2009年6月3日水曜日

株の変質

先週は倒産直前のGM株にグローバルマクロを称するロンドンのファンドを介して中東の資金が触手を伸ばした。また3月からの金融株の戻り相場では、本来はBUY&HOLD(長期保有)のミューチャルファンドが3ドル前半で買ったCITI株を同日中に3ドル後半で売るというデイトレーダーまがいの売買が一般化している話があった。だがCITIやGMの超大型低位株がダウから外されその流動性を利用した日計りは難しくなるはずだ。

この現象を見ても明らかな通り、今の株は金融危機以前とは大きく異なる。まずはFEDが資金をこれだけ提供してもM3が伸びないという事は、その資金はリターンをこれまで以上に市場での直接運用に求めているという事だ。結果株はこれまで以上にコモディティー化した。一方でFEDは自分でドル札を刷るというインフレの要因を作りインフレ相場を助長。それで長期金利が上がるの防ぐため更にドルを刷って買い支えに回るというポンジーをしている。だがそれは覚悟の上での事。そしてFEDが承知でその行為を行っている間は債券関係者は安心して管理相場に乗れた。

ところがその安心が揺らいだのが先の「米国売り」だ。だがそれもガイトナー財務長官が中国に飛んで今は一服。株は再びコモディティーとして敏感になった。そもそも株が株として200日移動平均線を超えるのは至難の業、だが株が商品なら大したエネルギーはいらない。一方で株は重要なEQUITYでありあくまでも商品とは異なる。そして株が商品の様に身軽に上昇したこの転機を逃すまいとJPモルガンやモルガンスタンレーはTARP(政府資金)を返すための増資に躍起になっている。だがこれはJPのダイモン会長の邸宅の売りと同じ。本心では強気ではない証拠だ。

そういえば為替も商品相場の同様に値動きが激しい。ただこの為替も企業の成長を支える資本とは言えない。そもそもバフェットが体現した成功とは、企業の成長をその株を長期保有する個人投資家が支える相互利益の賜物だったはず。ならば本来その「株の国」の米国で企業成長を支えるはずの株が商品化するという事は本質的に何を意味するのか。恐らくはもう少し先にその答えが我々を待っているだろう。


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