2009年8月4日火曜日

下取りブーム

冷え込んだ消費を掘り起こす手段としてまず日本で先行した「下取りセール」は米国にもヒントを与え、その新車販売キャンペーンの「CASH FOR CLUNKER:ポンコツを捨てて現金を手にしよう」は米国でも大成功をおさめた。そしてその自動車の成功をみて他の商品でも次々に下取りセールが始まった。

まずシカゴ最大手の家具のチェーンストアでは新品購入者に対して古いソファを最大250ドルで引き取る広告を打った。そしてびっくりしたのは我が家の斜向かいに2年以上さらされたままの新築住宅だ。週末から次のような看板がついた「You buy this home,I buy yours: この家を買えばあなたの家は私が買います。」

ところでピーク時に確か5000兆円以上だった世界の株式時価総額は昨年の最悪期に2000兆円以上が失われた。だがここまで戻れば1000兆円は回復しただろうか。そんな中で本日のNY TIMESには、昨年、株と住宅が中心の米国の一般家計の富は1300兆円が失われたと紹介されている。(この金額はちょうど日本の個人の貯蓄に匹敵するのは不気味) 。そしてその穴を埋めるために今後米国の一般家計の所得はかなりの長い期間貯蓄に回され、エコノミストが予想する程には消費には回らないとの意見があった。

さもありなん。この状況では下取りセールが好調といっても、政府が還付金を出す自動車はともかく、上述の通りに他の産業は収益を犠牲にした「肉を切らせて骨を切る」ぎりぎりの営業を迫られる。だがそれはGMを結局倒産に追い込んだ2001年の戦略と同じではないか。

それにしてもグリーンスパンは私にとって最早完全に過去の人となった。彼は昨日ABCの番組で「住宅市場は大底を確認したかどうかは未定。場合によってはもう一段の下落もある」と言いながら、一方で「株と景気は最悪期を脱した」とも述べた。一般の家計において株よりもはるかに資産効果が高い住宅の底打ちが未確認でありながら、景気は底打ちしたと述べるグリーンスパンに個人的には興味はない・・。

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