2009年4月14日火曜日

週末のショット

今年のマスターズは色々な味わいがあり、近年では一番面白いマスターズとなった。まずは日ノ丸を背負った片山が立派に結果を出した事を称賛したい。そして放映権を持つCBSにしてみれば、タイガーが初日から逃げる展開では視聴率はあがらない。よって最終日のタイガーチャージが一番望ましかったわけだが今年はまさにその展開。それもミケルソンとの死闘ともなれば日曜の午後の予定を変更してテレビに見ってしまった中年男性も多かったはずだ。

そしてその二人が力尽きると今度は中年の星のケニーペリーが頑張った。また解説を担当したニックファルドもさすが3回勝っているだけあり、ポイントでは常連のジョニーミラーとは違う指摘が斬新だった。そのケニーペリーが16番でエッジからバーディパットを決めたところでCBSは彼の優勝を前提に動き始めた。私自身が自分より年長の彼がマスターズを勝つ事に興奮を感じ応援したが、40台半ばになってから活躍をはじめたこの異色の中年をどう飾るか。勝利インタビューのCBSの準備が出来上がりつつあったところでその運命は変わった。結局勝利の女神は米国人選手には微笑まなかったのである。

話を片山に戻す。彼が初日から帽子に日の丸をつけていた事は気づいた。そして最終日は背中にも日の丸を背負っていた。CBSの解説はその事には全く触れなかったが、片山から石川へと日本人ゴルファーのレベルは受け継がれていくだろうと好意的な表現をしていた。片山の好成績も然り、やはりこのレベルの戦いでは勝負はパットだ。選手がパットを打つ瞬間の集中力がテレビ画面からでも伝わるのがメジャー中継の面白さだが、昔聞いた「ショットは見せるため、パットは稼ぐため」という表現は道具が進歩した現在のプロの戦いではますます顕著になっている。

ところで週末に見事なシュートを見せたのは米海軍の3人の特殊部隊も同じだ。彼らは米国人船長がで監禁状態になった屋根付きの小型ボートの窓の奥で銃を構える3人のソマリア人海賊を、それぞれが暗闇の中で100ヤード先の米国艦船の甲板から一発で仕留めた。こちらのニュースではその時の解説がグラフィックで紹介された。艦船は大型なので揺れなかったとしても人質が乗ったボートは小型、あのサイズでは海の上ではそれなり揺れたはずだ。その揺れの中で一発で仕留めなければ人質が殺される可能性があったが彼らはそのショットを決めた。

そもそも海軍の特殊部隊のSEALSは陸軍の特殊部隊のグリーンベレーよりも給料が高い事をアフガニスタンで戦死しした将校の解説で知った。そして、彼らの集中力は時にプロゴルファー置かれる重圧以上の状況で試される。そして今回作戦は成功し米国も喜んだ。たが仕留めた的は生身の人間である。これをどう考えるか。この最大課題がこの後に残された。


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