2009年6月30日火曜日

相場とハリウッド

先週子供と観賞した「トランスフォーマーⅡ」が世界を含めると公開から数日で既に$400M(400億円)の売り上げになったとCNBCが紹介した。ただこの続編は初作に比べて凡作だった。だが3部作の中間としては最終作に期待を持たせる意味で逆に効果的だったかもしれない。ところで、MAJORITY(大衆)がどう反応するかに賭ける点で相場と映画作りは似ている。それもあり、自分は映画やTVをよく見る。そしてこの週末は日本映画として初めてアカデミー賞を獲得した「おくり人」を鑑賞した。感想は米国人がこの映画を評価した背景は何よりもテーマの斬新さが一番の理由だったのだろうという事。監督の演出は尊厳的テーマをコミカルに描いていたが、恐らくこの手法は欧州より米国で受け入れられる。

そしてこの映画が日本でヒットした時期が金融危機後の混乱の最中だった事は、浮かれた時代の反動として小説も含め文芸作品で更に厳粛性を追求する日本人の自虐性の一面が現れたと考えている。逆に社会が暗い時こそ通常の楽観主義に加え、ことさらアメリカンヒーローが活躍する映画がヒットするのが米国だ。そもそも米国ではヒットする映画に求められるモノは芸術性ではない。個人的分析ではソレは現実社会に足りなり刺激の充足か、逆に現実社会からの逃避のどちらかである。そしてこの特徴を先取りする事がハリウッドや相場で「当てる」コツであろう。

そして最後にもう一つ。日本でも公開されたクリントイーストウッドの「グラントリノ」は米国の金融市場をみる人には参考なる映画の一つ。最大の理由は自動車産業が衰退した今のデトロイトの雰囲気を最もよく現わしているからだ。ただ映画のメインストーリーそのものはあまり参考にはならない。だが米国が抱える問題である銃の氾濫、人種差別、またイーストウッド演じる主人公が朝鮮戦争の傷跡を引きずりながら、彼らの存在自体がベトナム戦争の後遺症でもある米国内のモング(Hmong/mong)の人々の扱いなど、社会性の高いサブストーリーは一見が価値はあるだろう。


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