2009年7月23日木曜日

TVの主張

唐突だが、テレビ朝日の「必殺シリーズ」は緒方拳が藤枝梅安を演じていた頃からみていた。あの番組が始まったのは1970年代。70年代はどことなく今に近い。世界経済が低迷した70年代には日本でも、また実は米国でもその後何度も再放送されたTVの人気シリーズが生まれている。今の子供が親しむ人気キャラクターの多くが70年代に生まれているし、米国でも70年代モノは「大草原の小さな家」等の教養モノ以外でも3大ネットワークの一部はゴールデンタイムに再放送の枠を設けている。その意味では経済が停滞しても、そんな時代にはそれはそれで何か価値があるものがどこかで生まれているのだ。

さてその必殺シリーズも時代と共に俳優の格は堕ちてしまったが、最新シリーズで流れていたこのセリフだけは良かった「金は天下の回りモノ、しかし今じゃは天下が金の回しモノ・・」そして今日は録画しておいたNHKのマネー資本主義の第4回を見た。第4回は金融工学の特集だった。恐らく専門家が指導したのだろう、CDSやCDO等の難解な商品を普通の人にも理解できるように解説した製作者の力量には驚嘆した。そして内容はこれまで同様に暴走した金融機関に反省を促す構図だった。米国ではまだこの趣旨の番組を流していないが、番組では最後に危機が遠ざかり、再び動き始めたお金は今度は災害を予想した保険(証券)に向かい始めている事を紹介していた。

お金がありすぎるとお金の方が世の中に居場所を要求する。その結果新しく市場が生まれ、そしていつか行き過ぎてつぶれる。お金が余る以上は同じことが起き、またつぶれる。まさに今の時代、天下とはその時に有り余ったお金が人間に向けて遣わした社会である。ならば災害保険にお金が行くという現象は、人間社会は終に自分でアルマゲドンを呼び込んでいるような気がしてならない。

ところで米国では本日モルガンスタンレーの決算が発表された。同社の決算に対して、CNBCのゲスパリーノ氏の本日のコメントが最も本質を現わしているので紹介する。彼は「GSは政府から銀行の肩書を得ると、その安い資金で再び巨額のリスクを取り始めた。当初自分は(ゲスパリーノ本人)ソレはモラルの点で問題があると感じた。だが間違っていた。なぜならGSにその行為をさせているのは実は政府だ。政府はこのままでは不良資産の解消が進まないので、金融機関が市場で再びリスクを取って儲ける事で損失を解消させる事を容認している。GSにはその流動性を市場に提供する役割を期待している。だからモルガンスタンレーもGSと同じ事が出来たはずだ。しかしモルガンスタンレーはしなかった。・・」

ゲスパリーノ氏の分析は正しい。だがオバマ本人はその流れに同意してるとは思えない。彼が現実と理想の間でどんな舵取りをするのか、その覚悟が試される。さてこの様に米国はNHKが日本の社会に発しているメッセージとは全く逆の行動でている。ならば米国を模倣してきた日本がこれからどうするかにも注目だ。日本がどんな方向を望んでいるのか、それはこれから人気となるTV番組が教えてくれるだろう。


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