2009年4月30日木曜日

オバマの100日、もっと大きな政府へ

今日でオバマは大統領就任100日目を迎えた。専門家の間では、戦後の大統領としては就任から100日までの業績は歴代トップの評価である。また統計からは国民の人気も衰えていない。ところでその統計で意外に感じた事がある。それはのはアメリカ人の客観性の変化だ。

まずオバマの政策に反対する多くの共和党支持者も、彼の政策には反対、だがオバマ個人は好きだと言う人が大統領選挙前に比べて統計からは明らかに増えているのである。一方でオバマの政策の恩恵を受ける弱者層も、オバマ政権は多くの事を一度にやりすぎている危険性を感じ、野放図な政府の役割増大への一定の歯止めを受け入れる覚悟もできている様子。どうやらアメリカ人も大人になった。

そんな中本日はGDP(国内総生産)が発表された。数値は予想を大幅に上回るマイナス成長だった。先の国民調査では景況観に対しての統計もあり、興味深いのは政府やエコノミストが最悪期は脱しつつあると言い始めているのに対して、7割以上国民は逆に最悪期はこれから迎えると政府よりも慎重であること。この態度はこれまでのアメリカ人の能天気さとも違う。

そのGDP(国内総生産)では輸出の減少は当然としても、オバマの「大きな政府」になっても政府支出が落ち込んでいる現実は違和感だ。だが逆にこの弱いGDPの数値は「もっと大きな政府」への免罪符となろう。そんな中で党内ランク5位のベテラン共和党上院議員が民主党に鞍替えした。実はこの意味は大きい。

そもそも米国政治を眺めて10年以上がたつが、現役上院議員の鞍替えは記憶では初めてだ。彼は次の選挙に大きな政府の役割を否定する共和党では勝てないとのコメントを出した。だが実際は次の選挙で共和党内の予備選を勝てないと判断したのが実情らしい(ワシントンポスト)。ただ彼の寝返りで上院はフィルバスター(牛歩)阻止体制が完成する。これでオバマ政権は政治力学上はあのF.ルーズベルトにまた一歩近づいた事になる。そしてそれは今のオバマの減税発言とは裏腹に、将来大きな政府を維持するための増税の可能性を感じさせる。

1920年代の大恐慌直前の繁栄は、当時の財務長管アンドリューメロンの減税政策で金持ちの層への所得税が70%から20%に引き下がった効果が大きかった。だがニューディール政策が始まるとルーズベルトはソレを再び90%以上に引き上げた。オバマはどこまでルーズベルトに近づくのか興味深い。


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