2009年5月15日金曜日

インガルス一家の引っ越し

CNNのニュースにカリフォルニアに住む40代の夫婦が出ていた。そして妻が怒りをあらわにしていた。夫婦は周りが住宅バブルに浮かれている間も賃貸に住みながら地道に働き、国家に税金を払い、貯金もした。そしていつかマイホームを買おうと、異常なブームが終わり、住宅価格が下がるのを待ち続けた。選挙で彼女はオバマを支持した。だが今彼女は国家にやり場のない憤りを感じている。なぜなら、税金をまともに払わず、本来住宅を持つ資格が無かった人々と、その彼らを利用して暴利を貪った金融機関を助ける為、自分が家を買わずにきちんと払ってきたその税金が使われている。(サブプライムとは税金を払う前提となる収入を持たない人、あるいは身分不相応な住宅を購入させる仕組みである)そして待ち望んだはずの住宅価格の下落を今政府は止めようとしているのである。

これまで米国人として堅実に生きてきたはずなのに今は政府に裏切られたとの思いが彼女にはあるという。続いてシカゴの大手家具店のCMを観た。まずフォークロジャー(競売)の看板の張られた家の写真が次々に現れた。住宅市場が動き始め、家具の需要も喚起されている事を宣伝しているのだ。そして写真の最後に見覚えのある白い邸宅が現れた。この家にもついにフォークロジャーのサインが張れた。その家はホワイトハウスだった・・。

まず、奔放なイメージのカリフォルニアにも上述の様な堅実な夫婦がいる事に新鮮な驚きを感じる。またシカゴの周りの中西部は「大草原の小さな家」のインガルス一家を原型とする保守系の家庭が多い。今彼らは怒っている。勿論いつの時代も世の中が公平だった事はない。またカリフォルニアの夫婦は時代の潮流に乗り遅れたのは事実だ。だが本来米国はこの夫婦の様な人々が幸せになるような国家を目指して設立された。そしてその両輪を支えたのが資本主義と民主主義だった。しかし米国は終に運転を誤った。回転が過ぎ、資本主義の一輪が脱輪した。そしてバランスを狂わせながら残った民主主義の一輪が本体を振り回しはじめた。このままでは個人的には本体は横転しながら最後は大破するのではないかと心配になる。だが今の政権は米国を正しい軌道に戻す荒業をする覚悟はなく、揺れ始めた国家同様にあちこちを救済するために政府が一番振り回わされている。やはりオバマは若すぎたのか。あの「インガルス一家」を目指す我が家としては、早くこの本体から離れなければならないだろう・・。

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