2008年12月10日水曜日

強面から宦官へ

今年は何かとシカゴが注目されていると感じていた。今は過ぎ去ったとはいえあの商品市場ブームからオバマフィーバーまで、確かにシカゴには追い風が吹いていた。そして昨日、シカゴは予想通りCITY OF THE YEAR(今年最も注目された都市)に選ばれた。

選出理由にはシカゴで撮影されて大ヒットした映画のバットマンの影響もあるという。そしてデイリー市長はこの勢いをオリンピック誘致までつなげたいはずだ。しかし本日はシカゴ抱えるイリノイ州でとんでもない事件が起きてしまった。なんとオバマが抜けた後の上院の議席を埋める人選の権限を憲法で一任されているイリノイ州知事が権限を乱用、裏で議席を競売にかけるという前代未聞の行為で逮捕されてしまったのである。

そもそもイリノイ州知事が逮捕されるのは前任者に続いてである。それどころかこの州では現職を含めて過去5人の州知事のうち3人が汚職で逮捕されたという。これだけ聞くと、さすが暗黒の時代にあのカポネを擁して汚職の街の汚名を維持しただけの事はある。ではそんなイリノイの今はどんな州なのか。

実は今のイリノイ州は民主党色の大都市シカゴを中西部特有の保守色が残る郊外の白人層が包み込む2色性を持っている。この点が郊外も比較的リベラル色が強いNYやLAとは異なる。よってここでは長らく民主党のシカゴ市長と共和党の州知事が仲良くバランスをとってきた。ところがそれが前回の州知事選挙から知事までも民主党になっていたのである。

そしてオバマ政権にはこのシカゴとイリノイ出身者(勿論大半が民主党員)が大勢名を連ねる。有名どころではヒラリー国務長官とマニュエル首席補佐官だが、それ以外にもオバマは側近をシカゴ人脈で固めている。率直に言って、オバマ政権は皆が期待する程のクリーンな政権になるだろうか。

そもそも政治にクリーンなどを期待してはいけないが、軍事産業を中心に権勢を誇った共和党のロビーイストが次々に失業する中で、今ワシントンのロビイスト専門派遣会社は民主党の有力者確保にやっきになっているという(NYTIMESより)。そういえば中国では豪傑が国を造り変えてもやがては内部崩壊を起こし、末期は宦官に支配された歴史が繰り返された。そんな中、強面の共和党の人脈に対して、民主党人脈にはどこかで宦官のような陰を感じるのは私だけだろうか。

そのあたりは次政権の鍵を握るであろうマニュエル首席補佐官の考察で触れたいが、それとは別に今日の知事逮捕に前後してのシカゴトリビューンの倒産はシカゴの凋落の予兆ではないか。いや、もしかしたらレギュラーシーズンを圧勝したカブスがプレーオフでずっこけた辺りから実はシカゴのピークも過ぎていたのかもしれない。だがここは一つオバマに期待したい。東京には申し訳ないが、オリンピックはシカゴであって欲しい。なぜならロンドンの後で東京になるパターンは歴史的にあまりにも不吉である。

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