冷静に考えて今株が下がるケースは三つ。天災/人災/政災である。裏を返すとサイドラインに大量の資金が待ち構えているとここまで脅さては、その信憑性はともかく自立調整は難しい。そしてこんな時は経済指標は重要ではない。なぜなら人は自信に満ち溢れている時、どんな指標にもプラスの可能性を感じてしまうからだ。
そして株は大きく下がるならばギャップダウンで始まる可能性が高い。今の市場参加者にとって重要なのはチャート。それはこの上昇でも確認できた。よって論理的にはその逆も起こりうる。だが、参加者が強気で自律調整が難しいとなると、下がるためにはギャップダウンで始まり、窓埋め後に下落が始まるパターンが必要だ。その可能性としては「天災」と「人災」が有力。
「人災」はテロ行為を指し、「天災」は中国などの成長地区での疫病の発生などのケースが考えられる。いずれにしても人々の活動が停止するのが条件であり、需要を発生する地震などの破壊的災害は今の地合いでは米国株にとって買い材料になる可能性がある。
そして最後の「政災」は結局は元の姿に戻ろうとしている米国をオバマ政権がどうするかという意味だ。或いはその米国に対して世界が、特に中国がどう出るかである。例えば本日のNYTIMESには次の様な記事がある。
米国の企業年金が破たんした場合の政府の保証機関PBGC(Pension Benefit Guarantee corporation )ではその50B(5兆円)の運用を担当する「旨い仕事」を巡って一騒動があった。まず同社に2007年に新しい運用責任者が着任。すると早々にGSとBLACK ROCKが接触した。そして数々の接待をを含めた営業活動が功を奏しこの2社は運用を任される事になった。
しかしその運用担当という「美味しい仕事」を巡る「入札」(この場合は総合的な提案)で担当者が2社に便宜を図ったとの論議が巻き起こった。その結果この2社と「サブ」として任命されたJPモルガンは入札の正当性を主張したにもかかわらず、PBGCの管轄当局はPBGCが決めた3社との契約を破棄させる異例の処置を断行したのである。
そもそも米国の金融機関の生き残り競争は既に勝負がついている。常識からすればその勝者であるGS / BLACK ROCK/ JP MORGANの3社が選ばれる事は自然だ。しかし接待がグレーの部分を誇張したとしても、管轄当局が参加の国営企業がいったん決めた契約を破棄させるという強硬手段に出た事は驚きである。
これは日本の簡保問題と比較しても興味深いが今後米国政府が金融機関に対してどういうかじ取りをするつもりなのかのヒントにもなる。政権は政府と特定の金融機関の癒着を糾弾するMEDIAの最近の動向に非常に敏感になり始めた。この様な動きが結果に株にとって「政災」につながる事もある。
最後に、個人的に「株の下げ」を望んでこの様な話をしているわけではない事を触れておく。ただ今の時代はあらゆる事態を事前に想定しておくことが重要であるという事である・・。
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