2010年7月22日木曜日

タイクーンの憂い

今この国ではuncertainty(不透明感)と言う表現がブーム。ただ本日バーナンケまで言うとは思わなかった。そして何がどうuncertaintyなのか。答えはそれが非成長下の民主主義と言う事だ。(因みに日本は平和主義であって、ソレを民主主義と勘違いしているだけなので対象外)

まず政府関係者は米国経済が昔の様な自律回復力を持っていない事を知っている。何もしなければ住宅は底割れだ。だから国が力づくで経済を浮上させたい。ただ今この政権には敵が二人いる。一人は共和党。彼等は政府の救済政策をことごとくじゃまをする。そしてもう一人は緊縮に向かい始めた世界の風潮だ。

この状況の中、本来は国が纏まらなければない。ところが、中間層が衰えたこの国では、1%の富裕者層が80%の富を握り、一方で55%の国民は所得税を払わない。そして、金融危機で肝を冷やした金持ちは貧乏人のために税金を負担する事を嫌い、一方その金持ちの救済を目の当たりした庶民は、政府から更に救済を受けても何が悪いと開き直る。

いずれにしても、中間選挙は愛国心を忘れた者同士のぶつかり合い。これが65年前に日本を負かしたあのアメリカか。この国の歴史を日本人として眺めてきた立場から信じられない思い。そしてこの状況にも関わらず、これまで通り楽観論だけは健在である。

そんな中でこの状況を危惧するのは「普通の金持ちではない金持」だ。1%のこの国の金持ち層も、84年前後からこの国が金融国家としてGDPが急拡大する過程で生まれた金持ち層と、ビルゲイツやバフェットの様なタイクーン(TYCOON)とは分けて考える必要がある。

前者はウォール街の高給取りや、実業では株式オプションで潤った人々。恐らく彼等の資産は100億円~1000億円の層だろう。そしてこの層は一昨年の金融危機で影響を受けたはず。だがビルゲイツやバフェットが生活を切り詰めたという話は聞かない。つまり、普通の金持ちではない金持ちとは、ビルゲイツやバフェット、そして先週総額1兆円を超える全財産の寄付を約束したポールアレンなどを指す。

彼らが今になって他の金持ちに寄付を呼び掛けはじめたのは、この国がそれ相応の危機に瀕していると感じているからだろう。だがその危機感は普通の金持ちには伝わらない・・。

その昔この国はカーネギーいた。だがカーネギーの真似は簡単には出来ない。ならば明治の日本人の言葉を米国に送ろう。「金を残すのは下、事業を残すのは中、人を残すのは上・・後藤新平」






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