著名エコノミストのエドハイマン氏によると、現在「米国経済は底打ちを完了したと」考えるファンドマネージャーの8割はLONG ONLY(株の買いだけを行う)のファンドを担当しているとの事。そもそも今の時代にLONG ONLYのファンドがどのくらい存在するのか定かではないが、確かに警戒心を解いていないファンドマネージャーは散見されるものの弱気な評論家は完全に姿を消した。姿を消したというのはそういう人はもういらないという事だろう。よってCNBCにも出してもらえない・・。
一方今日の相場ではサイドラインのマネーの金額がCNBCに登場したファンドマネージャーによると9兆ドル(900兆円)まで増加していた。先週までこの数字は4兆ドルと言われていた。恐らく4兆ドルの根拠は現在MMF等に停留する資金。ではこの9兆ドルの根拠とは何か。彼は説明しなかった。ただ根拠がなんであるにせよ、MMFを含めてサイドラインの資金がそのまま消費と投資に向かうなら米国人の貯蓄率は再びマイナスへ転じる事は必定である。
そしてクレジット市場ではリーマンショックの前の水準に戻ったというのが合言葉になっている。その時点で米国のダウは10000以上を維持していた事から強気派は株も当然その水準まで戻ると確信している。しかしならばリーマンショック以前の異常なクレジットの緩和が最終的に崩壊を招いたという反省も今の米国からは消えた事になる。
いずれにしてもここから先の相場感はその人の哲学によって決めればよい。無論資金の運用は現実に沿う必要がある。だがここから先は相場感と実際の対応が違うのは不自然ではない。ただこの米国が最終的にどんな運命になるか、その賭けに世界はいずれ直面する。その最大の荒波を生き残る為には本質の相場感をどこかで感じていなければならない。そのためには日々の相場にも哲学が必要だ。米国人にはこの哲学はただの弱気、だが日本人には最後は贈り物と確信している。
そしてそこにまだ人が生活し、多少なりとも金があればどこかで必ずボトムアウト(景気の底打ち)は形成される。それが「日本の失われた10年」型になるか、或いは80年代の米国が経験したWボトム型になるかがこれまでの争点だった。ところが今米国ではそのどちらも回避できると多くの人が考え始めた。理由は「バーナンケはボルカーではなかった」という事だ。確かにボルカーは病み上がりの米国を超高金利で痛めつけた。ただそれが彼の信念だった。 (ボルカーはグリーンスパンの前任のFED議長。70年代のOILショック後のインフレを政策金利を20%まで引き上げる事で対応した。しかし結果放漫経営だった住宅ローン会社が逆ザヤから破綻、政府は今回と同じく救済策を余儀なくされた。ただその過程では60人以上の逮捕者を出し、経営者のモラルの立て直しには貢献したと言われている・・)
不思議な事に今ボルカーはバーナンケと同じ船に乗っている。これがこの政権の実体だ。オバマは個人として魅力的、でもやはり若い。彼の魅力だけでは政権の人脈を統治する事はできない。結果この政権からはブッシュ政権を支えた金太郎飴の様な統一性は消えた。そしてこの政権は危機直後に市場を司る金融機関に対し強く反省を促したが結局は場当たり的対応を余儀なくされただけで終わってしまった。そして今は何も変わっていない実態がここにある。
本当に9兆ドルがそこにあるなら米国は借金を返す事を考えないのか。これまでの米国は借金を返すのではなく、その資金を投資や消費に回し世界経済をけん引してきた。その恩恵を債権国は受ける事が出来た。だから債権国が米債を購入してバランスを保ってきた。だが世界の新しい枠組みでは世界経済をけん引する消費大国としての期待は米国から中国に移り始めている。そんな中でオバマはこの実体をどうするのだろう。そして世界はその米国にどう対処していくのか、それがそのまま現実の相場にも反映されるだろう・・。
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