2010年3月16日火曜日

メディア繚乱 反日感情の誘惑

この日曜日から米国では新しいTV番組が始まった。そもそも日曜日の夜8時は日本なら大河ドラマの時間帯。実は米国でもこの時間帯は各局の主力作品が並ぶ。中でもHBOチャンネルは過去ここにあのソプラノスやSEX&CITYを持ってきては3大ネットワークを凌駕した。そして今回HBOが鳴り物入りでに持ってきたのが「パシフィック」である。

名前から想像できるかもしれない。この番組は太平洋戦争のドキュメンタリーを脚色したスピルバーグとトムハンクス共作のミニシリーズだ。そう、大成功だった2001年のバンドオブブラザースの続編である。そして前作がノルマンデイー上陸からナチス降伏までを実名で描いたのに対し、今回は真珠湾攻撃を受け、志願して海兵隊に入り、ガダルカナルから硫黄島、そして沖縄占領までを経験する若い米国兵の愛国詩である。そして初回の印象では作風は前作と同じ。だが違う点が一つ。それはバンドオフブラザースが徴兵されて嫌々欧州戦線に出ていく若者の苦悩をどこかに含ませたの対し、パシフィックは真珠湾を攻撃されて愛国心に火がついた米国の若者が「ジャップめ、皆殺しにしてやる」と志願して雄叫びをあげるシーンが冒頭に用意された事だ。

ところで、実はこのドラマの前に和歌山の太地町のイルカ漁を取り上げてアカデミー賞を受賞したTHE COVEを家族で鑑賞した。理由は昨今のトヨタ問題からマグロの禁漁まで、渡米以来初めてどこかで反日気運を感じ始めた自分としては、米国で育った子供達がどうこの映画をみるか反応を知りたかったからだ。そして内容はイルカ虐待を材料しているものの実態は反日映画そのもの。クジラからマグロまで、海洋資源を食い漁る日本人を今の内に何とかしなければならない・・最終的には肉食系の白人が将来の海洋資源確保を前提に、動物愛護を材料に水面下での利害を感じさせる内容だった。また事実ではない誇張もあり、ドキュメンタリーとしては?だが、絶対に取られてはならない虐殺シーンを見事に撮影されてしまった以上この映画によって太地町と日本政府の敗北は決定的となっただろう。

ご参考までにCOVEが鑑賞できるサイトを以下に紹介します。但しウイルスのリスクも含め、試聴は自己責任でお願いします。

http://www.movies-links.tv/movies/the_cove/ 


最後にこの映画とテレビで日米関係の今後に暗澹たるムードを感じながら日本語放送をつけると今度はNHKの討論番組をやっていた。議題は日米同盟。参加者がそれぞれの立場で議論をしていた。日曜美術館の東大教授が唯一賛同できる視点を披露していたが、それ以外は皆が「自分が知っている米国」を前提に議論していた。だがここで紹介した「反日への誘惑」然り、米国は日々変化している。それを知らないで日米同盟を議論しても全く無意味である・・。




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