2010年7月13日火曜日

姥捨山

今日から米国は企業の第二四半期の決算発表のシーズンに入った。この期間は約一カ月半続くが、直近の2回のシリーズでは株は結果としては下落してしまった。1月期も4月期も、皮切りとなるアルミ大手のアルコアから金融の決算が出る前半株価は好調を維持した。ところが、1月はマサチューセッツの上院選挙で民主党候補が負けた事と、バーナンケの再任が危ぶまれて2月に急落。そして4月は突然GSの不祥事が発生して急落した。そんな中で今日のアルコアの結果はまずまず。だが同じパターンも十分ある。

さて、メリルで長く会長を務めたコマンスキー氏がCNBCに出ていた。2003年、不祥事で当時のスパイザーNY司法長官から、CITIのワイル会長、AIGのグリーンバーグ会長と同じく、唐突に引退の引導を渡された氏は、2008年「旧金融界の人」が中心となって立ち上げたプライベートバンクの発起人の一人という事で、実はまだ現役だった・・。

グリーンバーグ氏が80歳半ば、ワイル氏も80前後。その二人のより多少若いとはいえ、引退したはずの70歳のコマンスキー氏がまだ現役であると知り驚いた。そして改めて感じるのは人間の引き際である。

寿命が延び、健康ならば働いて何が悪い。その通りだ。だが政治やビジネスでは時に「姥捨山」も必要だ。その一方で、先進国の多くが成長路線への回帰を叫ぶ一方、殆どの国で高齢者の増加という現実を抱えている。その中で米国はまだ人口動態は若い。だがコマンスキー氏が現役の一方、有名大学を出ても仕事がない米国の若者の増加は、この国も同じ課題を抱えている事を示唆する。

そもそも成長の本質は新陳代謝と考えている。人間社会も同じはずだ。西部を開拓したこの国の発展では途中で大勢が死んだ。また最近の日本の2流政治家が口にする明治維新の英雄は大半が横死している。つまり、政治もビジネスでも、成長という言葉を盛んに言う人ほど、犠牲になる事も含め、実は自分だけはその本質から逃れているケースが多く見られる。

ところで、有名な「姥捨山」は信州の実家から眺める事ができる。そこに年老いた両親を残す立場からしても「姥捨山」は非現実的。ならば成長と福祉の両立などといった矛盾した約束より、カネとモノだけでは測れない、新しい成長のアイディアを模索したいと感じている・・。






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