2009年6月16日火曜日

国家の寿命と株価

中東の産油国では富を独占する王族支配はそのままに不満分子はテロに向かわせる・・。先進国と王族が裏で妥協した?この構図が続く中、イランは宗教の原理にのっとりイスラム革命を成功させた唯一の国である。その「国家エネルギー」を考慮すると、この選挙結果をそのまま受け入れるだろうか。米国にとってイランの動乱は短期的には時間が稼げるメリットがある。だが個人的には今の米国からはこのイランが持っている国家のエネルギーを感じなくなった。今日はその話をしよう。

まずこのエネルギーとは宗教に関係なく、自分が正しいと思う社会に向けて自分が関わるエネルギーとも言える。独立戦争、フランス革命、明治維新などは其の結集だが、現在の先進国はこれらの動乱を経て今の豊かにたどり着いた。振り返って昨年からの金融危機は今の米国人に米国の何かが間違っていた事を突き付けた。ただ悲鳴の中で政府が取った手段が効いてくると、間違っていた事に対する米国内の自浄への情熱とその探究心が薄れ始めている事が感じられる。

そんな中で今日は総合遊園地チェーンのシックスフラッグの経営破綻のニュースがあった。CNBCに社長が登場し、状況を説明していた。だが全く経営破綻した会社の社長とは思えない饒舌ぶり。血色もよくこれからのハイシーズンが始まる事への期待感を述べていた。この不思議な余裕が今の米国の姿だ。確かに危機は起こった。だが原因とされる金融機関は吸収されるか政府に救われ、自動車もソレに続いた。

その過程でFEDは直接の融資先を銀行から証券、更に事業会社への特例を認めた。そして以前ここで「FEDが街金になった」と揶揄したTALFプログラムに至っては初期の20兆円を大幅に超えて終に100兆円に拡大された。そして今やレンタル自動車大手のHERTSまでもがFEDの直接融資を申請した話がNYTIMESに載っていた。レンタル自動車会社がFEDから直接融資?完全に崩壊した信用創造のモラルがそこにある。

そして今の米国をみると、宗教や社会の善悪の話ではなく万物の寿命を感じる。それを象徴したのが今日のNYTIEMS。そこにはグアンタナモ刑務所に収容されていた4人のイスラム兵のその後の話があった。元々彼等はウイグル自治区から流れてアルカイーダの端末に加わった。要するに捕まるまでは貧しさとカラシニコフしかしらない男達だ。オバマ政権はこの刑務所の廃止を断行すると同時に「必要外」の囚人を釈放した。彼らもその中に含まれた。だが釈放されたはずの彼は祖国に戻らずカリブ海に戻ってきた。ただ今度はビザなどの面で米国の援助付きである。そして生まれて初めてカリブ海の豊さを知った彼等は米国に全く恨みを感じないという。なぜなら米国のおかげで自分たちはこんな夢の世界に来れたというのが理由だ。

この様に、人間は一度豊かさを知ると元には戻れないと考えるのが自然だ。そしてその過程で主義主張がぶつかり合い社会の新陳代謝を永続させる事で豊かさは進化した。だが成長を国是とするはずの米国は危機のあまりの痛みに本来は成長の原点であるはずの新陳代謝を放棄した。そして今の金融市場はその矛盾を知りつつも手元に資金がある間はその負債に対して何らかのストリーを創っては偽りの成長金融ゲームをするしかない。だが矛盾は可処分所得が伸びない中での物価高を呼び、病み上がりの体を今度こそ終末へと導く可能性がある。いずれにせよ、10000の大台を最初に切った米国株がまだその大台を回復できないのは、米国の寿命を象徴している。





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