嘗て米国が物づくりをしていた時代、GM フォード クライスラーの自動車メーカーは米国の繁栄の象徴だった。そして人々はこの3社を尊敬の念をこめてBig3と呼んだ。しかし時代は変わった。英語で「お荷物」や「負担」の事をBurdenという。今の米国にとってBig3はBurden3となった。
そんな「お荷物」を共和党保守派は絶対に救いたくない様子である。オバマも承認し、ブッシュ政権も成立止む無しと妥協したBIG3救済法案をこの期に及んでまでその凍結を目論んでいる。当然だ。彼らはプリンシパルの男達だ。たとえBIG3 が過去の英雄でも、市場として役割が終われば消え去るべし、常に新陳代謝の中に米国の発展があると信じている。そして先の金融法案では下院の共和党保守派が救済法案成立阻止で意地を見せた。そして今回、この自動車救済法案では今度は上院の共和党保守派が成立を阻止するために頑張っている。
ところで上院は下院にない特権がある。それは最終的な法案採決は議員の多数決によるが、上院は質疑にかける時間に制限がない。よって下院では議長のナンシーペローシがその裁量で強引に採決に持ち込む事ができるが、上院では議員全員に所謂「牛歩」に持ち込む特権がある。
牛歩を阻止するためには100人の上院で60人の合意が必要となる。ただそれは先の選挙で民主党が圧勝した来年の上院でも一人かける状態。よってBIG3救済法案はいずれは成立するとしても、今上院で牛歩が起これば成立が大幅に遅れる可能性が出てきた。GMは来年の話をする余裕はない。今月の資金繰りが苦しいのだ。この共和党の抵抗によって場合によっては目先の資金に苦しいGMは倒産の可能性が出てきた。
さて以前より米国はデフレは誰も助からないが、インフレは誰かが儲かると言ってきた。今はインフレが何よりも恋しい。そのためには春先に150ドルまで暴騰した原油先物に様々な規制をかけて強引に壊した時の逆をすればよい。元々も原油先物市場は小さい。そしてその原油先物を最後まで抱えてしまったヘッジファンドの多くは10月にギブアップした。よって今原油先物に売りを出す邪魔者はいない。
そう、春とは真逆の政策をすればよい。多少のガソリン高は犠牲だ。最早庶民の消費力はガソリンが下がっても回復しない。それより原油先物等の商品をもう一度復活させ、それに株を連動させた方が資産価格の戻しは早い。今米国の株式が戻り始めたには実はその連動が始まったからである。その意味ではBIG3の救済は関係ない。その点では新陳代謝が既に始まっていると言える。
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