2009年4月21日火曜日

制御不能 理想の限界

10年前の4月20、コロラド州のコロンバインで自動小銃で武装した二人の男子高校生が教師を含む12人の生徒を無差別に殺した。昨日はその記念日だった。

ところで結果的にこの1年で殆ど値下がりしていない銘柄が一つある。ズバリその銘柄はスミス&ウェッソン(SWHC)だ。私自身も景気後退が鮮明になった2001年の9月、生まれて初めて確か300ドル程度でこのメーカーの拳銃を購入した。当時初めて足を踏み入れた銃ショップは閑散として不気味な雰囲気、射撃場も兼ねたその店には数人が射撃の練習に来ている程度だった。そして拳銃許可証が届いた翌週、早速自分も練習の為に再び訪れた。ところが情景は全く違っていた。店は大勢でごった返し、練習場も満杯で早々に引き返した。そう、この間に9.11のテロが起こったのだ。

そして昨日のニュースで今全米の銃ショップと練習場は恐らくこの時以来の盛況である事を知った。理由は二つ。まずは既に始まった景気悪化による世情不安だ。そしてより直接的な理由して挙げられているのはオバマ政権が打ち出した銃規制である。

バージニア工科大学の事件の際にも紹介したが、ATF (Bureau of Alcohol, Tobacco, Firearms)に正規登録された銃は優に2億丁を超える。これに不正に出回っている銃を考慮すると、人口3億の米国に一体どのくらいの銃が出回っているのか全く想像できない。政権はこの現実の中で銃規制を画策しており、今後は銃の保持が厳しくなると言われている。ただ既にこれだけの銃が出回った後で世情不安が更に加速したらどうなるか。再び乱射事件が頻発する中で不安を感じたのだろう、個人的経験からこの現実はこれまで銃に否定的だった層まで銃に向かわせている可能性を感じる。

この様にこの政権が掲げる銃規制ポリシーは真逆の現象を引き起こしている。ここに理想主義の限界を見た。オバマの責任ではないが善人の弱さかもしれない。いずれにしても、一度野放図に拡大したモノを再び適正量に戻す事がいかに難しいか、今我々は他の側面でも経験している。強引に閉じ込めると社会不安が一層加速する点では米国においてマネーの量と銃の数は最早制御不能になった。この様にオバマの理想主義の限界はまず米国内においてこれから様々な面で綻びをみせるだろう・・。




0 件のコメント: