昔、道場六三郎が言っていた。「食材としての七面鳥は下等、だから好んで使う事はない・・」。鶏より脂がなく、雉よりもコクがないこの生き物を、米国では様々なソースで食べる。その起源は有名なメイフラワー号に乗って英国から米国に渡った新教徒。最初の冬を超えた半数が、大陸で生き残る術を教えてくれた原住民への感謝の気持ち現わしたディナーが始まりと言われている。
この話は前にもしたが、彼等は米国に渡った最初の英国人ではない。彼らよりも15年先に、ジョンラルフ等の先駆者がバージニアに渡った(ジェームスタウン)。そして、英国人に5年ほど遅れてオランダ人がマンハッタンに入植を開始した。コレ等が米国大陸への移民の初期の3大潮流である。そして特筆すべきは先駆者の特徴がそのまま今に引き継がれている事。英国よりも先に金融の仕組みを知り始めていたオランダ人は金融の街としてのマンハッタンにDNAを残し、そして煙草を栽培して金儲けをしたいという目的がはっきりしていた貧農民のジョンラルフは、バージニアの煙草産業の基礎を造り、その流れは南部のプランテーションへと拡大していった。
ではメイフラワー号の人々は何を残したのか。まずは冒頭の七面鳥ディナー。サンクスギビングはその名の通り「感謝する気持ち」が特徴である。想像するに、初期の3大潮流の中でも最も北にあるプリマスの冬は厳しかっただろう。だからより感謝の気持ちが生まれたのかもしれない。だが忘れてはならないのは、メイフラワー号はピューリタンという宗教色の強い集団だった事。彼等は当時の新宗教の中でも「安易な快楽を禁じる」事で有名だ。つまり、戒律に厳しい新国家建設を願った彼等と、快楽の延長の煙草で金儲けを企んだラルフは全く違う志を持って大西洋を渡った。
そして400年後の今の米国でどちらの魂が生き残ったかは言うまでもないが、ジョンラルフが原住民の酋長の娘(ディズニー映画になったポコハンテス)と結婚し、現地にとけ込んだの対し、己に厳しく、他人や自然に感謝する一方で、大義のためには死を受け入れるピューリタンは時に好戦的にもなった。この違いは原理原則を守る過程では他を犠牲にする今のTEA PARTYと、実利を優先する現代社会の常識とのズレにも匹敵する。
そして実利が慢性化した先の社会がどうなるか。それは米国では麻薬がより多くの州で合法化の流れにある事も然り、究極は今日のCNBCでの話題だろう。本日CNBCでは、インサイダーの合法化が議論されていた。終にここまで来たか。FEDのQEに違和感がなくなり、ドナルドトランプ氏が大統領選を窺うのが不自然ではない今の米国では、金融市場でインサイダーが法律違反で無くなることは自然である。
まあサンクスギビングの魂が消えた今の米国には相応しいテーマだろう。
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