀屋に非はなかった。米国でもヘッジファンドの行動はいよいよ国家利益への反逆になりつつある。国家には誰も逆らえない。それは歴史が証明している。大転換点が近づいている。

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