2010年3月18日木曜日

歴史的瞬間迫る。株は暴落か。

そういえば11月にHBOが放映したオバマ政権誕生までのドキュメンタリーは秀逸だった。カメラはヒラリー優位の予想に反してIOWAの予備選を制した数日前からオバマにに密着。その後の激戦を内側から紹介した。そしてその中に絶対に日本人に観てほしい場面がある、それはヒラリー マケインとの激戦の中、彼等とのTV討論を前にした練習風景。そこにはこれぞアメリカのエリート誕生のプロセスがある。まずスタッフが会場に集まりシミレーションを繰り返す。司会者を研究しどんな質問が飛び出すかを予想、敵の答えも想定してその答えに対しての有効な答弁を準備する。オバマもスタッフも徹夜である。こんなプロセスは日本の政治では絶対に見れないシーンだ。そしてマケインとの決戦前夜祖母を失った彼は涙を堪えながら最後の演説をする。恐らくこのシーンに感動しない日本人はいないだろう。だがこの国にはいる。彼等からすれば民主党とオバマ政権がの政策は全て反対。どれだけオバマが有能で尊敬されても、彼を絶対に受け入れられない人々がこの国にはいるのだ・・。

そもそも米国の歴史で健康保険法案は民主党だけのテーマではない。政府主導の国民皆保険を最初に提唱したのはルーズベルトだが、その法制化はトルーマンケネデイーと引き継がれ、ジョンソンが一部達成(MDEICADE MEICARE)した。そしてその後皆保険実現に真剣に取り組んだのは共和党のニクソンである。しかし彼が辞任で機運は消滅。国家に余裕が無かったカーター政権を飛ばしクリントンまで手がつけられることは無かった。だがクリントンも議会の優位性があった最初の2年で結果を出せず挫折。その反動で中間選挙で民主党は大敗した。そしてその後下院はギングリッチ率いる共和党が長く支配する時代に突入した。だが紆余曲折を経てその健康保険法案をオバマはここまで持ってきた。だから今は米国にとって歴史的場面である。それだけ双方は必死。オバマが嫌いで健康保険法案を潰したい共和党支持者は、「時の女」ミッシェルバックマン等に誘導されデモ行進をしている。中には法案を支持して座り込みをする労働者を見つけ10ドル札を投げつけるという醜い行為まで飛び出した・・(MSNBC)。

前述のキュメンタリーの感動からしても、予想された事とはいえ日本人の自分からみて残念なのは金融危機後のオバマ政権のプロセスである。その点で興味深い資料が今日のLA TIMESにある。それはこちらではdeliberative process exemption とよばれる政府機関の議事録公開の拒否権だ。記事によると、オバマ政権は政治の透明性を掲げながらこの発動回数はブッシュ政権最後の年の2倍(70779回)である。これはあの金融危機救済プロセスが尾を引いているのは間違いない。

この政権には 選挙戦を一緒に戦った新鮮な血もそれなりにいる。だがあの様な金融危機ではクリントン政権を母体とする経験者を頼るしかない。その象徴がサマーズでありガイトナーである。そして助けてもらった金融機関が彼等を高く評価するとそれはこの状況下で逆に支持率を下げることになる。要するにオバマがガイトナーやバーナンケを褒めると、一番重要な保険法案が逆に通りににくくなるという矛盾が生じていたのだ。そしてそれが共和党のこれまでの戦略だった。だがこの戦いにもついに決着がつく時が来た。健康保険法案が通ると、バーナンケの再任が達成されて下がっていた株が戻したあの場面の逆が起こるだろう。それが87年型の暴落であっても個人的には驚かない。




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