2008年12月13日土曜日

折れた背骨

日本のニュースで世界経済は「複雑骨折」という表示があった。なる程、ただ世界経済が複雑骨折なら、実は米国はこれまで米国を支えてきた背骨が折れた状態である。今日はその話をしよう。まず。昨日自動車メーカー救済法案が上院でが不成立になった後、民主党上院を率いるリード氏は「明日の証券市場を考えると恐ろしい」と発言した。実はこの発言は背骨が折れた今の米国の本質をを表している。

その発言は正しい。そしてリード氏の議員として国家を憂う発言には違和感を覚えない。しかし昔の米国なら順番が違ったはずだ。順番とは本来市場は経済や国家運営の結果を表す場である以上、その上下運動は当然であり、たとえ下落してもそれで新陳代謝を促進する事が市場の機能だった。しかし民主主義=多数決の原則の中で過半数が市場の負け組になると、そのプリンシパル(背骨、原理、原則)に従順な共和党は今や変人使いされ、非難の対象である。

そしてその金融に支配された米国でこれまで名門と思われてきたファンドで5兆円規模の詐欺事件が起きた。NASDAQの会長まで勤めたマードフ氏が率いたファンドは5兆のうち1.7兆円は紛失状態。マードフ氏はファンドが元々不可能な利回りを提示し、そして運用の損は新たな投資家の資金で穴埋めする事を何十年に渡り続けてきたという。

これほどの規模のファンドでいかに情報開示とその精査がいい加減だったか。このファンドは1960年に設立されたファンドで既に認知度が高かった事が逆に盲点となったのだろう。いずれにしても「これは氷山の一角にすぎない」とあのデニスガートマン氏は言うが、この状況からは益々ファンドビジネスからは資金が流出、結果としての株式市場のダメージは大きいだろう。個人的にはGMの破産よりこの事件の方が来年に向けての悪材料である。

このような話は米国がマネーという魔物によって建国以来のプリンシパル(背骨)を失った事を象徴する。そして一見正しいようで実は場当たり的になってしまった民主党の政策を代弁するリード上院院内総務の発言は背骨が折れた外今の米国そのものを象徴している。




0 件のコメント: