2009年6月9日火曜日

ナルシストを担ぐ面々

今回の株の反発局面ではアップル株の戻りは著しい。だがその根拠となった膵臓癌で闘病中のスティーブ ジョーブ社長の現場への復帰は、本日の恒例の新製品発表のステージでは確認できなかった。そんな中で株は引け値でSPとNASDAQは僅かながらも連続の陰線を記録。途中の唐突なETFの買いは「ソレ」を避けるためだったと推測しているが、この結果は逆効果のリスクも孕むのではないか。

ところで本日一番の面白い話はNYTIEMSがすっぱ抜いたオバマ経済チームの軋轢だ。そしてその主役はサマーズ。彼はガイトナー財務長官を始め、他の重要メンバーと多くの点で意見の違いを露呈しながらもその剛腕で現在はオバマに日々の経済状況について最も影響力を与える立場になっているという。(NYTIEMSの意訳)

そもそも彼は本来財務長官を希望したが、結局はNEC( National Economic Council)という妙な立場に落ち着いた。この職務はFRB議長への布石としてグリーンスパンやバーナンケが経験したCEA委員長(Council of Economic Advisers)とは違う。だがWESTWING(ホワイトハウス内で大統領に最も近い位置で仕事をする官房長官の管轄下)の立場を利用し、そのトップであるマニュエル主席補佐官を飛び越えてオバマに影響を与え、あわよくばFED議長への異例のスライドを狙っていると記事は伝えている。

そんな彼をボルカーが批判した事が伝わった。だがそもそもボルカーの存在意義が判らない中では今後も押しの強いサマーズが経済チーム主導権を握るのは必定だろう。ただ彼はCITIの給与キャップを外すために上院のクリスドットに働きかけをした一方、そのCITIからコーポレートジェット等の使用なのど特権を貸与された事が判明。また通勤に96年型マツダを使ってカモフラージュしているものの次々に過去の実体が明らかになり、これらの話がいつ彼を失脚させても不思議はない状況であると考える。

いずれにしてもこの先景気が回復しない場合は中間選挙を睨んで政治的な駆け引きが活発となろう。そして共和党は既にそのヒントをつかんだ様子。それはこのところの市場の悪化でオバマが政権を引き継いだ直前よりもモーゲージ金利が上昇してしまった事だ。これだけの金を使い、これだけのドル札を新たに刷っても結局はモーゲージ金利が上昇してしまったとなると、ソレは実体経済に与える影響よりも次の選挙を睨んだ政治模様に与える影響の方が遥かに大きい。そして政局が主役になると、その時点での景気次第ではバーナンケの首など誰も保証できない。

そんな中でオバマ自身は外交を中心にポイントを稼ぐ事で自分自身を美しく見せる事には引き続き成功している。だが既にナルシスト オバマとの揶揄が始まった様に、どこかでオバマも八方美人的な対応を辞めて国民に強い覚悟を示す時が来るだろう。さもないと前述の経済スタッフの軋轢がやがては本格的な内紛になり、「民主党の弱点」が露呈する事も十分あり得る。


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